今回はアンストッパブルなハーデンの秘密を探ってみようと思います。
今のNBAでハーデンほどアイソレーションの1対1が強い選手はいません。得意のステップバックからのスリーポイント、ドライブ、速攻はもちろんのこと、ピック&ロールからのパスも芸術品並みに美しく、もはやハーデンがボールを持ったらほぼほぼ得点に繋がるというくらい圧倒的な支配力をもっています。
そんなハーデンのプレーを見ていて、「なんか、ハーデンって全力でプレーしている感じじゃなくて、ゆる~くプレーしている感じなのに、なぜかスルスル~って抜けていくよなぁ。なんでだろうあれ。」と思ったことはありませんか?ウエストブルックの瞬発力を活かしたドライブのように誰が見ても「速い!!」っていう感じではありません。でも、抜いています。それもとても簡単そうに。今回はその秘密の一つを探っていきます。
結論を先に言うと、
「相手ディフェンスの腕を払う」
ということをハーデンはやっているからです。
◆相手の腕を払うHarden
— NBAで凄いのはダンクだけ⁉︎ (@nbanotdankudake) 2017年10月18日
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Hardenの腕払い。やわらかい。。
— NBAで凄いのはダンクだけ⁉︎ (@nbanotdankudake) 2017年12月5日
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◆ディフェンスは腕を接触させてくる
最初の画像のとおり、ディフェンスというのは相手を止めようとしたとき、基本的に腕を軽く接触させてきます。押しすぎたらファールになってしまいますが、ある程度ならファールになりません。ほとんどの人は無意識のうちに、画像のトンプソンのように腕を相手に接触させてきます。どうして腕を接触させるのかというと、接触点を使って相手を力で抑え込んだり、相手が進もうとする方向を察知しようとしてきます。ディフェンスをするときに自分はどうしているかを考えてみてください。きっと、腕を使っている場面が多いと思います。動画を見るときとかもそこに着目すると、どのカテゴリーでもほとんどの人は腕を使ってディフェンスをしています。これは無意識に行っていることがほとんどです。
◆腕を払うことで接触点を無くすと…
その腕を払いのけると、ディフェンスからすると接触点が無くなるので、相手を押せないし相手が来る方向を察知できなくなります。だから、ハーデンのディフェンスがなっているように「お手上げ状態」になります。ディフェンスというのは足で付いていくもので腕を使ったらファールになるから腕を使わないように、という指導が基本ですが、人間は腕を動かすことで足が連動して付いてくるというものです。実際、腕を真後ろで組んだ状態でディフェンスのサイドステップをするのと、腕を自然と動かしながらサイドステップをするのとでは、動きやすさが全く違います。なので、その腕が使えないとなるとディフェンスからすると動けなくなるし、相手にドライブの道を空けてしまっているみたいな状態になります。
もう少し詳しく解説すると、腕を払うことでディフェンスは後ろ側に力が向いてしまいますが、逆に腕を払う側はその力を使って前方向に進みやすくなります。ちょうど回転扉みたいな感じでスルッと抜けやすくなります。相手の腕を前への推進力に変えているということです。実際、これは試してみると目の前からディフェンスがいなくなるような感覚になります。逆にやられると、「あれ?なんかいつの間にか抜かれてるぞ?」みたいになります。
ただ、これは奥が深くて・・・
「腕を払おう」と思っても、その意識が強すぎて腕ばかりに気が取られているとドライブが成功しないし、かといって、ドライブのことばかり考えていると相手の腕が絡んできているってことに気づけません。そしてここが最も重要で深いところですが、「腕を払ってやる!」みたいな意識で相手に向かっていくと、辺に力んでしまうし、相手も「腕払おうとしてくるなら力入れて払われないようにしてやる」みたいに感じて力が入れてきます。この辺は無意識のやり取りになるので、最終的にはあえて言葉にすると「柔らかく腕を使って、優しく相手の腕を払いのける」という感じの意識で行うのが必要です。
これはもう言葉ではここまでしか表現できないので、あとは実践して、学んで、言語化して、身に付けるしかないのかなと思います。これは実際に自分自身が知識として「腕を払う」ということは知っていたけど、実際に自分で体現することが今まではできずにいました。その頃は知識があるだけで使えていない状態でしたが、先日、意識していなかったけど自然と腕を払ってドライブをすることができました。それまでは「腕を払おう腕を払おう」と意識をしていて、結局それが相手に読まれて払えずにいましたが、今回はそういうことを考えていなかったけど自然と出てきました。そういう自然と出てくるまでは意識的にダミーディフェンスをつけて練習をすると良いです。試合中とか実践の攻防とかの中だとなかなか意識できないので、こういう練習はダミーディフェンスに対して、じっくりゆっくりやるのが大切です。実際に、自分で体験したら目の前からディフェンスがいなくなるというのを体験して、ディフェンスの人も「今はやられたわ(笑)」と笑っていたので、やっぱり体験して初めて知識は価値になるんだなぁということが腑に落ちました。なので、ようやく記事にできたということです。
NBA選手たちはよくこれをやっています。
よくやっている選手としては、James Harden、Kyrie Irving、DeMar Derozan、Trae Youngとかです。そういう視点で見てみると動画を見ながら「あ、今やってる!」とか、「今のところで腕を払えばいいのかな?」とか、そういうのが見えるようになります。これがいわゆる漫画デスノートの「死神の目」的な感じで、自分の視点が変わると同じ景色を見ても違う情報を得られるという状態です。これがあると、またバスケの面白さが増えていくし、力が相手の方が強くても抜けるようになるので、参考にしてみてください。
自分も今回これの有効性を実感したのでデフォルトにできるように練習しようと思います。もちろん、今回のは一つの選択肢でハーデンはシュートもパスも身体もあっての腕払いです。ハーデンと比べたら赤ちゃんレベルの腕払いですが、こうやって異世界と思えるNBA選手から一つでも学べて実践できることがあるだけでバスケは面白くなります。それが何よりも大事かなと思っています。ハーデンはたぶんプレー的に長い間NBAにいてくれるんじゃないかなと思っているので、まだまだハーデンのプレーが見れるのが楽しみです。
◆接触をさせないKyrie
— NBAで凄いのはダンクだけ⁉︎ (@nbanotdankudake) 2017年11月4日
ディフェンスは(無意識に)腕でオフェンスの身体に触れようとしてきます。少しでも触ることで次の動きを反射的に読むことができるため。その腕を払うことで相手の反応を遅らせるKyrie。@TTKRCJ
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@TTKRCJ
— NBAで凄いのはダンクだけ⁉︎ (@nbanotdankudake) 2017年11月15日
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PS.
「腕払ってやる!」みたいに相手と対峙している状態だとなかなかできないし上の次元には行けないということは、いつも1対1をしている武学籠球の慎さんから教わっています。僕はいつも腕を払われる側でやられているのでよくわかりますが、本当にいつの間にか抜かれている感じになります。言葉にするとなんだかこうとしか表現できないのですが。詳しくは今後配信される武学籠球の通信講座まで。武学籠球のブログはコチラから。
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