思わず、「面白い!」とシェアしたくなった守り方を今回は紹介します。
最近ちょうど「ディナイ不要論」を書きましたが、それにも繋がってきます。ディナイをしない守り方のメリットの一つに「オフェンスの状況をよく見れる」ということがあります。ディナイをしていればコート全体を見ることは難しいですが、ディナイをしなければコート全体を見渡せます。そのことで今回紹介するようなディフェンスもできるようになります。
◆スイッチを賢く使う
ピック&ロールに対してはいくつもの守り方があります。ショーディフェンス(スクリナーのディフェンスがボールマンの動きを一度止める守り方)やアイス(サイドライン側にボールマンを追い込む守り方)などが基本ですが、今回紹介するのは「Wall」という守り方。スイッチディフェンスと相手の心理を賢く使う面白い守り方です。画像を使って説明していきます。
左サイドでピック&ロール。
ここでボールマンのディフェンスは、チェイスを選択しています。チェイスとはボールマンの後ろ側を追いかける(Chase)しながら守る方法でドライブはされますが、その分、リジェクト(スクリーンと反対側をドライブすること)とスリーポイントを防ぐことができます。完全に遅れているため、本来ならここでスクリナーのディフェンスがヘルプをするのが一般的ですが、「Wall」の場合は、1pass awayにいる選手がヘルプをします。ボールマンに一番近いウィングにいるディフェンスです。
そして、スイッチが起きます。
ボールマンの心理からすると、自分のディフェンスはチェイスをしているのでその瞬間に「抜ける」と思ってドライブを選択します。でも、すぐにボールマンのディフェンスと1 pass awayの選手のディフェンスがスイッチをして、ボールマンのコースに勢いよく入ってくるため、ボールマンからしたら戸惑うはずです。「ドライブができる!」と思った瞬間、完全にコースを止める形でスイッチをしてくるので対応が遅れることが考えられます。「ボールマンを迷わせることができる」というのが一つ目のメリットです。
二つ目のメリットは、スクリナーのディフェンスがショーディフェンスに出る必要がないこと。これは「ICE」というサイドライン側に追い込む守り方と同じですが、Wallの場合は1 pass awayの選手がヘルプに出るためスクリナーのディフェンスはそのまま下がればいいだけ。つまり、スクリナーがフリーになることがないということです。
そして、オフボールサイドはゾーンのような守り方をします。アウトナンバーが生まれていますが、ボールマンからしたらチェイスをされている時点でドライブができると思っているので、Wallを予想していない限り、遠くのポジションを見ることは難しくなります(もちろん、プロ選手たちはそこまで見て駆け引きをしています)。完全にボールマンに身体を向ける形で、ボールマンの目線などからパスコースを予測します。これはディナイ不要論のメリットでもあります。
そして、そのままスイッチが成功。
スクリーンプレーが起きても何事もなかったかのようにディフェンスは穴がない状態に戻りました。今の時代はスイッチが主流ですが、ピック&ロールに関してもこの守り方があれば、スクリーナーのディフェンスとボールマンのディフェンスがスイッチをして、そこのミスマッチをつかれることもなくなります。
NBAでも日本の部活動でも、スクリーンプレーに対してスイッチで対応するケースが多くなっています。それは「チームプレー」をさせたくないからであり、Wallのようなディフェンスに対応する新たな戦術やスキルがオフェンスには求められているのだと思います。そうやってバスケットボールやスポーツは日々進化しているのですね。
この守り方はディナイ不要論に繋がるものがあります。オフェンスの状況を見れているからこそ行えることで、ピック&ロールの時にディナイをしている選手はあまりいませんが、ボールマンの状況をしっかりと把握できていれば、ピック&ロールが始まるタイミングを先読みして準備できます。それがあれば、こういったディフェンスもできる可能性が出てくるはずです。チェイスの判断やスイッチの判断は簡単ではないと思いますが、相手の心理を上手く利用しながらバスケットボールを次のレベルに進めていくための素晴らしい守り方だと思いました。今回はNBAではなくてヨーロッパの試合からですが、こうやって世界中でバスケットボールが発展しているのを見ると、日本も独自の守り方や攻め方を見つけていきたいですね!
動画がこちらから。
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PS.
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