体重差15キロあってもゴールの真下まで押し込めてしまうポストプレー

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今回はポストプレーについて。

これも武学籠球の慎さんから学んでいる武の世界の話です。武の世界って何?という質問に対してはGoogleでいろいろ調べてもらえばわかると思うのですが、わかりやすくスポーツ的な言葉で表現すると、「最小限の力で最大の成果を出すための身体動作や精神状態」という感じになります。力みをなくしていって、より自然な動き、滑らかな動きを目指していきます。別名「力では到達できない世界」という風に表現されることもあるくらい、がむしゃらに練習量を増やしたり力任せに動いているだけでは辿り着けない世界です。

武術と調べるといろいろな武の世界が検索エンジンにひっかかりますが、中には「エネルギーを使って・・・」というものもあったりして、そういうのに対して嫌悪感を抱くことがあるかもしれません。ただ、いま僕が武学籠球の慎さんから学んでいることは全て身体で体現できて誰でも実感できるもので、誰でもやればできるものです。何も超能力を発揮するみたいな話ではなくて、人間の身体の構造を正しく理解して、大人になるにつれて忘れてしまう感性や感覚の部分を元に戻していくことをしていくだけです。なので、子供の方が大人よりも身体を柔らかく使えたりします。

 

そんなわけで、今回は武術の考え方を活かしたポストプレーを紹介します。

これも言葉では伝えきれなくて、体験しないとわからないことなんですが、

とりあえず、動画を見てもらえたら何となくは伝わるかなと思うので書いていきます。

 

 

 

まずは早速、動画をご覧ください。

 

・・・どうでしょうか…?

 

動画を見ると、「ポストプレー」って感じがしないかもしれません。

ポストプレーと言えば、コービーやジョーダンのように華麗なターンアラウンドでフェイダーウェイを打ったり、

シャックのようにゴリゴリとパワーで押しこんでいったり、ダンカンのようにワンハンドフックシュートをしたり、…

そういうイメージがあるんじゃないかなと思います。

 

 

それに対して、これは…

 

ただゴール下までドリブルをしているだけです。

 

 

それも意味不明なところまで押し込めていると思います。

ゴール下というよりも「ゴールの真下」に気づいたらいる感じです。

 

これは対戦した大学生も、

「いつの間にかゴールの真下に押し込まれていた」

という風に表現してくれたんですが、

僕も気づいたらゴール下にいたという感じです。

 

だから、シュートの打ち方がもはやわからず、

一つ目の動画はバスケ人生で初めての角度というか状況からシュートを打ちました。

(結果、外れました。笑)

 

これを見ると、「ただディフェンスが弱いだけ」と見えるかもしれません。

もしかしたら、「ただディフェンスが手を抜いているだけ」に見えるかもしれません。

 

でも、当然ですが、これは真剣勝負です。

 

対戦相手の大学生は、普段から部活で練習をしているし、

とても誠実で周りからも信頼されているチームのキャプテンです。

そして、1対1が好きで、負けず嫌い。

 

この大学生のことを知っている人からしたら、

1対1や練習で手を抜くなんて考えられない人間です。

 

 

でも、なぜかゴール下まで押し込まれてしまうという。

(全く同じことを僕も慎さんにやられてしまいます)

 

彼と僕の体重差は15キロです。

 

 

普通に考えたら押し込まれないと思えるはずですが、

でも、意味不明なところまで押し込めてしまって僕もビックリでした。

相手の大学生も、ここまで押し込まれた経験がなく、驚いていました。

 

 

これは何をしているのか?

というと、武術的な考え方を活かして、

「こちらが踏んばらずに進むことで、相手を踏ん張らせない」

という状況を創って、ススス~っと押し込んでいる感じです。

 

これも「押してやる!」という意識はありません。

それがあると相手に察知されて、相手から「押されたくない」を引き出すからです。

 

ただドリブルをついている感じ。

 

またこれも「歩いて抜く」みたいな表現になりますが、

言葉にすると、この表現が一番しっくり来るんですよね。。

 

 

大学生の感想にもある通り、

「力を入れる暇もなく押し込まれてしまう」

という感じになります。

※感想は別の記事で近々載せます。

 

 

あ、この記事は僕のオフェンスを解説していますが、

ディフェンスの視点を話すときは自分が慎さんにやられているのを想定して書いています。

だから、大学生の感想はめちゃくちゃ気持ちがわかるんです。

僕よりも言語化も上手いなぁと思いながら「そうなるよね(笑)」って感じです。

 

 

これをするためには、

・相手を倒そうとしない精神状態

・踏んばらずに自分の軸を乱さない動作

・筋力とは違った数値で表せない力「胆力」をつける

といったことが必要になってきます。

 

 

これをしていくと、

ディフェンスは足を前に出して身体を縦にして、

押し込まれないようになんとか耐えようとします。

そうしないと、これをやられてしまうと察知するからです。

 

そうすると、今度はターンが有効になります。

 

一度、押し込まれる体験があると、

「あ、あれが来る」みたいに身体がなります。

今まで経験してきたゴリゴリ、ドーンドーンと押していくのとは違うので、

対応の仕方がわからなくて、とりあえず身体を固めて準備をしないと…!という感じになります。

 

すると、こちらが攻めようとした瞬間に相手が固まり、そこに隙ができます。

 

 

 

武術の世界では「固まったら負け」というのがあります。

 

これはバスケに限らず、稽古とかでも、

どこかの部位を固めた瞬間、動けなくなって、

固まっている部分(実)と緩い部分(虚)が生まれて、

虚を突かれてバランスを崩されて倒されてしまうというのがあります。

 

これはバスケでも一緒です。

 

ドライブもディフェンスもポストもシュートも。

 

 

武術でやっている稽古が何かというと、要は、

「ボールを持った状態での対人だと、スピードが速くて、何が良くて何が悪いか、

何が原因で相手に抜かれているのか、なんでディフェンスのステップがずれているのか、なんでゴール下まで押し込まれてしまうのか、なんで相手のドライブに反応できないのか、…

ということが見えにくいから、まずはボールを持たない状態でゆっくり確認していきましょう。ボールを持っていないときにできない動きはボールを持ったらできない。ゆっくりできない動きは速くできない。速くやると誤魔化せてしまうから何が良くて何が悪いかがわからない。ボールを持たない状態で、ゆっくり動きながら身体を見ていけば、何が不足していて、どうすればボールを持ったときにチャンスを創れるかが見えるよね。

だから、ボールを持たずに、身体動作だけに注目して、一つ一つ丁寧に確認しながら修正していこう。」

というものです。

 

要は、と言いながら長くなりましたが(笑)、

バスケットボールに当てはめるとそんな感じです。

 

 

一言でまとめるなら、

「バスケットボールの抽象度を上げる」

ということです。

 

つまり、より物事をシンプルにしているということです。

 

例えば、数学の公式って、

数ある問題の対処方法を抽象化しているわけで、

1000個ある問題でも一つの公式で解けたりしますよね。

 

武術の稽古というのは、そういうものです。

 

 

図で表すなら、

 

     稽古での身体動作

    /    │    \

ドライブ  ディフェンス   ポスト

 

 

という感じで、

バスケットボールの様々な動きを抽象化して、

一つ次元を上げて、全てに当てはまる法則を見つけていくものです。

そうすると、バラバラに思えていたものが一つに繋がって、

複雑なものがシンプルになり、わかりやすくなります。

 

 

それを全て身体で”体験”します。

 

今回の動画も、これまでのドライブの記事とかも、

言葉だけだと矛盾しているような、理解できないようなこともたくさんありますが、

それらは全て、体験したら「あ、そういうことか」って誰でも実感を得られるものです。

 

誰でも実感を得られるのはどうしてかというと、

生まれ持った凄い才能がないとできないとか、身長が高くないとできないとか、

練習環境が良くないとできないとか、そういう「特別な何か」が必要なわけではなくて、

 

必要なのは「身体」だけだからです。

 

 

身体の大きさや骨の構造とかは一人一人違います。

でも、「身体の反応」とか「身体の仕組み」は全人類共通しているものがあります。

 

だから、誰でもできるわけです。

 

もちろん、やらなければできないし、

素直に情報を受け取って自分で試行錯誤して、

毎回の練習で取り組まなければ、身に付きません。

 

 

でも、それは誰でもやろうと思えばできるから、誰でもできるわけです。

 

誰でもできると言っても、

「個性をなくして全員が同じことをしましょう」

ということを言いたいわけではありません。

 

基準を引き上げましょう、という話です。

 

今回のポストプレーも一つの視点で絶対的なものではありません。

ただ、普通にやっていたら15キロの体重差があればゴールの真下まで押し込めません。

武術の視点がなかったら、僕は今回の状況を創れませんでした。この記事も書けていません。

 

ってことは、自分のプレーの幅も、バスケの楽しさも、限界があるということです。

 

 

でも、こんな平凡で普通のバスケ好きでも、

体重も60キロくらいで筋トレもしていないし、

特別なスキルや実績があるわけでもない僕でも、

きちんと学んで丁寧に取り組んだら、変われました。

 

武術の世界は、最低ラインを引き上げてくれるものです。

それはイコール、プレーの幅、楽しさを広げてくれるということ。

 

 

ポストプレーも、めちゃくちゃ面白いですよ!

(慎さんとやると僕も何もできずに押されます。笑)

 

 

 

PS.

今回のようなことはプレー中には考えていません。これは後から振り返って言語化するとそうなるという話で、プレー中に考えれば考えるほど身体が固まります。「固まったら負け」という話をしましたが、プレー中は考えたら負け、考えさせたら勝ちとも言えますね。だから、指導者がコート上の選手に対して「考えろ!」と言ってしまっては、身体が更に固まってどんどん動きが鈍くなります。考えるのは、タイムアウトとか練習中とか試合後とか、そういう時だけでいいんじゃないかなと思います。そういう教育的な話も、武術の話と深く関係してきますね。

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