今回もドライブについて。
ハーデンの腕払いドライブ、蹴らないドライブについて記事を書いてきましたが、
今回も「ドライブ」というテーマで、「歩いて抜くドライブ」について解説していきます。
◆歩くだけで抜けるのか?
今回のドライブも言葉にすると意味不明かもしれません。
「歩くことで抜く」なんて、抜けるわけがないと思えますよね。
まず、どんな感じのドライブかというのを紹介します。
シュートが入ってないですが、
このドライブは「歩く」意識で抜いています。
(厳密には「歩く+体を前に倒す」という感じです)
動画にしてみてみると、
歩くと言っても、実際は走るくらいのスピードになっていますが、
最初に一歩を踏み出すときは、歩くという意識でやっています。
そうすると、踏ん張りがなくなるので相手の無意識反射がなくなります。
「抜く!」っていう意識を見せないことで、
相手から「抜かれないぞ」という意識を引き出さないので、
相手とのタイミングを外せて、ドライブのスペースができます。
もう一つ動画を紹介します。
これはこの日の個人的にベストドライブでした。
これは速く動こうとしないで、ゆっくり動きました。
これも感覚的には「歩く」時と同じ感覚で前に進んだ感じです。
歩くときって、何も意識しないですよね。
でも、走るときって「よーし、走るぞ」って走り出しの前にちょっと気合を入れないといけないし、
歩くのに比べたら当然疲れるし、速く走ろうとしたら足で地面を蹴っていくのが普通だと思います。
でも、そうなればなるほど、
自分の動きに踏んばるポイントが生まれて、
その瞬間に、相手に反応されてしまいます。
このドライブを動画で自分で見返してみたら、
自分の体感よりも速いスピードだと感じました。
でも、実際に、この時の体感スピードはめちゃくちゃ遅かったです。
「速く動くこう」とか思わず、
「ゆっくり動こう」という感じで動いて、
本当に自分の中でもかなり遅めのスピードでした。
意識としては。
でも、後で動画を見返してみたら、
この日、一番いいドライブだでした。
(良い悪いは、あくまで自分の中の基準です)
それだけ自分の中で達成感を感じなかったということが、
一番、踏ん張りのない自然なドライブだったという証拠なのかもしれません。
武術の世界というのは、達成感を求めません。
達成感というのは、
「よっしゃー!!抜いてやったぞ!!」
みたいに高揚感を感じることなどです。
そういう実感があった時ほど、足の踏ん張りを利用して力を使ったドライブをしていて、
「蹴らずに前に進み、相手に無意識反射を起こさせないで抜く」というドライブとは違うものになります。
もちろん、これは武術の世界の話で、
蹴って進むことや達成感を感じる練習が悪いというわけではありません。
あくまで、今回の記事は前回同様、武術的な視点を活かしたドライブに関してです。
ただ、これは知ってすぐにできるものでもありません。
なぜなら、ディフェンスに無意識反射があったように、
オフェンスをするときにも無意識反射というのが働いて、
「踏んばらない」ということを意識しても、どうしても踏んばってしまうからです。
身体の中にある癖を直すためには、日常的な動きを変えていかなければいけません。
今回の「歩くドライブ」というのも、
歩くと言っても、その歩き方が地面を蹴って進むようなものだったり、バランスが崩れたものだったら、
いくら体育館の中で歩くドライブをやろうと練習をしても、その他の時間で元の動きをしていたら習得できません。
バスケをしている時間は一日の中の数時間です。
プロ選手でなければ、学生を含めて、
バスケをする時間の方が他の時間よりも少ないはずです。
だからこそ、日常が重要になります。
「バスケをしていないときに、どれだけバスケに繋がる良い動作ができるか?」
というのが、こういうドライブを身に付けるポイントです。
そうしないと時間がかかるというよりも、できないです。
あとは、動作の部分だけではなくて、
意識や心の部分も磨いていく必要があって、
このことを武術の世界では「心意体術の統一」といいます。
「心→意識→体→技術」
の順番が大事ということです。
技術だけを高めようとしても、それをする心が良くなかったら技術は発揮できないし、
身体を変えていこうと思ったら、まずは心、次に意識を変えていく必要があるということです。
昔の人は、こういう順序も考えて言葉を創っていると思うと、凄いですよね。
そんなことを慎さんは古武術から学び、
今は武学から学び、僕は慎さんから学んでいます。
慎さんが凄い!武学が凄い!ということではなくて、
こういうことを僕ら日本人の先輩たちは昔やっていたわけで、
そういう文化がある日本、それを時代が変わっても身に付けられる僕らの身体が凄いんです。
そんなことが最近ようやく腑に落ちてきました。
「武術の世界は達成感を求めない」
ということを先ほど話しましたが、
これは「言葉」というのでも一緒です。
練習をしている時や対戦している時もそうなんですが、
こういう風に記事として武術の世界を知った時も一緒で、
今回の記事を読んでも、
「ふ~~~ん。歩いて抜けるんだ」
くらいに受け取れると思います。
それか、中には、
「いや、歩いて抜けるディフェンスってザルなだけでしょ」
という風に思える人もいるかもしれません。
(この記事を読んでいる方にはいないと思いますが、このサイトのことを知らない人が記事だけを読んだら。)
これも達成感ないですよね?
「凄い知識を知ってしまった!!これは自分だけの秘密にしてライバルと差を付けよう!」
とか、そういうものでは全然ないですよね。
「歩く」ってだけですからね(笑)
ドライブも特に技術を使っているわけじゃないので、
動画を見たとしても凄いっていう感じ全然ないと思います。
歩くことも抜くときのドリブルも、誰でもできることです。
でも、実はこういうものこそが
(武術としては)本質であると考えられます。
本質というのは、最もコアとなる情報のこと。
例えば、それって、
イチロー選手が昔から言っている
「毎日小さいことを積み重ねていくことでしか、大きなことは成し遂げられない」
という言葉と似ています。
あの言葉は小学生でも理解できる言葉です。
難しい単語とかないし、誰でも理解できますよね。
でも、そこには「深さ」があります。
イチロー選手の膨大な経験が、この言葉には詰まっていて、
それを僕らは全て受け取れないから、何度もこの言葉と対話をして、
実際に自分の経験と重ね合わせて、初めて「ああ、そういうことなのか」と、
イチロー選手が言いたかったことの本当の意味を少しずつ理解できていきます。
理解できると言っても、イチロー選手と同じ経験はできないので100%は理解できませんが、
「自分の経験を通して、1%でも2%でも理解できてきた」ということに価値があると思います。
今回、一緒にバスケをした方は、
数か月前に僕のブログを見て慎さんのことを知って、
僕の記事にコメントをしてくれた方だと後から教えてもらいました。
こんな自分の動画を載せていますが、
まだまだなところばかりで誰かと比べたら下手くそだと思いますが、
それでも、そういう形で自分が書いた記事から新しい世界を知ることができる人が増えたらいいなと思って、
今後もこういう形の記事は書いていきたいなと思います。
武術の世界は面白いし、
バスケットボールは面白い。
それを最近は改めて感じますね。
まぁ慎さんと1対1をすると、まるでサクラなんじゃないかと思われてしまうほど、
あっさり抜かれて、まさに今回の記事で書いたような状況になるんですけどね(笑)
それが筋力とか身体能力とかの差ではなくて、
「どれくらい日常から自分の身体と向き合っているか?」
という差から生まれているのが、武術の面白いところです。
スポーツでも同じような考え方があるので、どっちもありです!
この時の1対1の様子はコチラから。
バスケをするたびに新しい発見だらけです。
今回対戦してくれた方はこのブログを読んでくれている方でした。ありがとうございました!
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=T1nYBEFb6EM” /]
PS.
僕が武術の世界をどうして学ぶようになったのか?
というのは、こちらの物語を読んでもらえたらなと思います。
「ディフェンスがザルに見えてしまう」
については別の記事で書きます。
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