ディナイ不要論②~「ディナイをするなんてもったいない!」~

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前回の記事:「ディナイ不要論①~ディナイの有効性~」

今回は早速、「どうしてディナイが必要ないのか」について。もっと言えば、「ディナイをしないディフェンスってどんな守り方なの?」っていうことについて書いていこうと思います。そもそも、このシリーズを記事にしようと思った理由はディナイを否定するためではなくて、オフェンスの楽しさを伝えるためなんです。それはイコール、バスケットボールの楽しさを伝えたいということになります。ディナイディフェンスが悪いとかそういう話ではなく、ディナイを盲信してしまうと楽しさが頭打ちになることがありますという話です。もちろん、バスケットボールの上手さも頭打ちになることがあります。それを今回まとめていこうと思います。

 

「ボールマンの隣はディナイするのが常識でしょ?」

という考え方を持っている人にこそ、聞いてほしい話です。

 

前回の復習

・ディナイのメリットは、相手のリズムを崩すことができること

・「ディナイをすること」自体を目的にしてはいけない(手段と目的が入れ替わってしまうから)

 

 

◆ディナイは本当に必要?

ディナイは確かに有効です。特に1対1が得意な選手には最初からボールを持たせないようにすれば、得点を取られにくくなります。ただ、そうではない場合について今回は考えていこうと思います。ディナイをすることで見落としがちなことについて。

(2の1対1が脅威ではない場合)

 

これは単純な話で、ディナイをしているとヘルプに行けなくなります。だから、ボールマンがドライブをしたとき、一番守らないといけないゴールを守らずに、人を守っていることになってしまいます。だから、ディナイをする必要はないのです。ディナイをすること自体が目的ではなく、ディナイをすることで相手のシュート率を落とさせることが目的のはずです。そのためには人よりも優先させるのは、ボールマン。ゴールに向かっていく相手プレイヤーを守るべきです。

(×2がヘルプに出れない)

 

 

・・・というのは、基礎中の基礎なのですが、

 

本題はここから。

 

ここだけの話を聞いたら、「え、そんなの当たり前ですよね。ディナイをしながらヘルプに出れるようにしたらいいし、それだけでディナイ不要論なんて大げさなタイトルをよくつけられたな!」と言われてしまいそうですが、実はこれはもっと奥が深いのです。そもそもボールマンがドライブをしたとき、オフェンスの2が合わせる場所はどこになるでしょうか。基本的には「渦の理論」に従うことが良いので、そうすると以下の図のような合わせになります。(渦の理論も詳しく話すともっと深いのですが。)

こういう合わせ方を相手がしていたら、ドライブの選択肢も生まれるし、パスの選択肢も生まれて、バスケットボール的な駆け引きが生まれています。相手がこうやって合わせていたら、ディナイをしていてもしていなくても、オフェンスが有利になりやすいです。だから、ドライブに対してヘルプに行くかどうかは関係なくなります。相手のスペーシングが良く、駆け引きのある面白いバスケットボールが生まれているからです。相手がこうやって合わせていたら・・・

 

でも、多くのチームはこうではありません。

多くのチームはドライブに対して、適切なスペーシングを保って合わせができていません。だから、ドライブをしたとき、こういった形で2がドライブに対して合わせずに、その場で止まっていることが多くあります。もしくは、「ボールマンに近づく」、「シュート圏内にいない」ということもあります。

こういった状況が多くの場合、オフェンス側に起きています。オフボールマンが適切に合わせられていないため、シュートが打てる準備ができていないということです。パスがもらえないし、もらえたとしても良いリズムでシュートは打てませんよね。渦の理論は凄く単純な動きですが、たった数歩をどちらに動くかによってバスケの自由度が変わります。NBA選手も基本的には渦の理論で合わせをしています。

 

 

もし、ディナイをしなかったら・・・

 

この状況で、ディナイをしていなかったらどうなるでしょうか。

オフェンスの視点。ボールマンになりきってみて、「もし、この状況で×2がディナイをしていなくてヘルプをしてきたら・・・」と想像してみてください。・・・「パスが出せない!」ってなりませんか?背中側にパスが出せたらいいけど、ドライブをしている最中にそんなことはなかなかできない。そもそも、シュートの準備をしていないかもしれない。この状況でヘルプに来られたら、ボールマンとオフボールマンの二人が止められることになります。あくまで理論的にですが、実際にこういった場面は多く見られます。

 

更に、現実的な話をすると、

多くのチームは、ボールマンの隣の選手だけではなくて、チーム全体のスペーシングが良くないです。そうなると、実際はどういう状況になっているかというと、以下の図のよう、に三人目も邪魔をしていることが良くあるのです。

「ディナイをしているからこそ、動き回らなくてはいけないから、こういった状況になっている」という意見もあるかと思います。でも、ディナイをしているかどうかに限らず、少なくとも「スペーシング」をしっかりと教わっていないチームのオフェンスはこういった状況になっています。そして、これが良くないということに気づけていないことがほとんどです。これを見て、どう思いますか?単純に考えたら、

 

ディナイをしているのが”もったいない”

 

と思えるはずです。

 

ヘルプに行っていたらボールマンは困ります。自分もドライブができないし、パスを出そうとしても出せない。自分たちのスペーシングが良くないだけなのに、あたかも相手のディフェンスが凄く強いように見えてしまう。・・・これはオフェンスをしっかりと学んでいないチーム、スペーシングの概念がないチームが陥りやすい罠です。相手を勝手に強くしてしまう。実際は自分たちが足りない部分があるだけなのに、「相手のディフェンスが強かったから仕方ない」と自分たちの可能性を狭めてしまうのです。これはオフェンスを学んでいないチームだけではなくて、実は、ディナイディフェンスをしているチームにもありがちなパターンです。ここが日本のバスケットボールの課題にも繋がると考えています。(これについては後半の記事で)

 

 

この場合、どういった守り方があるのか?

ディナイをしない守り方はどういったものか?

 

それについては、次回まとめていこうと思います。

今回の記事だけでも、かなり重要なことが含まれています。ディナイはディフェンスの一つの手段であり、相手のリズムを崩したり、速攻に繋げていけるディフェンスです。ただ、そえだけになってしまうと、ディフェンス力に限界があるし、オフェンスの可能性が狭まってしまうこともあります。このことを知った上でディナイをするかどうかを考えてみてほしいと思います。バスケの楽しさ、チームの強さ、オフェンスの自由度など、色々なことが変わります。そして、真逆の視点を手に入れられたら、ディナイも更に深まります。

 

次の記事:「ディナイ不要論③~敵を味方に変える守り方とパックラインディフェンス~」

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