バックカットをチームの武器にして、文化にしていくために重要なこと。
それは、指導者のマインドセットです。
カッティングをすると、ミスが起きます。
バックカットは入らないことの方が多い。
多くの選手はバックカットをしたことがないし、バックカットへのパスを出したこともない。
ほとんどの指導者もまた現役の時に「バックカットが表」という感覚でプレーをしたことがないはずです。
であるなら、
「選手と共に学ぶ」
というスタンスが最も重要です。
カッティングは外から見て
「今チャンスがある!」
「そのパスは入らない!」
「このパスなら入る!」という感覚と、
実際にプレーしている選手目線の感覚が大きく異なります。
通らないと思ったパスが意外と通る。
外から見ていたら、バックカットがチャンスだと思えるけど選手は気づけていない。
通ると思ったパスが意外と通らない。取れない。シュートが難しい。
こういうことがあります。
なので、僕はカッティングオフェンスを伝える上で最も重要なのは「指導者のマインド」だと考えています。
特に、バックカットのミスに対する声がけ(場作り)が重要です。
ミスが起きた時に、選手を萎縮させるような声がけをしてしまえば、その後から選手の中でバックカットに対する”迷い”が生まれます。
バックカットは一瞬の隙をつかなければ成功しません。
その一瞬の隙は選手の”感性”で、選手が自分でプレーを選ばなければ「遅い」のです。
指導者がベンチから、外から見ていて「今!」「バックカット!」と言ってから動くのでは、遅い。
「ナイスプレー!」
「そうそう!」
「いいね!」
このくらいの声がけの時がちょうどいいタイミングだったりします。
選手が安心してチャレンジできる場の空気、
指導者の目を気にせずに目の前のディフェンスとの駆け引きを第一にできる関係性、
ミスをしたとしても「もう一回やってみよう」と思えているかどうか。
ここが最も重要です。
だからこそ、このバックカットオフェンスというのは、
選手だけではなく、指導者もまた成長していく道なのだと僕は考えています。
指導者が支配的な圧をかけている場では、絶対にカッティングオフェンスは成り立ちません。
指導者が、選手と共に学び、楽しみながら成長していくマインドがあれば、カッティングは武器になり、チームの文化になります。
バックカットは、選手と指導者の関係性をより良くし、指導者の成長を促すツールなのです。
さて、
バックカットをすると、必ず「ごちゃごちゃ」が生まれます。
スペーシングが綺麗に揃った状態ではなく、
所謂「カオス」と呼ばれるごちゃごちゃしたスペーシングです。
これは、一般的に見たら「悪いスペーシング」でしょう。
でも、実はこれも「悪くない」のです。
そう、捉えることがとても重要です。
バックカットを表にしたオフェンスをすると、みんながバックカットを狙います。
「バックカットを狙いすぎなのでは?」
と思うかもしれませんが、そのくらいで”ちょうどいい駆け引き”が生まれます。
もちろん、バックカットもただ行けばいいわけではないし、wingでパスを受けることも大切です。
でも、多くの選手はバックカットの選択肢がなく、
ボールに近づくことしか選べずにディフェンスの状況を見れていません。
バックカットを表にすると、ゴール下の空間を意識しながらオフボールでプレーできるようになります。
そうすると、自然と自分のディフェンスを見れるようになります。
結果的に、表と裏の駆け引きがちょうど良くなります。
「カオス」というのは、
相手に自分たちの形を隠している状態、相手を惑わせている状態です。
そう定義することで、「カオスも悪いものではない」と思えるので、
仮にスペーシングがごちゃごちゃになったとしても「それも作戦のうち」と思える余裕が生まれます。
スペーシングとは「破壊と創造」です。
綺麗なスペーシングは攻めやすいかもしれませんが、
ディフェンスからすると次のプレーに対する予測がしやすいので守りやすいです。
逆に、ごちゃごちゃなスペーシングは、一見攻めにくいように見えますが、
ディフェンスからしたら役割が曖昧になってコミュニケーションミスが生まれるので守りにくいです。
このマインドセットがあるからどうかで、カッティングが文化になるかどうかが決まります。
また、「カオス」から「良いスペーシング」に移るためには「Vision」が重要です。
カットをした後のビジョン(視野)、その後にどのようなポジショニングを取るか。
◆レブロンのパス
— 原田毅@NBAで凄いのはダンクだけ!? (@nbanotdankudake) January 28, 2024
絶妙、上手すぎる
カッターの視野もお手本#NBAはバスケの教科書 pic.twitter.com/qglJrR3HO0
ここがプリンストンの醍醐味であり、「スペースの破壊と創造」の核心です。
バックカットを表にしたオフェンスは、面白い。
なぜなら、カオスから「same page(チームの共通理解となる形)」が生まれ、それが円環していく(繰り返し循環していく)からです。
一つとして同じプレーがないし、選手が次々とプレーを繋いでいくから。
バックカットを通して、選手と指導者が共に成長する場が増えることを願っています。
