こんにちは、原田です。
今回は日本代表の活動方針について、
ホーバスさんと恩塚さんの言葉を紹介しながら深めていきます。
まず率直な感想から紹介すると、
「これからの日本代表のバスケが楽しみ」
「今まで賢者籠球で深めてきたことと繋がることが沢山ある」
ということです。
ホーバスさんの方針も、恩塚さんの理念も、どちらも素晴らしいなぁと感じました。
今までも日本代表のバスケは見てきましたが、
今回ほど楽しみな年はないかもしれません、個人的には。
それくらい、これからの日本代表がどうなるか注目しています。
さて、今日は活動方針についてまとめます。
(試合を見て感じたこと、戦術的なことは次の記事でまとめます)
まずこちらの動画、見ましたか?
特に指導者の方は是非ご覧ください。
(日本の方針なので必見の内容だと思います)
この内容を見た時、「素晴らしいなぁ」「これからが楽しみだなぁ」という感想と同時に、
これまで僕が5年前から運営してきたPrinceton Offenseを深めるコミュニティ「賢者籠球」でやっていた内容と繋がることが多かったです。
つまり、
Pete Carrilさんの考え方、
Princeton Offenseの中に
日本代表が目指しているものが凝縮されている
と感じました。
Princeton Offenseは古くて廃れたものではなく、
バスケットボールの本質を追求した現代バスケの基盤ともいえるのではないかと感じます。
そう思える理由も合わせて紹介していきますね。
〇東野さんの言葉
まず、理事長の東野さんから。
東野さんは以前、こんなことを言っていました。
(詳しくはこちらの記事でまとめています)
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Japan’s Way
【日本が世界と戦うために核心となる戦い方】
「常に先手を取り
初めから最後まで
攻め抜く」
これが「Japanの道だ」とおっしゃっていました。
これを聞いたとき、僕は
「あ、バックカットのことじゃん」
と率直に思いました。
もちろん、バックカットが全てではありません。
ディフェンスとかブレイクとかでも、この理念を体現はできると思いますし必要だと思います。
でも、バックカットでも同じようなことができる。
そして、今回の会見では、女子と男子共に目標の共有がメインだったように思います。
「バスケで日本を元気に」という理念のために、世界一という目標に向かって活動する。と。
「元気」というのは、
「元の氣」と書きます。
つまり、ハイテンションとかローテンションでもなく、「ゼロ」です。
ゼロというのは、
その人の平常心であり、
本来の状態のことです。
ヒトが備えている本来の力が発揮されている状態。
その人自身が、その人らしく、
個性が最大限発揮されている状態。
これは「無」とは違います。
無は「何もない」ですからね。
存在していないことになります。
でも、ゼロは数直線上に存在します。
つまりは、存在が確認できるもの。
ゼロとは、原点であり、全てを含んだ数字です。
原点=あらゆるものを生み出せる
ですからね。
DNAのようなものです。
一般的に「テンションが高い=元気」と勘違いされやすいですが、
その人本来のエネルギーでなければ、それは元気ではなく「病気」と言えます。
ここを勘違いしていると結構大変です。
ハイテンションって、ずっとは続かないですよね。
いつか必ず落ちます。
それは高いところにあるものが重力と共にしたの落ちるのと同じ。
熱々のコーヒーを放置していたら温度が下がっていくのと同じ。
自然現象です。
テンションが高いのを維持しようとするのは難しいし、
SNSとかでテンションMAXの様子をアップしまくっている人は裏では逆に鬱状態になっている
みたいなこともあったりします。
つまり、自然ではないという事です。
(もちろん、人から見て「ハイテンション」がその人にとっての「普通」なら問題ありません)
日本語ひとつひとつには深い意味があります。
先人たちは言葉にエネルギーを込めてきました。
元気についても、よくわかっていたんでしょうね。
ちなみに、
「気」という言葉も、
もともとの旧字体は「氣」でした。
こっちを使う人、身近にいませんか?
これは、以下のような意味が含まれています。
つまり、「気」だと内気になってしまうという事です。
実際、これは身体で検証すると、
「氣」を使った方がエネルギーが出るのが科学的に分かります。
(スピリチュアルでも何でもないという事です)
エネルギーが出る、ということは
「行動に移りやすい身体の状態である」
という事です。
逆に言えば、「気」は内向きのエネルギーなので、
内気な生き方になってしまう、閉じこもってしまいます。
これは戦後に変えられました。
ちょうど、この記事を書いているのが戦争に負けた8月15日ですが、
日本はアメリカとの戦争に負けた後、GHQが日本の言葉や文化などを変えたことは有名な話です。
(これはGoogleで調べたら出てくる普通の話です)
戦争に勝った国というのは、
相手の国が二度と自分たちに反抗してこないように(占領できるように)、
その国を弱体化させることを考えます。
その政策の一つが「旧字体を無くす」ということだったそうです。
「旧字体は複雑だから簡易化するために変更されたんだなぁ」
なーんてことを僕は昔思っていましたが、
そんな浅い意味ではなかったわけです。
日本人の言葉に含まれるエネルギーがどれだけ凄いか?
というのをGHQさんはよくわかっていたのでしょうね。
その他にも、
「志」という言葉を教科書に載せない
という方針もあったそうです。
だから、今の教科書にはないですよね。
学校教育の中で「志」を学ぶ機会もないですよね。ほとんどの学校では。
かつての日本は立志をしていました。
15歳までに自分の人生の目的を決め、
立志することで初めて社会から「大人」として認識されていました。
(今でいう成人式が昔は「立志式」だったわけです)
一人ひとりが志を持っていたので、
誰かにすがることもなく、誰かを崇拝することもなく、
自分の生き方を自分で決めて、自律した大人が沢山いたのです。
志とは、武士の心。
つまり、侍スピリットのことです。
スピリット(精神)でありますが、
それを身体で体現していたのが侍です。
つまり、理屈や口だけではないという事。
このことを日本語で「心身一如」と呼びます。
西洋的な「メンタル」とは異なる考え方です。
侍と武士は全くレベルが違う別ものだったそうですが、この話をすると長くなるのでまたの機会にするとして、
とにかく、「志」という言葉も戦後の政策によって僕ら日本人の中から無くなり、今の社会や教育があるわけです。
(言語の他にも「3S政策」などによって様々な文化などが変えられました)
それから77年が経った今なわけですが、
志がないことで、
自分の生きる目的がわからず、
周りの情報に流されてしまう人も増えてしまいました。
日本の若者の自殺者が多い理由の一つもそこにあるのではないかと思うと、
これはとても大きな問題であるのは間違いありません。
僕自身、まさに「自分探し」をして迷走していた時期があるのでよくわかります。
そんな今の日本の課題を
バスケットボールという多くの人と繋がれるツールを使って、
楽しく、チームで、乗り越えていけたら最高ですよね。
嫌々勉強して「元氣」に戻るわけじゃない。
好きなバスケを通して、
チームの仲間たちと元氣に戻る。
結果的に、バスケを通して人生が豊かになる。
「バスケで日本を元氣に」
というテーマ、言葉には、
とても大きな意義があると僕は捉えています。
まさに、これは僕自身も目指しているものです。
日本バスケットボール協会の理念と、
今僕がやっている活動が一致するところがあり、
なおかつ、それを単なる机上の空論ではなく、ホーバスさんと恩塚さんが日本代表チームをモデルに
具体的にそれを体現しようとしている姿がとても素晴らしく、
自分ができることで日本を元氣にしていこうと思っているところです。
僕は先ほど話したような
・本来の自分自身に戻る
・戦後に変えられた僕らの在り方の話
・日本という土地で、どのような文化や言葉が生まれていたのか。
・「武」という数千年前から引き継がれてきた、この世界を構築してきた術を体現していた侍たちがどういう生き方をしていたのか
・これからの時代に必要な生き方、本来のヒトの在り方
といったことを、バスケットボールと絡めながら発信していきます。
もちろん、それはバスケットボールの技術や戦術を学べるものとしても。
実際にバスケが上達して、チームが強くなる視点も共有しながら。
そんな様々な視点を含んだ大きなバスケットボール
「大和籠球」
を発信していきます。
それでは、続いてホーバスさんのお話へ。
〇ホーバスさん
簡潔にまとめると、以下のようなことをお話されていました。
・日本の強みを生かしたバスケする
・自分の役割とチームメイトの役割を理解することが大切
・スリーポイントorレイアップを狙いたい(ロング2は極力打ちたくない)
・カッティングが一番いい
どれも「うんうん、それですよね!」と納得&共感できるコンセプトでした。
(こんな風に日本代表に対して思えるのは初めてかもしれません)
細かい戦術は別の記事でまとめますが、
まず、
・日本の強みを生かしたバスケする
については、
「スピード」を挙げていました。
ただ、これはガムシャラに走りまくるものではもちろんなく、
そこには「冷静な判断」も含まれたスピードという意味でしょうね。
恩塚さんがそのスピードに対して、とても適切な言葉で表現していたのでそれは後程。
・自分の役割とチームメイトの役割を理解することが大切
に関しては、これもまさにそれが大事だよなぁと感じました。
オフェンスにおいて、形を遂行することは大事ですが、
それだけになってしまうと個性が死んでしまいます。
日本代表男子のバスケは、前回のオリンピックを見る限りだと、
結構、忠実に形を遂行していて、相手がディナイをしていても無理やり形を押し通そうとしているところがあり、
もっと柔軟に相手によって形を変えながらオフェンスをその場で創っていくバスケをしたら面白そうだなぁと感じていました。
ホーバスさんのバスケは、女子日本代表の頃を見ても、形があるようでほとんどないオフェンスをしていました。
それを男子にも持ち込む上で、
まず考えるべきことは「形」よりも、
「一人ひとりの選手の良さを活かすこと」
だと思うので、素晴らしい流れだと感じました。
実際、今の男子はそれぞれの良さを存分に発揮してますもんね。
チームを構築する上で、当たり前のようで、
実は見落とされがちな部分を強調しているホーバスさん、
まさに「日本を代表するチーム」を率いるコーチだなぁと感じました。
日本でバスケをする皆さんに、バスケットボールの一つのモデルを提示してくれたら最高です。
で、次が本題。
・スリーポイントorレイアップを狙いたい(ロング2は極力打ちたくない)
ホーバスさん
「バスケットボールは変わりました」
この20年間で、データで示す通り、
ロング2が減って、スリーポイントが圧倒的に増加しました。
それは明らかです。
そして、ホーバスさんは続けて
以下のデータを引用しながらこう言っていました。
「カッティングが一番いい」
これは「PPP」という指標で、
要は、期待値の高さのことです。
効率の良さですね。
データで示している通り、
「カッティングが一番(効率が)いい」
という事です。
現代バスケットボールの特性である「スリーorレイアップ」を踏まえて(これを「モーレイボール」なんて呼んだりします。ハーデンがいた頃のロケッツから一気に広がりましたね)、
カッティングで一番確率の高いシュートを狙うか、もしくは期待値の高いスリーポイントで得点を量産するバスケを目指していく、という事です。
八村選手がエルボーからの1対1が得意なこともあって、
以前の男子日本代表はエルボー付近からのシュートが多くありましたが、
それを一新していくという方針を打ち出したわけです。
これも「うんうん、そっちの方が効率がいいですよね」という納得と共感でした。
で、僕はこれを聞いて思ったのです。
「これ、プリンストンと同じだ」
ホーバスさんが示す通り、時代はスリーポイントorレイアップに移行しています。
それが「新しいバスケットボールのスタイルである」という表現も間違っていません。
ただ、これを
今から30年以上前から
徹底してやっていたチームがあります。
それがプリンストン大学。
Princeton Offenseとは、
まさに「スリーポイントorレイアップ」を狙うオフェンスであり、
しかも、カッティング(主にバックカット)が中心にあるオフェンスです。
つまり、ホーバスさんが目指しているバスケは言葉を変えたら「プリンストンオフェンス」と言えます。
実際にデータを見てみると、
当時のプリンストンは”異質”でした。
明らかに、スリーポイントにこだわっていたことが分かります。
Princeton Offenseは30年以上前に有名になったオフェンスで、
それ以前からキャリルさんはプリンストン大学で指導をしていたので、オリジナルはもっと古いとも言えます。
でも、やっていたことは古くない。
古い古くないというよりも、
「バスケットボールの本質を追及していた」
と言えると僕は考えています。
スリーポイントの価値が高まっている現代のバスケットボールを考えると、
「時代を先取りしていた」とも言えるのではないでしょうか。
少なくとも、
ホーバスさんの目指しているバスケは、
数十年前からプリンストン大学がやっていたオフェンスと同じようなものであり、
Princeton Offenseの中に日本代表が目指しているバスケの元があると言えると思います。
データで明らかになっていますもんね。
ホーバスさんがカッティングをどう取り入れているか?
に関しては、実際の試合を見ながら分析しています。
「カッティングが一番いい」
というのはデータ上ではわかっているけど、
それをチームにどう落とし込むかは様々な方法があります。
ホーバスさんは、女子の時に採用していた形をまずは男子に落とし込んでいるように感じています。
その具体的なプレー解説や分析については次の記事でまとめますね。
そんな男子日本代表の素晴らしい方針を聞き、
賢者籠球(Princeton Offense)との繋がりも感じることができた後、
恩塚さんの話を聞くと、更にびっくりでした。
こちらも納得&共感できるお話で、
より一層、賢者籠球(Princeton Offense)を深めていこう
という氣持ちになりました。
とにかく、これからの日本代表が楽しみです。
そんなわけで、続いて恩塚さんのお話を。
〇恩塚さん
恩塚さんは東京医療保健大学を指導されている時から「こんな素晴らしい指導者が日本のトップにいるなんて、素晴らしいなぁ」と感じていました。
まさに「人格者」という言葉がぴったりの、バスケットボールの指導者としても、人生の指導者としても、素晴らしい以外の言葉が見当たらない方だなと感じています。
恩塚さんのお話は、
ホーバスさんの話以上に、
「賢者籠球と通じるところばかりだ…!」
と感銘を受けたので、もう動画全部見てくださいとだけ言いたい氣分です。笑
まず、恩塚さんは「世界一になるために」からすべてを逆算して考えている、ということを言っていました。
そのためには
・他者には絶対に負けない強みを持つこと
が大事だと言っています。
それが「アジリティ」
これは日本人の強みである
・速さ
・忍耐力
・調和性
・全体性
から導くことができる、と。
ただ、これは単なる速さのことではなく、
・素早く効率的なプレーを発揮し続けられる力
と定義しています。
「速さ」といって、ただがガムシャラに走り回るだけではなく、
そこには冷静な判断が必要で、それを連続して行っていくことが大切。
これを「COUNTER BASKETBALL」と恩塚さんは呼んでいます。
うん、わかりやすい!
そして、そのためには
・駆け引きのパターンを知っておく
という事が必要だと、恩塚さんは言っています。
それをジャンケンで例えていました。
「相手がこうきたらこうする」
駆け引きのパターンをどのくらい知っているか?
そして、それを反射的に動けるように身体に落とし込めているか?
そこが大事になるわけですね。
それも「ワクワクした氣持ちで選んでいく」という表現、
これはもう秀逸としか言えないなぁと思いました。
選手がワクワクした氣持ちでプレーを選択していける。
それは素晴らしいことですし、
駆け引きを本当の意味で成功させるうえでは、
そういう「自由」や「主体性」がなければ無理だと僕は思います。
指導者にやらされて、指示待ちになっていたら「一瞬のズレ」をつけないですからね。
恩塚さんはそのことをよくわかっているのだと思いますし、
そういう選手を育てたいと思う背景には「目標」ではなく「志」が関係していると感じます。
で、この「ジャンケン」について。
これを聞いたとき、
ホーバスさんの時と同じように、
「プリンストンと同じだなぁ」
と感じました。
繰り返しになりますが、これは「自分が深めていたことが凄い」と言いたいわけではなく、
Princeton Offenseにはバスケの本質が含まれているから、自然と繋がってくるという話です。
そして、ホーバスさんや恩塚さんの話がバスケットボールの本質に触れているという事でもあります。
僕と同じように、
お二人の言葉やコンセプトに、
納得&共感した方は多いのではないでしょうか。
まさに、「ジャンケン」の感覚なんですよねプリンストン。
僕はプリンストンを経験した後、
バスケットボールの価値観が大きく変わった、
それこそ180°変わったのですが、
それを表現する時にジャンケンを例えに出したことがあります。
僕は、バックカットを通して「本当の駆け引き」を知りました。
それをジャンケンに例えると、
・バックカットを深めていないバスケ=ジャンケンでグーが制限されている状態
だと感じます。
これ、ほんとにこんな感覚なんです。
「こうきたらこうする」
という恩塚さんが言う駆け引きを体現するためには、
バックカットという裏の選択肢を持っておくことは必要不可欠です。
裏表のシンプルな駆け引きを、ニュートラルに行えるかどうか。
ニュートラルとは、どちらにも偏っていない状態。
つまり、ゼロであり、相手に合わせられる状態のことです。
バックカットを深めると、その「ニュートラル」を創ることができます。
駆け引きが上手くなるんです。
これまで賢者籠球(Princeton Offense)を体験した人にインタビューをしてきたのですが、
その中で「本当の駆け引きの楽しさを知れた」とか、「ニュートラルになった」といった言葉を聞いてきました。
僕だけではなく、
バックカットを深めた人は同じように、
ニュートラルな駆け引き(本物の駆け引き)の楽しさを体験しているという事です。
いやー、ほんとおもしろいんですバックカット。
バックカットを深めたバスケは。
恩塚さんのイメージは、
おそらくですけどプリンストンと同じように、
「こうきたらこうする」という駆け引きのパターンを身に付ける
→それを組み合わせることで、その場での最適解を選ぶことで先手を取り続けられる
ということなのではないかと考えています。
それが「プリンストン」とも呼べると思いますが、
それよりも、もはや「バスケットボールとはそういうもの」と言えるとも思います。
恩塚さんは、まさに
「バスケットボールっていうのはこうやってプレーしたらいいんだよ」
っていうモデルを日本代表チームを通して伝えてくれていると思います。
指導者がどのようにチームを構築していけばいいのか?
についても、恩塚さん自身のコーチングで示してくれています。
本当に「素晴らしい」以外の言葉が見つかりません。
この「駆け引き」の部分に、
「バックカットがあるかないか」
というのがポイントで、
バックカットを深めることなくして、
僕は「本物の駆け引き」を体現することはできないと考えています。
なぜなら、
試合中はディナイされることが多く、
その対応についてきちんとチームとして深めていなければ、
練習してきたオフェンスの形を遂行することができないからです。
多くの場合、「ディナイされた時の対応」を”裏の選択肢”として後で準備します。
でも、自分たちよりも強い相手と対戦する時、
たいていの場合は先読みのディナイをされたりプレッシャーディフェンスを受けて、思うようにプレーできないものです。
その時、ディナイの対応をチームで深めていなければ”後手”に回ってしまいます。
もちろん、オフェンスの形を練習することも大事です。
ディナイされたとしても形を遂行できる力も大事です。
でも、それと同じくらい、ディナイされた時の対応も大事。
Princeton Offense、賢者籠球では何をしているかというと、
「バックカットを表」として、まずバックカットで相手を崩すことを考えて、
そのバックカットで生まれるズレから形を創り、5対5の形(バックカットオフェンス)を創っていく
という事です。
相手がディナイで先読みしてきたとしても、そこからいつでもズレを創れるように準備しておく。
それは「ディナイされたからバックカットする」という消極のものではなく、
「まずバックカットを狙う」という主体的なものです。
そうすることで、
「本物の駆け引き」
が創られると感じています。
恩塚さんが言う、「こうきたらこうする」の判断です。
賢者籠球では、「こうきたらこうする」という駆け引きのパターンを「崩しのパターン」と定義して、
バックカットを中心に、
・1人での崩し
・2人での崩し
・3人での崩し
という風に分類しています。
バックカットという、誰でも出来て、ペイントアタックができて、プレッシャーリリースができるプレーを
崩しのパターン(駆け引きのパターン)で分類することで、5対5の局面で最適解を選んで駆け引きをしていけると考えています。
「複雑で解明できない」
と呼ばれていたPrinceton Offenseも、
分解していけば、シンプルな駆け引きの組み合わせです。
その駆け引きのパターンどのくらい知っているか。
どのくらい身に付けている(反射的に身体が動くまで落とし込めている)か。
これからも僕はバックカットを中心に「こうきたらこうする」を深め続けていきます。
そして、続いて「モデルを創る」という事について。
これも本当に素晴らしい考え方で、
心から共感しましたし応援しています。
今はSNSやクリニックなどで「シュート」「ドリブル」「1対1」といった個人スキルについての技術を学べる場が増えています。
中には「スペーシング」という事をスキルとして教えている方もいますし、確実に、日本のバスケットボール界は進化発展していますよね。
ただ、それでもまだまだ
恩塚さんが感じているように
「いつ攻めたら良いか分からない…」
「ボールを持っていない時、何をしたら良いか分からない…」
という悩みを持っている選手は多くいます。
指導者も「どうやって教えたら良いか分からない」という方もいると思います。
恩塚さんは、日本代表チームをモデルにして、
そういう選手や指導者の悩みを解決していきたいとおっしゃっていました。
日本代表のバスケを見たらバスケを理解できる、という未来を目指しているという事。
素晴らしいなぁと思うと同時に、
僕が人生を通してやりたい事と同じだと感じました。
僕は人生を通して
「全ての人の病を開放し、自分らしく自然体で生きれる場と仕組みを創造すること」
を志として設定しています。
「病」というのは、病名がつくものだけではなく、
「その人らしく生きれていない状態」も含まれています。
かつての僕がそうだったように、
誰かに憧れて自分を見失っていたり、
自分探しをしていつまでも自分を創れなかったり、
人の目を気にしたりして、自分自身を表現することができなかったり。
そういう選手をこれまで何人も見てきました。
好きで始めたバスケットボールをしているのに、
いつの間にか、バスケをすることが苦痛になっていたり、
バスケをすることで自分の心に蓋をして塞ぎこんでしまったり。
そんな人を開放して、自分らしく生きる人を増やしたいと思っています。
そのために
・仕組みと場を創る
というのを目指しています。
仕組みとは、レシピのようなもの。
有名シェフが何年も修行して、ようやく創れるようになった美味しい料理も
レシピを参考にしたら、ほとんど同じように再現することができますよね。
もちろん、全く同じものは不可能ですが(同じ分量でも、作る人の想いや作り方、盛り付け方によって味や雰囲気は必ず変わるため)、
それでもほとんど同じ味を再現できるのがレシピの価値です。
恩塚さんが目指されているのは、それと同じような事なのではないかと感じています。
僕がPrinceton Offenseにこだわるのは、
自分の人生の中でとても影響を与えたものだからでもあり、
・Princeton Offenseの中にバスケットボールで必要な基礎や考え方が詰まっている
と感じるからでもあります。
というか、そういうものにプリンストンをしたい、と思っています。
プリンストンに情報を圧縮して、
「Princeton Offenseを理解したらバスケットボールが理解できる」
というものにしたい。
Princeton Offenseをバスケットボールの教科書にしたい。
Princeton Offenseという形を軸に、
「賢者は強者に優る」を体現するバスケットボールの教科書(賢者籠球)を創りたい。
それがあれば、もっと面白いバスケが増えていくはずです。
まさに、自分が人生を通してやりたいことの一つは、
恩塚さんの言葉を借りると「モデルを創ること」であり、
それを誰でも学べるような場を創り、誰でも身に付けていける仕組みを創ることです。
願わくば、僕が死んだ後もみんなが取り組んで進化発展させてくれたらいいなぁと思っています。
戦術的な面でも、とても共感できるコンセプトがありました。
それは「セットを多用しない」という事。
理由としては、
セットを組んだとしても、チャンスが作れなければエネルギーを消耗してしまう。
そして、多くの場合、最終的にはスイッチで対応されてしまうので、結局はスイッチに対する対応をしなければいけない。
つまり、いくら複雑なセットを組んだとしてもスイッチで対応されたら1対1に戻る、ということ。
そのスイッチに対するカウンターを準備しておかなければ、いくら綺麗な形を遂行したとしてもチャンスを創れない。
だから、まずはスイッチへの対応を考える必要があるし、セットよりも効率の良いオフェンスを創っていく必要がある。
という事なのだと僕は認識しています。
・・・これも、バックカットとプリンストンだなぁと感じました。
(全部自分がやってきた事と繋げるなんて勝手だ!と言われてしまいそうですが、自分の発信の正当性を主張したわけではなく…以下省略)
まさに僕もそれを思っていました。
いくらセットを練習したとしても、
相手が先読みのディナイをしてきたらそれを遂行できません。
無理やりそのディナイに対抗してボールを上で貰おうとすれば、オフェンスが重たくなります。
これは埔里の試合を見ていてもとても多くあると感じる「重いプレー」の一つです。
だから僕は「バックカットは表」を提唱しています。
まずバックカットで相手を崩していけば、
相手はプレッシャーをかけにくくなります。
そうすると、先手を取りやすくなります。
それにバックカットはスイッチにも対応できます。
相手がスクリーンプレーをスイッチしてきた際に、「スリップ」でゴールに向かうのが基本になりますが、
バックカットを表にしてプレーしていると、このスイッチで生まれる一瞬のズレをつくのがうまくなります。
◆ラインカット
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) April 14, 2021
・インラインが空いた瞬間(スイッチしようとする瞬間)にゴールへカット
・二人のDFで並んだらカットのチャンス
エース(シューター)へのダウンスクリーンで生まれやすいバックカット。それにしてもバウンドパスが絶妙すぎる…#バックカットの体系化 pic.twitter.com/zMoItAJrk6
スイッチされた後、
・スピードのミスマッチをつく
・身長のミスマッチをつく
という2通りの攻めが基本とされています。
昨年の女子日本代表は町田選手がスピードのミスマッチをつくことをメインオプションにしていましたが、
恩塚さんは「それだけでは厳しい」という判断で、身長のミスマッチをつくことを考えているそうです。
スピードのミスマッチだけでは厳しい理由は、僕も同じことを考えていました。
決勝のアメリカ代表との試合、
町田選手がペイントにドライブを仕掛けた時に、
周りのディフェンスはディナイをしてカッティングを止めていました。
予選では、町田選手のドライブからバックカットが決まっていたんです。
でも、決勝はそうはいかなかった。
それはアメリカ代表が
「戦略(戦いを略す」を練って、
相手の得意なプレーを止めてきたからです。
明らかにディナイをして周りのカッティングをケアしていました。
◆アメリカ代表の策
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) August 12, 2021
町田選手のドライブに対してヘルプによらないアメリカ代表。予選と決勝の大きな違いのひとつはこれだと感じました。これぞ「戦略(戦いを略す)」ですね。 pic.twitter.com/CWhmiO4LZm
恩塚さんは「戦略(戦いを略す)」という事についても理解されているので、
これから先、どんな戦略で試合を進めていくのか、とても楽しみです。
ちなみに、戦略というのは軍事用語です。
戦いを如何に略すかを考えるのが軍師の役割だったわけですが、
その軍師の活学「帝王学」と呼ばれているのもを身体で体現するのが武学です。
武術ではなく、武学。
なので、戦略を理解する上で、
指導者(人を導く人)が「武学」を学ぶと
どのように試合を運んでいけばいいかなどが見えてきます。
また、チームを運絵ウする方法もわかります。
人をどのように動かせばいいか。
チームのミーティングをどう効率よく進めればいいか。
そういったことも身体で身に付けていけます。
武は今の世界やヒトの元となるものなので、
ヒトが行う以上、スポーツにも応用できるところばかりです。
まぁまたその話は「大和籠球」で詳しく!
そして、最後に最も重要なことを恩塚さんは話してくれました。
「なぜ、勝ちたいのか?」
ここに答えられるチームがどのくらいあるでしょうか?
これはつまり、
「優勝して世界一になる」
という目標の先にある目的です。
つまりは、志。
なんでバスケしてるの?
なんで勝ちたいの?
勝ってどうしたいの?
という部分。
恩塚さんは「バスケで日本を元気に」というのを前提に、
具体的に、こんな未来を創りたいとおっしゃっています。
はい、僕もそこに乗っかります!
と恩塚さんに伝えたい氣持ちです。
全て共感できるし、
僕が今まで発信してきたことにも通じることが多く、
バスケットボールの本質をついている素晴らしい理念だと感じます。
それもただの机上の空論ではなく、きちんと体現されているから素晴らしいとしか言えません。
僕の志は先ほど言った通りで、
選手が病から解放されて自分が本来持っている可能性に氣付いてほしいし、
指導者はバスケを通して関わる選手たちのバスケ人生と人生を豊かにするような選手を育成してほしい。
そう、願っています。
僕が情報発信を始めた大学2年生の頃、僕は日本代表を批判していました。
「日本は世界に劣っている。NBAの真似をするべきだ!」
これが当時の僕の主張です。
また、部活動についても批判的な意見を発信していました。
選手の可能性を潰す指導者。
ベンチから口を出して選手の主体性を無くす指導者。
「ひどいな」と思っていました。
でも、それらは僕が間違っていました。
「悪」を創っている自分自身が「悪」であり、
正義を主張すればするほど、自分が変えたいと思う世界は変わりませんでした。
それは分断を生むだけで、幸せの母数を増やすことには繋がらないと氣付きました。
あの当時、僕がそういうことを発信すれば、共感してくれる人も多かったです。
「私もずっとそう思っていました」「自分の息子もひどい指導を受けています。どうしたらいいですか?」という風に。
そこで繋がったご縁は今でも大切にしています。
当時の、そこからより良い世界は生まれたとは感じています。
でも、「良い」を追求すればするほど世界が大きく変わることはありませんでした。
なぜなら「より良い」を求めている、ということは「悪い何か」があると認識しているという事。
本来、この世には良いも悪いもなく、それぞれがそれぞれの信念に向かってバスケをしているだけです。
でも、そこに「良い」や「悪い」というレッテルを張れば、
そこで争いが生まれ、違う価値観を持った人が統合されることはありません。
そこに氣付いた後、
僕は「賢者は強者に優る」という理念を打ち出して、
「Princeton Offenseを軸に面白いバスケを一緒に創りませんか?」
というメッセージを投げかけたところ、コミュニティが生まれました。
そのコミュニティが「賢者籠球」です。
結果、何が起こったか。
「今まで選手のプレーにベンチから口を出し続けていましたが、今は選手のプレーを見守れるようになりました。選手がどんなプレーをするのか楽しみながら試合を見ています」
「バックカットを通して価値観が180°変わりました。その経験のおかげで、日常生活の中でも自分の固定概念を外して、ニュートラルに物事を見たり、人と接することができるようになりました」
・・・といった声をいただくようになったんです。
「ああ、発信を続けてて良かったなぁ…」
と心から想える瞬間です。
この文章も含め、いつもありがとうございます。
「より良いバスケ」を創ろうとしていた時、自分が理想とする世界を広げることはできず、人と人の分断を生んでしまっていました。
でも、「良い」も「悪い」も包越した「より面白いバスケ」を創ろうとしている今、全ての人が繋がり、異なる価値観が統合されていると感じます。
そして、僕が
「日本は世界に劣っている。NBAの真似をするべきだ!」
と思っていた頃、大きな勘違いをしていました。
今ならそう思えます。
そもそも「日本」という概念がいつ創られたのか。誰が創ったのか。
「日本人」というのは具体的に定義付けできるものがあるのかどうか。
日本って何か。
日本の文化って何か。
自分は何者で、何のために生まれてきたのか。
それに答えられない自分が
それを考えることすらなかった自分が
「日本が世界に劣っている」と言えるのか。
そう考えた時、何も言えないと僕は思いました。
そもそも「国」という概念ができたのは明治からで、新しい概念であること。
概念ということは、つまり明確な定義はなく、人々の頭の中にぼんやりと存在していること。
そんなことを「武」を通して知りました。
「人種」という言葉が存在しないことも。
「人種が違う」という言葉がありますが、
これは完全に間違っている、というか勘違いです。
「種が違う」ということは、結婚したら子供が生まれないということです。
「猫」と「犬」から子供が生まれないですよね。だから、猫と犬は「種が違う」と言えます。
でも、日本人とアメリカ人から子供は生まれます。
それは「種が同じだから」です。
ということは、
「人種」というものはなく、
誰かが勝手に創った概念であるという事。
その誰かが創った概念のせいで、人種差別が起きたり問題が起きているのではないでしょうか。
そういう「学び」をいったんゼロにしたら、
「ヒト」とか「地球人」とか「面白いやつ」とか、
そういう、より大きく全てを含んだものになりますよね。
そう考えた時、
「日本が世界に劣っている」
という風に考えて、世界に憧れを創るのはどうなんだろうって。
もちろん、良いところは取り入れるべきです。
もちろん、アメリカが世界一位なので、
NBAが世界トップリーグなので学ぶべきです。
最先端の技術も化学も必要です。
でも、それが全てではなく、
もっと「自分自身」に目を向けてもいいんじゃないか
と僕は思っています。
自分はどんな人間か。
人生を通して何を成し遂げたいか。
自分にとってバスケってどういうものか。
自分の理想のバスケットボール選手像はどんなものか。
「日本人らしさ」という曖昧な枠をいったん取り払って、自分が目指すところを自分で創る。
そうやって、外に答えを求めるのではなく、
自分自身と向き合い、自分の志を自分で決めて、
それに向かって自分自身を創っていける人を増やしたい。
そう思っています。
そのためのツールが
・プリンストン
・武学
だと僕は感じています。
僕は今、「日本人らしさを取り戻そう!」とか、そういう人種がどうこうではなく、
もっと大きく、「世界に通じるバスケットボールの雛形を体系化させる」という理念で
全てを大きく和する「大和籠球」というバスケットボールのモデルを体系化することを目指しています。
こちらはFacebookグループで日々深めています。
「バスケで日本を元氣に」
素晴らしい日本バスケットボール協会の理念に沿って、
僕は「病」を開放して「元氣」に戻せるようなバスケットボールをこれからも深めていきます。
その人らしさが最大限発揮されるようなバスケットボールを。
ホーバスさん、恩塚さんが
これからどんなバスケットボールを僕らに見せてくれるか、
とにかく楽しみです。
僕も自分にできることで少しでも日本のバスケットボール、
世界のバスケットボールに貢献できるように発信し続けます。
「プリンストン」に出会えて良かったなぁと心から思えます。
Pete Carrilさん、ありがとうございます。
ちゃんと意志を引き継いで後世に伝えていきます!
PS.
今回の記事、もし面白いなと感じたらシェアしてもらえると嬉しいです!
一緒に「大和籠球」を創っていきませんか?
PS.
「バックカットは表」についてまとめた案内文を最後に載せておきます。
バックカットを深めていないバスケは、ジャンケンでグーを制限されているのと同じ。そして、なぜ今このタイミングでバックカットなのか。バックカットからオフェンスを構築していくって、どういうことなのか。「バックカットの体系化」とは、どういうことなのか。是非一度お読みください。価値観が変わると思います。
PS.
日本代表の試合を見て感じた戦術的なことについては、別の記事でまとめます。
そういえば、この記事を書き終わった後に、記者会見の動画にあるコメントを読んでみると「ホーバスのスタイルは男子にはきついよな」とか、
という声もあって、これからが楽しみですね。
この「セットを多用しない」という「良質な非常識(恩塚さんの言葉)」については僕はとても思うことがあるので、このご意見に対しての返信を記事にしたいなぁと思います。ブログって、まとめる上でいいものですね。とりあえず、日本代表の試合を見て分析します!
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