ディナイ不要論④~ディフェンスをしながらオフェンスをする~

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前回の記事:ディナイ不要論③~敵を味方に変える守り方~

ディナイ不要論ということで、ここまで記事を書いてきましたが、かなりの反響があります。今までブログを書いてきた中でもトップクラスです。それくらい「ディナイをすること」は常識な部分があって、ディナイをしない守り方に興味を持っている人が多いということなのかもしれません。多くの人はオフボールのディフェンスを教わるときに、最初にディナイを教わると思います。それだけ基礎だということですね。

でも、ディナイというのは、あくまで「手段」ということを忘れてはいけません。「ディナイをすること」が目的になってしまうと、ディナイをしていればディフェンスが成功、ディナイをしてボールマンにドライブを許していても成功、という感じになってしまうことがあります。極論だと思えますが、実際、そういった視点でディナイを練習しているチームもあり、結果として、前回の記事でまとめたようなことに気づけなくなります。問題は何かというと、ディナイをすることで、オフェンスが上達しないことなのです。今回は、それについて記事を書いていきたいと思います。ちなみに、この記事は(この記事も)、日本のバスケットボールを変えるきっかけになると思いながら書いています。インターネットにはそれだけの可能性があって、このシリーズを読むことで、バスケ人生が変わる人もいると思っています。いたらいいなと思っています。

 

 

◆ディナイあるある

ここでは、ディナイを盲信しているチームでよくある流れを話していきたいと思います。

もちろん、全てのチームがそうであるという話ではありませんが、日本の部活動でよくある見られる流れです。僕が実際に見てきたチームを思い浮かべながら、そして、自分自身の経験を踏まえて話していきます。ディナイ(ディフェンス)を練習しているチームは、プレッシャーをかけてボールを奪って速攻に繋げることで勝てる試合もあります。でも、それは逆に言えば、「ディナイが通用しなかったら勝てなくなる」ということです。問題は、この後です。

「オフボールはディナイをするべきもの」だと常識だと鵜呑みにしてしまっていると、試合に負けた原因を「ディフェンス練習が足りなかったからだ」と考えてしまいがちです。確かに、それは一理あるでしょうし、それをカラーとしているなら、そこを高めることは必要です。でも、実際は、それ以上に大きな割合を占めているのが「ディナイを練習することで、オフェンスが上達していない」ということです。ディナイを盲信していしまうと、ここに気づけなくなります。こうなると、どうなるのか。悪循環が生まれてしまいます。

 

ディナイを鵜呑みにする

→ディナイをたくさん練習する

→ディナイが成功したら勝てる

→ディナイが成功しないと勝てない

→もっとディナイの練習をしないといけない

→オフェンスに問題があることに気づけない

→ディフェンス練習が増えて、強度が上がる

→練習が厳しく、つらく、つまらなくなっていく

→練習をしたい(バスケがしたい)という気持ちが薄れる

→試合に勝ちたいという気持ちが薄れていく

→試合に負ける

→もっとディナイを練習しないといけない

→・・・

 

こういう無限ループが生まれます。

そして、最終的にたどり着くのは何かというと、「バスケットボールが楽しくない」です。ディフェンスも楽しさがあります。でも、それが誰かから強制されているものであれば、楽しさは半減してしまいます。ディナイ(ディフェンス)を鵜呑みにしてしまうと、何よりも問題なのは(何度もいいますが)「オフェンスに問題があることに気づけないこと」です。

たとえば、練習中にディナイの練習をたくさんしているとどうなるのかというと、前回の記事でも話したように、「渦の理論」といった合わせ方をオフェンスがしていなくてもオフェンスが成功してしまいます。練習の雰囲気としても「ナイスディフェンス!」という声がけになるし(声を出すことが悪いとか味方を鼓舞すること自体が悪いわけではない)、もっと極端になると、「ディフェンス練習を終わらせるために、オフェンスがあえて手を抜いたり、ディフェンスを成功させるようにプレーする」なんてことも起きてくることもあります。嫌々ディフェンス練習をしていたとしたら、こういったことが起きることがあります。

 

◆オフェンスとディフェンスのどちらを先に教えるべきか?

これは指導者によってそれぞれですが、僕はオフェンスを先に教えるのが良いと考えています。どうしてかというと、オフェンスがわかればディフェンスがわかるからです。(大きな枠組みで考えたら)ディフェンスというのは、何も教えなくても、ある程度のレベルまで上がります。バスケットボールは同じ球技のサッカーと比べると、圧倒的にディフェンスのファールの数が多いです。サッカーよりも試合時間が短いのに多くの点が入るということからも、バスケットボールはオフェンスが有利なスポーツだといえます。バスケを10年くらいやっていれば、ディフェンスフットワークを一切していなくても、ある程度のディフェンス力はつきます。対人をやっていたらディフェンスは自然と磨かれるからです。根性論は良いとは思いませんが、ディフェンスは極論、根性でも何とかなるところがあります。

でも、オフェンスはそうではありません。オフボールの動きに関しては、「渦の理論」一つをとっても10年間バスケをやっていたとしても気づけないことがあります。僕自身、渦の理論に気づけたのはバスケを始めて10年以上経ったときでした。オフェンスはディフェンスと比べると、知らないとできないことがあります。「ディフェンスだって同じですよね。ディフェンスのレベルが先に上がれば、対人をしている中でオフェンスのレベルが上がるんじゃないですか?」ということに関しては、ディナイあるあるで話したとおりです。

 

 

◆ディフェンスをしながらオフェンスをする

ちょっとイメージが湧かないかもしれませんが、この感覚がわかると、ディフェンスが上手くなります。丁寧に話していきますね。これまでの内容も繋がってきます。「オフェンスを先に学べば、ディフェンスがわかるようになる」ということを先ほど話しましたが、それは図で表すとこういう感じになります。つまりは、「相手のスペーシングが悪いと判断したら、自分のディフェンスを変える」ということです。

一番簡単なのは、前回紹介した

  • シュート圏内に相手がいない
  • 渦の理論で合わせをしていない
  • ドライブに対して近づいてくる

という時です。

ディフェンスをしながら、自分のマークマンになりきって「自分ならこうやって合わせる。あれ、でも、そうやって合わせていない。・・・ってことは、ここは一人で二人を守れるということだから、ディナイをしないで相手の邪魔をしたらいいな」という風に考えられると、相手の良くないスペーシングを守れます。良いスペーシングとは、一人で二人を守れないようなオフボール時の合わせです。渦の理論はその一例で、どの場面でもこの原理を考えると、良いスペーシングを保てます。

 

他の例を紹介すると、こういうパターンもあります。

ハイポストに5がフラッシュをしてくるというプレー。三番のディフェンスになりきってみてください。

通常、良いスペーシングを保とうとしたら、5番のフラッシュしてくるスペースを空けるために、3はコーナーに下りる必要があります。そうすることで、ディフェンス×3は5と3の二人を守ることができず、オフェンスは良いスペースを保ちながらプレーできます。

 

・・・というオフェンスの視点があったとして、

このとき、オフェンス3がそうやって合わせなかったとしたら、

という風に考えて、

ディナイをせず、一人で二人を守れます。

 

これは、「ディフェンスをしながらオフェンスをしている」という感覚です。「自分がオフェンスだったら、こうやって合わせて良いスペースを保つな。でも、そうしていないということは、スペースが良くないから一人で二人を守れるから、ディナイをしないで、オフェンスを迷わせたらいいな」という風に考えると、ディナイをする必要がない時がわかるようになります。これは、僕がNBA選手のスペーシングの凄さを知ってから気づけたことです。だから、オフェンスを先に学べば、ディフェンスがわかるようになるということです。逆に、ディフェンスを先に学べばオフェンスがわかるのかというと、・・・うーん、今の自分だと上手く想像できないです。

それに、ほとんどの人はディフェンス練習よりもオフェンス練習が好きなので、まずはそこからバスケットボールの楽しさを知って、「勝ちたい」という気持ちが出てきたらディフェンス練習をしていけばいいと思います。その気持ちさえあれば、ディフェンス練習にも身が入るからです。「ディフェンスをしながらオフェンスをする」っていう感覚がわかると、賢く守れるので、ディフェンスは楽しくなります。感覚的には「オフェンスに対して、スペーシングを伝えてあげているような感じ」です。「そこにいたら一人で二人守れちゃうよ。こっちに動けば、スペースが良くなってバスケ面白くなるよ」という感じでディフェンスをすると、相手に対しても良いバスケを伝えられるので、相手も上手くなれて、バスケットボールの次元は一つ上に上がりますよね・・・という話はまた次回したいと思います。

そういう意味でも、僕はオフェンスを先に学ぶ必要があると思っています。「攻撃は最大の防御」という言葉がありますが、僕のバスケットボール観は今ではそういう風に考えています(今回の記事の画像は、懐かしの遊戯王カード。攻撃と守備は繋がっているということで。今でもうっすら、このカードがあったことを覚えてるくらいハマっていたんだなぁとしみじみ)。昔は、ディナイディナイディナイ・・・という感じだったのですが、スペーシングを学んだことからディナイ不要論にたどり着きました。その過程を今、記事にしています。それでは、また次回。

 

次の記事:ディナイ不要論⑤~ゾーン禁止とバックドアカットの価値~

 

 

PS.

そういえば、こんなコメントをもらいました。

こんにちは。
いつも楽しく拝見させてもらっています。
今ミニバスではマンツーマンディフェンスの推進が行われていまして、かなり厳しく見られています。
2線、3線の体の向きがマークマンではなくボールに向いていると旗が振られ注意を受けます。
2線目はルールでディナイしなさいと決められてるも同じです。
パックラインディフェンスはドライブからの得点が多いミニバスでは有効だと思い、使おうと思ったこともありますが、今では反則扱いです。
戦術への知識があっても使えない、悲しい状態です。
しかしながら、ディフェンスが決まっている分、それを打ち破るオフェンスは考えやすく、浸透させやすいとも考えられますね。
あと、ミニバスには是非スリーポイントを導入してほしいと個人的には思います。スリーがないとクローズアウトを教える意義が少なくなってしまいます。

管理人様も日本の将来を担う子たちのミニバスを久々に観戦してみてください!

 

コメントありがとうございます。

今の日本のバスケットボールは、1対1の技術力を伸ばすためということもあって、ゾーンディフェンスを禁止していますね。だから、コメントで書いてもらったように、ディナイをせずボールマンに近づくという守り方はミニバスや中学生では難しくなっています。スリーポイントについても賛成です。ただ、今の現状でできることをしていかないといけないと思うので、ご意見を踏まえて、次の記事を書いていこうと思います。

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関連記事

    • バスケ好き
    • 2018年 9月12日

    記事拝見させてもらいました。
    読んでわたしの感じたことをコメントさせてもらいますあます。

    ディナイ(クローズ)もオープンディナイもディフェンス2線の守り方の1つで、いらない、しない方がいいと言ってしまっては否定してるのと同じでは?
    クローズのディナイを、知っていてしっかり抑える、ボールを持たせないディフェンスを身につけ、オープンディナイでカバーをする形を身につける、その上で相手のチーム状況によりオープンにしたり、クローズにしたりを考えるものだと思います。
    そもそも今の中、高バスケでスペーシングを重要視した指導をしている所は少なく感じます。
    中学生は体格が良くでできるやつに突っ込ますだけ。
    バスケを知らない指導者が多すぎです。
    デカイからってインサイドの練習ばかりさせてみたり、おそらく子供のためではなく、自分の評価のために勝ち負けにこだわっているのだと思います。

    話が逸れましたが、ドライブの弱いガードで良いシューターの居るチームにこんな事してたらバンバンキックアウトされてシュート決められて終わります。

    それとスペーシングのできないチーム相手ならそもそも何やっても何とかなりますw
    できるチームなら上の方に集まってディフェンスが増えるなんてことも起こりません。

    NBAやプロのようなバスケなら、全て止めることはできないので、優先順位を決め、どこを諦めるかによりディフェンスの仕方が変わります。
    そのレベルの人たちの話しであって、何も基本のない子に初めからクローズのディナイはいらないという極端な指導は返ってディフェンスのできない子を作ってしまうのでは?

    指導する人間はいかなる状況も想定し、いろんな引き出しの持てるプレーヤーを育てるために全てを教え、偏った考えはなくした方がいいと思います。

    逆の観点から見たら面白い見方になることを言いたいのであれば、少し足りない気もします。

    これを読んだバスケを知らない指導者やプレーヤーはクローズディナイはいらないから、2線はカバーするものだと思い込むのではないでしょうか?

    そうなれば1線は抜かれてもカバーしてもらえるものになります。となると、JBAが1対1の能力とそれを止めるためのディフェンススキルを身につけるためにゾーン禁止にしている意味もなくなのでは?

    2線はショーバックを基本としながら、オープンも覚え、3線カバー、カバーダウンやローテーションまで幅広い守り方基本となる事を指導するのがいいのではないでしょうか。

    この記事だけを鵜呑みにするバカな人が居ない事を祈ります。

    もちろん、あなたは違うと信じています。

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