日頃から大和籠球のYoutube動画を参考に指導されている東京U15男女-U18男子チームの指導者、福尾さんから依頼を受けて、2日間にわたって中学生50人(5チーム)に対してチームセッションを行いました。
このような形で合同チームセッションを行うのは初めてのことで、僕としても新しいチャレンジでした。これだけ多くの学生たちを呼んでくださった福尾さん、本当にありがとうございます。大和籠球のYoutube動画を隅々まで見てくださっていて、Princeton OffenseのChinやダブルパンチを中学生男子に指導しています。
指導者の方も見学を含めて、たくさんの方が参加してくださいました。
大和籠球というバスケットボールを初めて体験する方もいれば、普段からYoutubeやSNSを見てくださっている方もいて、リアルでお会いできることがやっぱりとても嬉しかったです。皆さん、いつもありがとうございます。
今回の指導内容は、Youtubeに公開しています。
より多くの人に大和籠球を届けるため、また、こういったリアルの場(直接指導・チームセッション)の際にチームの課題に直結した内容や、より深い大和籠球の視点を伝えるためです。
Youtubeの動画は、どうしても情報としては過去になってしまいますし、チームに合わせた内容なので、全てがそのまま皆さんのチームに当てはまるか?といえばそうではないので、そこはご注意ください。あくまで”参考”にして、チームの目的と目標、選手の個性(強み)を第一に考えて、「大和籠球」というチームの「和」を感じられるバスケットボールを創り上げていただきたいと願っています。
各動画について、簡単に解説します。
目次
1日目
パスの基礎
中学生男子と高校生男子たちが2日間参加して、その2チームをメインに(依頼してくれた福尾さんのチームと福尾さんの教え子が指導するチーム)した指導だったこともあり、1対1が好きでドライブをしたい年代の男子チームに対して「パス」をどのように教えるか。そう考えたとき、テーマとして「NBA ウォリアーズのようなオフェンスをやろう」と伝えました。NBAでも最も人気があるチームの一つ、Golden State Warriors。
世界一のシューターであるStephen Curryをはじめ、スター選手が数多く在籍して、NBAで一つの時代を築いた説明不要の世界一のチームです。そんなウォリアーズがやっているオフェンスは、Princeton Offnseのコンセプトに近いオフェンスを展開しています。エースのStephen Curryはスリーポイントが世界一うまいだけではなく、オフボールの動き(カッティング・スクリーン)も超一流です。
そのことを、僕なりの視点(大和籠球)で言語化して、2日間、学生たちに伝えました。
この2日間、必要になる技術として、まず最初に伝えたのは「パス」です。
「パス」はチームの流れを作り、味方とプレーを作るための重要なツール。でも、かつての僕もそうでしたが、多くの学生は(特に1対1で打開したいという男子)パスの魅力を知らずにバスケットボールをしています。パスは確かにドライブや1対1と違って、華がないと思われがちですが、パスを出せないとバスケットボールプレイヤーとしてはどこかで必ず限界がやってきます。
僕の師匠としているプリンストン大学のPete Carrilさんは、パスについてこう述べています。
・「パスを使え」
書籍『賢者は強者に優る』p31パスは長年にわたり、チームの武器になっている。私がシューターと同様にパッサーが好きなのは、誰にでも決めることができるショットをセットアップできるからだ。チームのすべての選手がパスに関わるのを見ることは気分が良いものである。
オープン選手を察知できるパッサーは、いつ、何処でスクリーンをかけるか、ピックを防ぐか、ディフェンス側に有利となるかを認識できる能力を備えている。言い換えれば視野の広い選手であり、ウィークポイントは何か、ドライブは何処か、そしてコートの何処に誰がいるかを把握できる選手である。彼はその情報に基づいてボールを移動する。彼こそが我々のチームの最大の武器となるのである。ポイントを得るには、ボールを動かさなくてはならない。我々は、ディフェンスを動かすためにパスをし、あらゆるパスが価値を持つ。あるパスはポイントを生み、他は何かのきっかけとなり、そのきっかけはパスによって生じる。パスによる攻撃は次のステップを容易にし、次のパスは更なる攻撃の手助けになる。反対に、まずいパスによって始められたオフェンスは、次のパスを困難にし、最終的にはボールを失わせるのである。
私がパスを好むもう1つの理由は、チームのモラルをはぐくむことができるからである。パスは受け取ることによってお互いの信頼感を築くことができ、ゲームでの不必要な緊張感を解きほぐすことができる。また、パスは各選手がチームの一員としてゲームを組み立てていることを自覚させる効果を持つ。
パスには必要となる2つの根本的な要素がある。1つは、パスをすることを求めて、その価値を認識することである。これは教えることが可能である。次は、オープン選手を読み取る能力である。私にはこれは教えることが不可能であった。すべての偉大な選手はこの能力に非常に長けている。
単にオープン選手を読み取る能力以上のことが関わってくる。偉大なパッサーはオープン選手を読み取った上に、パスを出した後にチームメイトがどのように対応するかをも読み取る。良いパッサーは、パス後にプレーの展開を見ているが、偉大なパッサーは、パス後の結果が明らかにチームに不利な展開になると予測すれば、そのパスを避けるであろう。さらに偉大な選手のパスは、キャッチしやすいボールでもある。このようなことを
パスほど良いチーム作りに貢献できるものは存在せず、逆に決してパスをしないシューターほどチームの雰囲気を壊すものはない。・・・
選手は、パスの正確性や創造性の価値を理解する必要がある。ゴールから18フィート[約5.49m]の距離にいるチームのベストシューターがオープンとなり、チームメイトが彼の膝元にボールをパスしたとすれば、それは良い選手とは言えない。パスの正確性が非常に重要となる。あまりに低いパスは、ミスショットを招く。パスを胸の位置へ送れば、すかさずショットが打てるのである。これはとても重要なことだ。パスされたボールをどこでキャッチするのかを軽視する偉大なコーチもいるが、私は違う。小さな積み重ねこそがチームを勝利へ導くことは言うまでもない。
パスは、近代のバスケットボールゲームが失ってしまった芸術ではないだろうか。私は、ハイスクールのバスケットボールクリニックやキャンプに呼ばれた際には、パスの価値を強調するために熱心に指導する。時に私を失望させるのは、75%ものハイスクールの選手がオープン選手にパスを送らないことである。これは、傲慢さの表れである。身動きができなくなった時だけ、パスをする選手が多すぎる。それはパスではない。
・「パスができるか」
書籍『賢者は強者に優る』p149ハイスクールの選手を観るときに、最初に注目するのはパスができるかどうかである。パスができるなら、彼はカットもでき、ディフェンスもできる。彼にはすべてが見えている。パスをする選手や自分の周囲の選手が見えていて、クリエイティブなプレーができる。それはDNAの贈り物であり、神の贈り物であり、何かの贈り物である。それは教えることのできないものである。アーモンド・ヒルはNBAのホークスでしたように、コート上の全ての選手を見てチームを動かし、素晴らしいパスやドリブルをした。彼はチーム全体の動きをとらえる優れた感性を持ち、チームメイトの動きを見出すことなくプレーができた。
とても重要な視点が書かれているので、ぜひ何度も繰り返し読んでみてください。
大和籠球のバスケットボールに興味がある、指導されている方にとっては必読の内容です。プリンストンを取り入れるかどうかに関わらず、全ての指導者に読んでいただきたいと思うような素晴らしい内容です。
僕自身、「パス」は学生時代に全く意識していないプレーでした。
でも、Princeton Offenseを通して「味方とプレーを作る楽しさ」を知り、今ではパスが大好きになりました。プリンストンの中にある「バックカット」というプレーは、一人では成功させることはできません。味方のパス、味方のスペースがあって、初めて成功します。
自分たちよりも強いチーム(強いディフェンス)を崩すためには一人では限界があります。1対1の能力を高めようとすることも、もちろん大事なことですが、でも、それだけになってしまうと視野が狭くなり、ディフェンスを見れなくなります。タイミングが悪い1対1は、1対1ではなく、1対2(場合によっては1対5のような状況)になります。それは、もはや「バスケットボール」とは呼べない状況です。
Princeton Offenseを元にした「大和籠球」というバスケットボールは、仲間とプレーを作っていく、仲間と強いディフェンスを崩していくバスケットボールです。そのために絶対的に必要になる技術が「パス」であり、もっといえば「ノールックパス」が必要になります。
上記の動画で紹介しているのも「ノールックパス」なのですが、こういったパスはただのカッコつけやセンスがある人だけができるものではなく、そのパスでしか通らない場面があり、誰でも練習すれば出せるようになるパスなのです。ノールックパスを出すために必要なのが「味方の動きをあらかじめ知っている」という状況。オフェンスにおける「型」と呼ばれるプレーの動き、チームとしての共通理解を作る理由は、ディフェンスを型にはめて、ディフェンスの対応に合わせて適切な判断をしやすくするためです。Princeton Offenseをベースにした型があるオフェンスをしていると、味方がどこに動くかをあらかじめ知っているからこそ「ノールックパス」が通せるようになります。そして、そのパスを身につけることでバスケットボールの楽しさ、オフェンスの深みは進化していきます。
動画でも紹介している世界一パスが上手いセンター(バスケットボール選手)と言える、Nikola Jokicのハイライトを紹介します。
バックカットの基礎と指導法
次に、大和籠球(プリンストン)の中心となる「バックカット」について。
既に福尾さんチームはバックカットを取り入れていたので、学生たちの意識として「裏を狙う」ということはできていました。今回はバックカットのタイミングを「1.0(ちょうどいいタイミング)」と「0.5(早めのタイミング)」という2つを伝えました。これは学生たちのプレーを見た時、自分が実際にプレーした時の感覚から言語化したものです。こういう形で「実際のプレーから指導のコツや練習ドリルを作る」ということがとても大事だと僕は考えています。このことを「実践のワザ化」と呼んでいます。
海外やSNSの情報から、コツを言語化したり、練習ドリルを真似するのも一つの手です。その一つとして、この大和籠球も活用してほしいという思いで情報発信をしているのですが、あくまで外部の情報は”参考”にするものであって、答えは「目の前の選手の中(コート上)」にあることを忘れないようにする必要があります。そこを見落とすと、Princeton Offenseといった戦術の表面的な部分しか取り入れられず、型にハマる(ディフェンスを見れない・個性がなくなる)という状態になってしまいます。指導者の皆さんはお気をつけて。
バスケットボールにおいて、最も弱い動きとは?
次に実践したのが「バックカット1対1」です。
これは練習ドリルとしては少し難易度が高いのですが、習慣として「バックカットをしたらキャンセルをしない(戻ってこない)」というのが初級指導としては重要なので、このドリルを創りました。また、ここでは世界一のシューターであるStephen Curryがクリニックの際に伝えていた言葉を引用しています。
Stephen Curryは、バスケットボールで最も弱い動きとして、ディナイされたディフェンダーに対して更に上方向にいってパスを受けようとすることだと言っています。つまり、バックカットができる場面なのに、カッティングせずにボールに近づく動きを「バスケットボールで最も弱い動き」であると言っているのです。これは学生で本当によく見るプレーですが、バックカットという選択肢がないと、こういうプレーが多くなり、プレーが重たくなります。強いディフェンスを崩せないまま、試合が終わってしまいます。
“It’s the weakest move in basketball.” pic.twitter.com/dg47ILoCEB
— Reid Ouse (@reidouse) January 28, 2024
バックカット後のスクリーン「Exit(カリースクリーン)」
次に伝えたのが、バックカット後の選択肢「Exit(カッターの”出口”を作るダウンスクリーン」です。
これはGolden State Warriorsの代名詞とも言えるスクリーンプレーで、Stephen CurryやKlay Thompsonといった世界一のシューターを活かすためのアイディアで、このプレーがあったから、カリーやトンプソンは「バックカット」というボールから離れる選択肢をニュートラルに選べていたのだと僕は考えています。バックカットのオフェンスを導入する上で(プリンストンを実践する上で)、また、オフェンスの流れを止めないために、シューターを活かすために最も重要なプレーの一つだと言えます。
バックカットにパスが入るのは、実際の試合では「3回あれば多い方」だと僕は指導者/学生たちに伝えています。そのくらい、試合中にバックカットが決まることは多くはないのは、それだけパスが難しいからというのもありますが、一度でも綺麗に決まると相手のディフェンスが警戒して(相手ベンチから「バックカットバックカット!」という声が聞こえてくる)パスが入りにくくなるからでもあります。
でも大事なのは、バックカットをやめないこと。バックカットを警戒されたからといって止めてしまったら相手の思う壺です。バックカットに綺麗にパスが通って得点が取れなかったとしても、バックカットをやり続ける(ディフェンスを崩す)ことが「賢者は強者に優る」を実現するためにとても重要な戦略(意識)です。
ただ、そこで「バックカット後の選択肢」がないと、選手の心理としても「バックカットをしてもパスが受けられない」という気持ちになって、バックカットを本気で狙わない(リングに向かわない&ボールをちゃんと受けようとしない)「惰性のカット」になってしまいます。もしくは、ディフェンスがディナイをしているのにボールに向かっていって、ターンオーバーになるか、オフェンスが重たくなります。これは本当によく見るシーンです。
だからこそ、大事なのは「バックカットにパスが入らなかったとしても、逆サイドで味方がスクリーンをかけてくれてパスを受けられる」という信頼を作ることです。それが「Exit(出口)」という「カッターの出口を作るダウンスクリーン」。
もちろん、このプレーはStephen Curryのようなシューターに行ってこそ脅威となるもので、外のシュート力を高めること、シューターやエースに対して行うことが効果的です。本来の目的はそれであるのですが、ただ、シューターでなくても「基本的にカットした選手には逆サイドでダウンスクリーンをかける」というをチームの共通理解にしておくと、チームとして「カッティングが文化」になるのでお勧めです。
実際、このダウンスクリーンを一つかけるだけでもチャンスが生まれるし、もし仮に外でシュートが打てなかったとしても、カッターの選手がそのままローポスト(Playmaker spot)でパスを受ければ、次のプレー(ダブルパンチ)に繋げられます。これが「Princeton Offense」の最も特徴的なコンセプトの一つ「プレーを繋げる」という発想であり、大和籠球で伝えたい「水のように滑らかで止まらないオフェンス」を創るために必要なアイディアです。
以下の動画で、その流れと練習ドリルを紹介しています。
ピンチポストの崩し(3対3)
1日目の最後に、「ピンチポスト」を指導しました。
「Pinch Post」という概念は、マイケル・ジョーダンの時代からあるもので、Princeton Offenseや現代のバスケットボールにおいても起点となるプレーです。名前の通り、「チームがピンチの時に助けてくれるポスト」。ガードがパスの出しどころがなくて困っている、プレッシャーディフェンスに負けてボール運びに苦労している、wingの選手がディナイされてパスを受けられない、攻め手がなくてオフェンスが停滞している、・・・そういった時は「ピンチポスト」の出番です。
◆ピックよりもオフボールスクリーン
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) January 16, 2025
ウィンターカップを見てもインカレを見てもトップレベルはまだまだPick&Rollが主流。ただその分、DFも進化しててスペースを潰す守りが多い。
・ピンチポスト+オフボールスクリーン(ダブルパンチ)
この可能性を探究し続けたい。pic.twitter.com/JlKauhqFvd
◆フレアースクリーンの駆け引き
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) December 25, 2024
Boomerの一部
プリンストンオフェンスの一部
ピンチポストの駆け引き
ダブルパンチ
・答えは目の前のディフェンスが教えてくれる pic.twitter.com/eVXrKzA6fY
◆ダブルパンチのバックカット
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) November 14, 2025
ヨキッチの「ここしか無い」パス
ダブルパンチ、ピンチポスト
これもプリンストンの派生です
止められた後のバックカット#バックカットの体系化
pic.twitter.com/utGPgEhdbT
Princeton Offenseの中に「ピンチポスト」があり、現代のNBAを見ていてもピンチポストに繋いでからDHOで崩していく場面が増えていると感じています(「Boomer(Dribble)というDDMを活用したオフェンスが主流)。ピンチポストにパスを落とすことで、単なるオンボールスクリーンではなく、「オフボールの2on2」を作った後に「DHO(Pick&Roll)」に繋げることができるので、強度の高いディフェンスを崩しやすくなります(オンボールでスクリーンをかけるとドリブル力が問われるため)。
1日目は、ここまでの内容を実践して終了。
本来、Princeton Offenseは一つのチーム(プリンストン大学)が何十年かけて創り上げたものなので、1日や2日で身につけることは不可能なものです。Pete Carrilさんが選手たちと30年かけて創り上げたものが、1996年のNCAAトーナメントで前年度優勝校のUCLA大学に勝利するという形で全世界に広まったものなので。
でも、Pete Carrilさんは「30分あれば理解できる」という言葉を残しています。全体像、Princeton Offenseのコンセプト(パスの考え方・バックカット・プレーの繋ぎ方)をもとに指導をすれば、プリンストンの感覚を身体に落とし込むことができます。
僕が全国各地で直接指導(チームセッション)の際に意識しているのは、「数時間でプレーの”感覚”が変わるように全体像を先に伝える」ということです。一つひとつ、細かいスクリーンの使い方やかけ方も本当は教えたいですが時間がない、そこだけを伝えても全体像がなかったら試合で使えない。どんなにいい雰囲気で練習ができたとしても試合で使えないと意味がないと思っているので、チームセッションの時間だけが楽しくて満足したとならないように意識しています。
今回、1日目で伝えたのは大和籠球(プリンストン)の全体像です。バックカットの感覚、プレーの繋げ方、ノールックパスの出しどころなどを学生たちと一緒にプレーすることで伝えました。この感覚をもとに2日目は、より深い内容、5対5に繋がるように指導しました。
【インタビュー】大和籠球のチームセッション(直接指導)を受けて
今回、声をかけてくださった福尾さん(U15男子)、教え子の佐藤さん(U18男子)がインタビューに答えてくださいました。
コロナの頃に、練習時間の短縮によってより効率の良い練習を探していた福尾さん。そして、東京オリンピックで日本代表女子の町田瑠唯選手の「バックカット」をきっかけに、バックカットについて調べていた中で「大和籠球」に辿り着いたという経緯。そこから、中学生男子チームにChinやバックカットを導入して、さまざまな変化が起きたそうです。教え子の佐藤さんもプレイヤー時代に元々、プレーメイカー(Nikola Jokicのようにパスでチームを動かす選手)だったそうで、大和籠球(プリンストン)はまさに自分の指導理念ともピッタリはまり、学生たちと共に大和籠球プリンストンを楽しんでいるとのこと。
こういった声を直接聞けるのは、情報発信者としてとても嬉しいです。長年、情報発信を続けてきて本当に良かったと思えるのはリアルで視聴者/フォロワーの皆さんとお会いし、こういった現場のお話を聞かせてもらえる時です。「大和籠球と出会ったことで、人生が変わりました(より良くなりました)」という人をもっと増やしていけるように、これからも発信を続けていきます。
2日目
1日の夜は、福尾さんと佐藤さん、中川さん(福尾さんの知り合い)と懇親会。1日目の映像を一緒に見ながら盛り上がり、チームセッションでいつもこのような懇親会の場を設けていただけることがとても有難いと心から感じました。依頼していただけること、おもてなしをしていただけることへの感謝を忘れずに、これからも活動を続けていこうと改めて思いました。
2日目は、新しく参加した中学生女子チーム(5名)も一緒に練習。1日目よりもさらに人数が多くなり、尚且つ、コートが正規よりも小さい(都内なので仕方ない環境)だったので、狭いコートでしたが、できる限り対人やプレーの経験が増えるように工夫して練習ドリルを組みました。
駆け引きの基礎練習「RONDO」
大和籠球では、駆け引きの基礎として「RONDO」というドリルを実践しています。
RONDOはこれまでもYoutubeで紹介してきていますが、元はサッカーの練習です。よく「鳥かご」という名前で行われているパス回しの練習とやっていることは近いですが、サッカーの世界では「RONDO」という練習はトップのプロ選手たちも本気で取り組んでいるほど重視されている練習です。
実際、このドリルはただのパス回しではありません。狭いスペースでミスをしないための技術(ミート、ピボット、バウンドパス)、ディフェンスを騙すフェイク(ノールックパス、目線や体の向きでのフェイク、タイミングを外す)、ディフェンスにボールを取られない位置に動く(スペーシング、間の技術、ダブルチームの回避、ゾーンアタックなど)といった、バスケットボールの基礎を身につけられる最高の練習ドリルです。実際、僕自身、この練習を通して「間合い」「ミート」「バウンドパス」「ノールックパス」「狭いスペースでの冷静さ」などを身につけました。だからこそ、この練習を毎回とても大事にしていて、「単なるパス回しではない」ということを強調して伝えています。
今回は、人数や使えるコートを考えた上でU15に必要な基礎が身につくように、いくつかの種類を実践しました。RONDOは、本気でやればやるほどバスケで必要な技術が身につく最高の練習です。ただし、それは「取り組み方次第」。どのような意図で、どのような声がけで、取り組ませるかも指導者の役目です。僕は初めて会う子たちで「バスケットボールの楽しさ(パスの楽しさ)」を伝えることが主な目的なので、こういった雰囲気で伝えていますが、チームを見ている場合はまた違う空気感で指導します。チームの目的目標に合わせてご活用ください。
バックカット1対1「バックカット最強ドリル」
これは僕が関わっていた母校の大学男子チームの子達が考えたドリルです。名前「バックカット最強ドリル」というのも、学生たちがつけたもので、学生たちに敬意を表してそのままの名前で伝えています。
バックカットにはミスがつきものです。初めてバックカットにパスを出す子がほとんどで、しかも、カッターもバックカットを表としてプレーすることはほとんどない。そんな中でミスが起きるのは当たり前です。ただし、5対5の中でミスばかりだとオフェンスとしては進化しないし、経験を積めないので、結局、バックカットが身につかない。・・・そういった課題を解決できるのがこのドリルです。
このドリルの目的は「バックカットへのパスを通せるようにすること」ですが、それよりも更に上位にある目的は「バックカットにパスが入る時と、入らない時を見極める判断力を身につけること」です。経験を積んでいくと、Dribble atをする前に「これはパスが入る」「これはロブパスなら入る」「これはパスが入らない」といったことが見えるようになります。これは「失敗の経験」と「成功の経験」を、それぞれフォルダー分けするような形で脳なイメージとして蓄積していくと出来るようになります。
僕ほどバックカットを見ている人はほとんどいない(時間的にも無理)だと思うのですが、これまで数え切れないくらいのバックカットを見てきた僕の視点で、「バックカットのコツ」「バックカットがミスになるパターン」「バックカットのパスの種類・カットのタイミング」を最初に伝えています。その上で、ぜひこのドリルを実践してみてください。とても重要です。
緩急の指導法「ドンチッチドリル」
NBAのスーパースター、Luka Doncicのような緩急を身につけるための練習ドリルです。
ドンチッチといえば、圧倒的な余裕と判断力の高さで、ありえないような効率の良さで得点やアシストを量産する選手です。それは幼少期からきちんと基礎を教わり、若くしてプロの舞台に立ってきたことや、もちろん生まれながらにしての才能(生まれ育った環境)なども影響しているのは言うまでもありませんが、僕らでも参考にできること・参考にすべきことはあります。それが「スピードを落とす」という技術です。
これは一つの技術であり、「緩急」を身につけて、冷静な判断をするために最も重要なことです。なぜなら、人は速く動けば動くほど視覚情報が正確に受け取れなくなるので、状況判断が悪くなるから。遅く動くことで、ディフェンスのズレ、パスコース、シュートかパスかの判断などが見えるようになります。
多くの選手は「アクセル(スピードを上げること)」は踏めても、「ブレーキ(スピードを落とすこと)」は出来ません。だから、ドンチッチのように”あえて遅く動ける選手”が超一流なのだと僕は考えています。「緩急」が上手く使えるようになると、ディフェンスの強度が高かったとしても、ディフェンスを止め、ディフェンスを騙して、タイミングを外すことができます。それをするためには「スピードのコントロール(ブレーキを踏むこと)」が必要不可欠です。
ただし、この「緩急」というのは指導するのがとても難しいスキル。なぜなら、選手たちは(若ければ若いほど)「止まる」ということができないからです。本能的に動きたいと思うのが、自然な人間の反応。じゃあどうしたらいいのか?それが動画で紹介しているような「スピードの制限を加える」という方法です。
スピード制限を加える
スピードの制限をルールとして加えることで、必然的に100%が使えなくなります。その状態で、ディフェンスとのズレを作るようにプレーすると、「ゆっくり動く」ことで今まで見えなかったチャンスが見えるようになります。また、そのゆっくり動いている時に「今、100%を使ったらチャンスができる」という感覚も覚えておくことが重要。そうすることで、実際の試合中(100%を使える状況)で「100%の使い時」が感覚的にわかるようになります。
このドリルは指導者の「心の余裕」がなかったら、イライラしてしまうと思います。ある種、指導者の在り方も問われるドリルです。もどかしいですよ、もっと速く動けとか、今がチャンスだろうとか言いたくなる気持ちが生まれると思います。でも、選手たちが自分たちで気づけることが重要なので「ヒント」は与えてもいいですが「答え」を教えるのは可能性を制限してしまうことになるし、指導者の方もおそらく初めてのドリルだと思うので、選手と一緒に学びながら楽しんでほしいなと願っています。
スピード制限をどのくらい練習させるかは、チームの雰囲気、状況、選手の表情などによって変えてみてください。短い時間だとしてもゆっくり動くことでたくさんの発見があるはずです。「自分がゆっくり動けば、相手もゆっくり動く」というのが普遍の真理です。
ダブルパンチウィンドウ(応用)
次に伝えたのは「ダブルパンチ」の応用。
ダブルパンチとは、大和籠球の用語で「中と外の攻撃を同時に起こす(カッティング+ポップアウト)」というプレー。スクリーンプレーの中で「バックカット」を活用することで生まれる概念で、いわゆる「Split cut」というアクションを「バックカット」で再定義したものです。そのダブルパンチの応用として、パスが入らなかった時に逆サイドの45°の選手がカットして入ってくるプレーがあります。応用にはなりますが、プレーが止まらなくなる、トリプルパンチのようにカッティングを連続的に起こす効果的なプレーです。参考までに。
5対5(Princeton Offenseの作り方)
最後は、3対3のパーツを練習して5対5。
5対5をする中で、タイミングを見計らってPrinceton Offenseのパーツを伝えました。あくまで、Princeton Offenseというのはセットではなくて、2対2や3対3を繋いでいくことが重要です。「バックカットを中心にしながら、誰がどう動いても次のプレーを創り出せる(プレーを繋げていける)」このコンセプトを「プリンストン」と僕は呼んでいます。「セット」「モーション」という概念と同じように、オフェンスの概念として「プリンストン」がある。そんなイメージです。
※今回はU15とU18の男子チームをメインに指導していたこと(依頼を受けた福尾さんと佐藤さんのチーム)と、固定カメラでの撮影になったので片側だけ撮影しています。また、カテゴリーを混ぜて対人をしていて、コートの狭さ的にもオールコートは練習していません。本当は「エントリー」も重要なのですが今回はこのような形で、ハーフコートオフェンスを重視して行いました。
以上が2日間の内容です。
大和籠球のチームセッションは、チームの課題に合わせて「Princeton Offense」をベースにした「賢者は強者に優る」を実現するための基礎を伝えています。今回は合同チームセッションだったので、このような形での指導となりましたが、合同だったからこそ、たくさんの学生たち指導者の皆さんとお会いできて本当に幸せな時間でした。
学生たちは「パス」や「バックカット」を通して、仲間とプレーを作る楽しさを感じてくれたようで何よりでした。僕が学生時代に全くといっていいほど考えていなかった「仲間とプレーを作る」ということを、今こうして学生たちに伝えることができるのは嬉しいことです。過去の自分の経験を活かして、過去のチームメイトたちとの時間を活かして、今後も「大和籠球」を伝え続けてます。
福尾さん、今回は本当にありがとうございます。
また今後とも、プリンストンを深めていく同志としてよろしくお願いたします!
お会いした指導者の皆さん、選手のみんなも、ありがとうございます。また会いましょう!
PS.
嬉しかったのは、クリニック終わりに参加者(学生を含む)にアンケートをとったところ、中学生の子から
「これからもプリンストンではなく、そのチーム、学校の色が出るバスケを広めていってください。応援しています。」
というコメントをもらったことです。
僕が大和籠球を通して伝えたい
・個性を活かす
・チームの強みを活かす
ということをちゃんと受け取ってくれたことが伝わり、嬉しかったです。
今後もプリンストン(Pete Carrilさんの哲学)はベースではあるけれど、
それぞれの選手、チームの個性や強みが生きるバスケットボール(大和籠球)を伝えていきたいと思います。







[…] けてくださった東京U15指導者の福尾さんから依頼を受け、合同チームセッションを開催。※昨年のチームセッションの様子:大和籠球@東京「2日間でプリンストンの基礎を身につける」 […]