カリー&トンプソンを活かす「気遣いスクリーン」

今回はウォリアーズのオフェンスについて、特にカリー&トンプソンのボールを持っていない時の動きについてです。

ウォリアーズは黄金時代と言えるほどの圧倒的な強さで5年連続でファイナルに出場していて、カリーは今やジョーダンレベルで全世界のバスケットボールマンに影響を与えています。もはや言うまでもありませんが、そんなカリーはどうやってウォリアーズのオフェンスでチャンスを創っているのか?周りの選手はどうやってカリーにチャンスを与えているのか?ということに今回は注目したいと思います。

 

まず、ウォリアーズのオフェンスは「Flow Offense」と呼ばれる流れるようなオフェンスが特徴的です。

セットプレーももちろんあるし、そういう風にきちっと動きが決まっていることもありますが、基本的にはどんどんカッティングを繰り返して、パスを繋いで、というのが印象的なチームです。他のNBAチームも同じように流れるようなオフェンスをしていますが、ウォリアーズはその次元が最も高いと言えるチームだと思います(数字的にもカッティングが一番多いそうです)。そのフローオフェンスやパスを繋いでいる様子は以下の動画を参考にしてみてください。

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=ArlH52ak2eY&t=83s” /]

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=NsBGF1fjXvY” /]

 

 

それで、ここからが今回の本題。

最新のウォリアーズのシステムについてBBALLBAREKDOWNのコーチNickさんが解説してくれている動画を紹介します。タイムアウト後のセットも含めて、どれも凄すぎる戦術で見ていてめちゃくちゃ面白いです。「これは守れないわ・・・」という感じです。さすがは世界最高峰のリーグで黄金時代を築いているチーム…。あっぱれです。

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=qsafLri9ftQ” /]

この動画で解説されているのは、ウォリアーズのセットプレーがメインです。なので、見ている側としては「なるほど~」となるし、指導者としてもチームのセットプレーをつくる上で参考になるところがあると思います。この中で今回取り上げたいのは、セットプレーではなくて、「気遣いダウンスクリーン」です。名前は何となく付けただけなんですが、プレーを見ればたぶん名前の由来がわかると思います。機転を利かせた、長年一緒にプレーしているからこそのプレーです。でも、これはセットプレーとかよりもシンプルで僕らでも真似できるものだと思います。なので、取り上げてみます。

 

カリー&トンプソンへの気遣いスクリーン

言うまでもなく、スプラッシュブラザーズの二人のシュート力を最大限生かした戦術を基本としているウォリアーズは、カリーとトンプソンに対して、とにかくスクリーンプレーをかけます。特に参考になるのが、カリーやトンプソンがパスを出した後やバックドアとかハンドオフでボールをもらおうとしたけどボールをもらえずにゴール下付近を通過する時にかける「ダウンスクリーン」です。映像で見た方が早いので以下の動画を見てみてください。

これはカリーに対しての映像ですが、トンプソンにも同じようなスクリーンをかけている時が多いです。

周りの選手たちが気を遣ってダウンスクリーンをかけているという感じで、長い間一緒にプレーしているからこそ、もはや阿吽の呼吸でできています。こういうスクリーンはカリーやトンプソンのようなシューターにはとても有効で、セットプレーのように形が決まっているわけではないので相手からしたら先読みがしにくいです。セットではないので周りの選手が気を遣わないとできないことですが、できると対応がかなり難しいプレーですよね。

そして、当然、カリーとトンプソンの場合は3Pを打たせたくないので相手はスイッチをして守ってきます。セットプレーじゃないからこそ、スイッチの対応も遅れているのですが、その瞬間を狙ってスクリナーがスリップをするのでディフェンスは止められません。絶妙なタイミングすぎます。

 

このスクリーンプレーが僕らの日常で活かせるとしたら、バックドアとか単純に速攻で走ってゴール下付近にシューターがいる時ですね。基本的のポジショニングを考えると、そのままコーナーに流れてコーナーでステイをしてスペーシングを保つっていうことがありますが、ウォリアーズのように流れを自分たちから作って、チャンスを自分たちから作っていく時もあると、より相手は守りにくくなります。

「スペーシング」というと、「コーナーにステイをしてコートを広げる」「動きすぎず隣の味方との間隔を保ち、良いポジショニングを取る」っていうイメージがありますが(僕が最初に発信をしていたのはこういったスペーシングの概念でした)、単に止まっているだけだと何もチャンスが作れないし、時にはカッティングをしたり、ダウンスクリーンとかを自分からかけていく時も必要です。ただ、そうするとスペースがなくなって狭くなるので、ピックをしている時とかは逆にチャンスを潰してしまうこともあります。でも、そのスクリーンプレーでピックにディフェンスを寄らせないこともできるので、タイミングと状況次第によって臨機応変にベストな選択肢を取る必要があります。試行錯誤してやっていくのみですね!(気遣いスクリーン、もっといい名前ないかな・・・笑)


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