今回は1対1のシーンから「ドライブ」をピックアップします。
僕は昔から1対1が大好きです。このブログでは「スペーシング」とか「スクリーンプレー」とか、そういうチームプレーやオフボールの動きを中心に発信してきました。なので、一見すると、1対1が好きではないとかそんなに重要に思っていないように感じられるかもしれませんが、そういうことを発信するようになったのは自分が1対1が大好きだからなんです。矛盾しているようですが、1対1が好きだったから、「1対1が全てだ」と思っていたから、オフボールの動きや戦術を知った時に感動したんです。だから、そういう発信をするようになりました。その頃は、むしろ「バスケは1対1が全てじゃない」という気持ちでした。
でも、そういう戦術とかを発信しているときも1対1は相変わらず好きだったし、いくらスペーシングが良くても(「良い」というのは「ただ止まっている」という意味ではないです)、スクリーンでズレを作れても、最終的には1対1で得点を決めないと試合には勝てないし、バスケットボールが上手くなったとはいえないものですよね。結局、スペーシングも1対1をするための動きであって、スペーシングというのもオフボールの1対1のことです。なので、要するに、「個人技術もチームプレーも分ける必要ない」ということです。
それで、最近、
「1対1をしている時に、何を意識してオフェンスをしているか?」
っていうのが大きく変わったので、そのことを今回はお伝えしたいと思います。
まずは、こちらの動画を見てみてください。
動画時間は48秒です。
これは文字で伝えてもなかなか伝わらないし、わかったような気がしてもなかなか身に付くまでは時間がかかったりするので(これは僕自身がそういう体験をしてきたから感じていることです)、実際に体育館で伝えていって身体で体験してもらう場を作ろうというで勉強会を始めているわけなんですが、そうは言っても一人でも多くの人に知ってほしいので記事にしていきます。
◆何を意識して1対1をするのか?
今、僕は1対1をするときに「相手の隙(虚)」を見つけるようにしています。それは、意識が途切れる瞬間(気を抜く瞬間)だったり、重心が前後左右のどちらかに傾く瞬間のことです。その瞬間のドライブとかシュートとかをするようにしていて、それを”探る”ような気持ちで1対1をしています。「ズレを自分で”つくろう”とするのではなくて、”見つけよう”としている」というのが昔と比べると一番大きな違いです。
昔は大好きなNBA選手の1対1に憧れていたので、ビデオテープやDVDでNBAを見るたびに1対1のシーンだけを繰り返し見ていました。勝敗よりも1対1。ウェイドが好きだった頃はウェイドの試合だけを見てウェイドのクロスオーバーのシーンを何度も何度も見返してスロー再生をして、テレビの前で真似して、家のバスケコートや体育館で真似しましました。この頃の僕が1対1をするときに考えていたのは「NBA選手の真似をすること」「クロスオーバーでズレを作ること」でした。「NBA選手の1対1が好きだったから1対1が好きだった」という感じです。よく部活の練習後に1対1をしていたし、双子の弟とはひたすら家で1対1をしました。100点ゲームとかもよくしていたくらい。
でも、ある時に壁に当たったんです。
◆ズレを作ろうとすると相手に読まれる
これは双子でやっている時によく感じていたことだったんですが、やっぱりずっとやっていると動きを読まれるんです。当然ですよね。それもあれだけ数をこなしていると、自分が「こうやってクロスオーバーをして…」みたいなことを先に決めてイメージをしてやろうとすると「あ、これたぶん読まれてるな」ってのがわかってきます。これは感覚的な話なんですが、体験したことないですかね?自分が何かをやろうとすると「あ、読まれてる」って感じる時。これは今思えば当然のことで、対戦回数とかに関係なく、自分が何かをやろうと考えたら、その時点で既に相手に読まれやすくなります。感覚とか勘とかそういう話になりますが、実際にこれは身体で検証する方法もあります(文字では伝わらないので勉強会でやりましょう)。そして、考えたら自分の動きは遅くなります。つまり、相手が自分よりも瞬発力とか経験とかディフェンス力が高いと、「あれをやろう」と思っている時点で負け戦になるということです。
あと、いつも双子で1対1をしていた時、逆に弟(といっても誕生日は10分しか変わらないですが)のオフェンスは全然読めなかったんです。自分のは読まれてるなぁと思っていたけど、弟のオフェンスを守ろうとしたら読めないで、いつも後手になっていました。だから、だいたい1対1をすると僕が負けていたんですけど、弟は僕みたいにNBA選手のプレーを真似するってタイプではなかったです。同じ映像を見ているけど真似することはあまりなくて、自己流を貫くというか、ドリブルよりもひたすらスリーを磨くタイプでした。だから、僕ほどドライブとか練習してません。ドリブル練習もほぼしてません。でも、僕は止めにくくて読めなかったんです。「自分の方が練習してるのに何でだろう。シュートってやっぱり大事だな」とか「1対1のセンスが違うのかな」とかいろいろ思ってました。
でも、その差が何だったかってのはシンプルでした。それは「相手に合わせているか」ってことです。要するに、駆け引きをしていたかってことなんですが、僕は「相手に合わせてプレーを選択していた」というよりも、「自分の頭の中のプレーをやろうやろうとしていた」から、自分の中でプレーが完結してしまっていたんです。そして、NBA選手のプレーやドリブルを練習しすぎたことで逆に自分のリズムが一定になっていました。だから、試合中も僕は「ああ、1対1したいなぁ」と思いながらプレーしていて、ボールをもらったら「クロスオーバーで抜いてやる」という感じで思っていたので、視野は狭くなるし、プレーの流れが止まっていました。
僕は自分で良く思っていたのは「練習の1対1(二人で〇点選手とかでやるやつ)は良い感じなのに、試合になるとその1対1が出せない」ってことでした。試合で活かせない1対1をしていたってことで、たくさん練習をしていたけど、ずっとそこがモヤモヤポイントでした。「あれだけ練習してるけど試合だといつも活躍できない…」っていう悩みがいつもありました。
で、その壁を乗り越える方法が「1対1をするときの意識」にありました。パワーやスキルではなく、「タイミング」が大事だったんです。そして、自分でやることを最初から決めたり考えてプレーするんじゃなくて、相手に合わせてプレーを決めつけず考えずにプレーすること。それに気づいてからは1対1の楽しみが全く違うものになりました。
◆実践の中で新しい技が生まれる
今は動画で解説したような瞬間を探るようにしています。ズレを自分から作っていくドリブルもありますが、僕はそれだけだと抜けないという相手と対戦して(自分のスキル不足もあり)「これだけだと限界があるな」と思って、もともとあるズレを見つけるようになりました。実際はそういう風なドライブを武学籠球の慎さんと対戦して「なんだこれ!守れない・・・笑」っていうのを体験したからなんですが、その前にパワーとスキルではどうしようもないって相手と対戦していました。あとは先ほど書いたような課題がずっとあって、それを乗り越える方法が「相手の虚を衝く(つく)」という考え方にありました。
最初から何かをやろうと決めると相手に読まれる。ズレを作ろうとしてもつくれない相手がいる。瞬発力やパワーではどうやっても勝てない、勝とうとしたら膨大な時間がかかる。・・・そういう風な体験があって、今の意識に辿り着きました。これをやっている今思うことは、楽だし、相手に読まれにくいし、面白い、です。そもそも何をやるかを決めていないから相手に読まれることが以前よりもはるかに減ったし、相手によって自分のプレーが自然と変わっていくので、1対1をするたびに自分の新しい発見があります。特に、1対1をする中で新しい技が出てくるっていう経験は今までのバスケ人生ではなかったことなので、それがとても楽しいです。
そう考えると、試合中も「自分たちがやってきたことを出し切ろう!」という気持ちは大事だけど、もしそれで「練習通りのことをやったけど相手に対応できなかった」という結果になってしまったら、それは相手ありきのバスケットボールの本質からズレてしまっているのかもしれません。「自分たちがやってきたこと」というのは練習の内容ではありますが、あくまでそれは「相手に対応する」「相手と駆け引きする」という大前提があってこそです。そして、プレー中に考えすぎると相手に読まれるし動きが硬くなります。考えるのは試合前とか試合後、タイムアウト中などで、プレー中は考えずにプレーするのが、より自然で「プレー中に進化する」っていうことが生まれてくるんじゃないかなと思います。今、僕は1対1でそういうことを感じています。
最後に1対1動画を載せておきます。
あくまでハイライトですし、前傾すぎるシュート遅いとかまだまだなところばかりですが、伸び代だと思って、より良い動きを身に付けていきたいと思います!以前よりも1対1をしていても疲れないしストレスが溜まることもゼロだし新しい発見もあるしで、とにかく面白いです。文字や動画だけでは伝えられないことばかりですので、大和籠球の勉強会で一緒にバスケをしましょう!
PS.
最後の動画は一か月前のものなので、今とはだいぶ動きが違うなぁと見ながら思います。Youtubeにこういう動画をアップすると「自己満か?」って思われてしまいそうですが(笑)、一切そんなつもりなく、むしろ恥ずかしいなぁって感じです。でも、少しでも武術とかバスケの面白さが広まればいいなと思って最近は載せるようにしています。これも成長の過程ということで見守っていただけたらなと!
PS.
双子の弟と今1対1をすると、以前よりも断然いい感じでオフェンスできます。あと、ディフェンスでも今まではシュートブロックとかしたことがなくてステップバックスリー打たれまくってたんですが、最近、人生で初めてブロックできました。あれだけ1対1してきたので新しいプレーとかそういうのはお互いわかるので「反応速くなったね」と言われて、ディフェンスも面白いなぁと感じてます。ちなみに、あの僕が変わってそれを体験したのが大きかったのか、ほとんど何か新しいことを取り込んだり変化したりしない弟(双子だけど僕とは真逆です笑)が今はウォータードライブとか武術ディフェンスとかやってます。無駄な動きがなくなって筋力に頼らないので、バスケ寿命が長くなるし、弟も自然と周りに伝えて広めているみたいなので、どんどん面白いバスケが広まっていって楽しいですね。
もちろん、武術というのは一つの視点だし、ドリブルでズレを作るのも僕もやるし好きだし、パワーを付けるのもバスケの一部です。僕がこういった記事を書いているのは、過去の僕のように、パワーとかスキルとか筋力とかそういうので限界を感じた人に対して「こんな道もありますよ」っていうの伝えるためです。それぞれの目的と理想に合わせて、楽しいと思えるバスケが広まっていくといいなと思います。
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