こんばんは、原田です。
先週末は、大阪のU18男子チームで勉強会(直接指導)でした。
今年の夏から大和籠球の実践チーム(コアコミュニティ)に参加している指導者から依頼をいただき、
今回は「新田高校のパスバスケ×Princeton Offense(Dribble at&ダブルパンチ)」をテーマに指導を行いました。
今回は「新田高校のパスバスケ×Princeton Offense(Dribble at&ダブルパンチ)」をテーマに指導を行いました。
※勉強会では指導者と選手の目的・目標を聞き、「得たい成果」を聞いた上で内容を決めています
Twitter(X)で何度か投稿したのですが、
玉井先生が指導されている新田高校(愛媛県)のパスバスケ、本当に凄くて。
どう凄いか?というのは、動画編集をし終えた後、一つひとつきちんと皆さんに(世の中に)発信させていただきます。
※玉井先生からは「隠すことは何もありません。みなさんの参考になる事があるのなら嬉しいです。」と言っていただいています
今、文字でお伝えすると、
新田高校(玉井先生の指導)の凄いところは、
・パスの優先順位
・縦パスを繋ぐ意識
・切り替えの速さ
・速攻の作り方
・質問&傾聴を重視したコーチング
・チーム運営法(練習ドリルを含む)
です。
徹底したパスバスケは見ていて本当に面白く、
多くの指導者(特にU12~18)にとって深い学びがあると思います。
僕自身、バスケットボール本来の特性を思い出すことができ、たくさんの刺激を受けました。
何よりも
・玉井先生の指導者としての在り方
が素晴らしく、その”人間力”に惹かれました。
※大和籠球では、「人間力」を「人格・人望・人徳」と定義しています。
それぞれ何を意味するのか、どのように高めることができるのかまでを体系化しています
ここ最近のメルマガでもお伝えしているように、
技術・戦術の指導の前に、まず大事になるのは「指導者としての在り方」です。
玉井先生のような指導者が増えてほしい・・・!
そう思える2日間でした。
動画公開の日までもうしばらくお待ちくださいませ。
そんな新田高校の玉井先生から学ばせていただいたパスバスケの考え方と、
大和籠球の「バックカット」「Princeton Offense」を掛け合わせようというのが昨日一昨日のチャレンジでした。
こちらに関しては次回のメルマガで報告しますね。
・・・
さて、今日のメルマガでは、
・バックカットをチームの武器にするためには?
というテーマでお話しします。
武器にするための練習ドリルとかコツとか、もちろんそれは色々あります。
それらの基本はほとんどYoutubeに公開しているので、
今回はそういった”やり方”ではなく”取り組み方”をお伝えします。
この取り組み方がなければ、どんなに良い練習ドリルをしてもチームの武器にはなりません。
バックカットを武器にするためには、以下の3つが大切です。
1.信じてやり続ける
2.チャレンジできる環境を創る
3.バックカットを「表」の選択肢にする
1.信じてやり続ける
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まず、凄く大事なマインドは「信じてやり続ける」ということです。
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、
”やり方”ばかりに目が行くと忘れがちなことだと思います。
バックカットに限らないことですが、新しいことをチャレンジするとミスが増えます。
試合ですぐに成果が出ることもあるかもしれませんが、
そういったことは稀で、多くのことは始めはうまくいかないものです。
(これは人間関係やチーム作りでもよくあることで「葛藤期」と呼びます)
そんな時、
・ミスを改善してやり続けるか
・やっぱりダメだと途中で止めるか
が分かれ道です。
新田高校の玉井先生は「パスバスケ」を極めて、今、どこにもないユニークなバスケを創り上げましたが、
その秘訣を聞いてみると笑顔でこう言っていました。
「多くの人は新しいことに手を出したくなるけれど、私はこれを信じてやり続けただけです」
この玉井先生の「指導者の在り方」はとても大切だと思います。
指導者の信念を貫く。
新しい戦術、新しい技術もバスケットボールの進化には必要ですが、
軸となる信念(どんなバスケットボールをしたいか?)を持っておかなければブレてしまいます。
そこには指導者の「指導する目的」、いわば「志」が関係します。
バックカット指導においても、
「バックカットを取り入れる目的」を明確に持ち、
その目的に向かってプレーを改善していく意識が求められます。
ここでもやはり大事なのは「目的」です。
バックカットを指導する目的は何ですか?
バックカットを取り入れることでどんなバスケをしたいですか?
目的を明確にすることでブレなくなります。
・指導者の信念
・目指すバスケットボール
・バスケットボールを通して伝えたいこと
ここがあればミスに対する声がけも変わります。
2.チャレンジできる環境を創る
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先ほど話したことにも通じますが、
選手が安心してチャレンジできる環境創りも必須です。
バックカットは「迷い」があると成功しません。
・バックカットをすると決めたら全力でカットする。
これがかなり大事です。
※始めの指導で大切なのは「バックカットをキャンセルしない」というルールを作ること
味方が走ってくれる信頼があるからパスを出せます。
その「思い切りの良さ」を創るのは、安心してチャレンジできる場です。
・良いカットが起きた時に褒める
・ミスした時にチャレンジを褒めながら解決策を伝える
こういう声がけが大切です。
僕の指導動画を見て貰えばわかるのですが、僕も意識的にこういう声をかけています。
「ナイスカット!ナイス!」
「いいね!いいね!」
「悪くないよ!」
「裏!(今がカットのタイミング)」
こういう”プレー中の声がけ”がとても大切です。
実際の試合では「指導者の声を聞いてからバックカット」では遅いのですが、
始めは「これでいいんだ」「今チャンスがあったんだ」ということを感覚的に覚えてもらうようにしましょう。
この時、良くない声掛けはこういう感じです。
バックカットをしてミスした選手に対して、
「ディフェンスを見て判断しろって言っただろ。今、ディフェンス見てたか?」
「何でもかんでもバックカットがいいってわけじゃないんだぞ。分かってるか?」
みたいな、選手を詰めるような声掛けです。
こういう声をかけられると、選手は言葉を失ってしまいます。
「なんて言えばいいか分からない・・・」
「答えないといけないんだけど何を答えても押しつぶされそう・・・」
そういう関係性になってしまうと、
次からバックカットに”迷い”が生まれてしまい、
思い切りの良さがなくなって更に判断は悪くなります。
これは「導く」という声掛けではないので「指導者」とは言えません。
バックカットって、ほとんどの選手がやったことがない(指導者も経験したことがない)ので、
「いつカットすべきか?」「いつカットすべきではないか?」というのは、チャレンジ→失敗の繰り返しで身に付ける他ないと僕は思っています。
もちろん、判断基準はありますし、ずっとミスで終わっていたら改善の声掛けは必要です。
でも、その経験を積んでいく際に、
「思い切りのいいポジティブなバックカット」
がないと、そもそもいい経験値が詰み上がっていきません。
声掛け、場作り、選手への信頼。
”指導”する上で本当に大切なことです。
「そもそも『いつバックカットをすべきか?』が分からなくて声がけができない・・・」
という場合は、僕のYoutube動画を参考にしてもらえたらなと思います。
僕のYoutube動画では、ミスシーンも入れています。
リアルな現場の様子を届け、どのような声がけをするといいか?
ということを見てくれる皆さんに伝えたいと思っているからです。
ミスした場合でも、
「今のカットはミスになったけど、いいチャレンジだった。ただ、〜〜〜したらもっと良くなるよ」
とか、そういう声がけ一つで選手のプレーは変わります。
「安心してチャレンジできる場」、とても大切です。
その雰囲気を創るのは、
・指導者の志(指導する目的)
・在り方(姿勢や感情のコントロール)
・言葉
共に指導者として成長していきましょう!
3.バックカットを「表」の選択肢にする
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最後に、「バックカットを表にする」について。
ここでいう「表」とは、
・まず始めに狙う選択肢
という意味です。
そのくらいの意識でやると、”ちょうど良い駆け引き”になります。
多くの選手はバックカットの選択肢がなく、ボールに向かうことばかり考えています。
それが習慣になってしまっています。
なぜそうなっているか?というと、
バックカットを成功させた経験がほとんどないからです。
もっと深掘りすると、
バックカットを指導された経験がほとんどなく、
そもそもバックカットという選択肢がないからです。
そして、更に言えば、指導者の方がバックカットを経験したことがある人がほとんどいません。
だから選手ができないのですが、
それは指導者が悪いというわけでは決してなく、
・まだきちんとした「バックカットの指導法」が確立されていない
ということが原因です。
本来、表と裏とは、「表裏一体」と言われたりするくらい分けることはできないものなのですが、
「バックカット」というものがどうしても多くの人にとって「ちゃんと指導されたことがない技術」なんですよね。
だから、適切なタイミングでカットできず、
ディフェンスを崩せないことが多々あります。
でも、
「バックカットは表」という意識でいると、
自然と「適切な駆け引き」ができるようになります。
「でもバックカットだけじゃ守られますよね?外のシュート(表)がないと引いて守られて終わりません?」
って意見もあると思います。
はい、それはその通りです。
バックカットだけでは「一択」になるので、「ニュートラルな駆け引き」になりません。
バックカットと逆の選択肢も大切です。
最近の勉強会(直接指導)では、シュートを教えることもあります。
これはチーム全体で指導するというより、
問題意識を持っている主体性のある選手に個別に伝えている形です。
(シュートは繊細なので「改善したい」と思うタイミングで指導するようにしています)
今回の大阪でもチーム指導を終えた後、個別に5人にシュート指導しました。
…という感じで、シュートも当然大事です。
(指導者の皆さんが「シュート指導」できるように、大和籠球ではシュート指導者育成も行っていきます)
でも、ここで言いたいのは、
・バックカットを表にすることで「ちょうどいい駆け引き」が身につく
ということ。
そして、バックカットの楽しさを覚えると、「パスを出す楽しさ」を知れます。
これが大事なんですよね。
僕も昔そうでしたが、
学生のほとんどはやっぱり1対1がしたい。
ドリブルで相手を抜きたいし、
NBA選手のようなかっこいいプレーがしたい。
それが自然です。
SNSではカッコいいドリブル、NBA選手のハイライトが流れてきますからね。
それもバスケ楽しさだし、必要ですが、
バスケットボールはもっと奥が深いし楽しい。
「パス」を通して、
「チームプレー」を体感すると、
本当のバスケ楽しさに気づけます。
チームスポーツであるバスケットボールの楽しさに。
「チームを大切にしよう」
「チームプレーをしよう」
「1対1ばかりするな」
という言葉での指導よりも、
バックカットの楽しさを通して
「チームプレーの楽しさ」を伝えていく。
そういう指導者をもっと増やしていきたいなって思います。
その教科書が「大和籠球」です。
バックカットって、不思議な力があります。
駆け引きが上手くなるし、
パスを通してチームプレーが楽しくなる。
チームの雰囲気も良くなる。
そして、指導者も楽しくなります。
是非そんなバスケットボールを一緒に創っていきましょう。
それではまたまた長くなりましたが、今日はこの辺で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
PS.
8月9日(土)10日(日)の指導者合宿、参加者集まってきています。
「大和」という理念に共感している指導者仲間との繋がりはとても”和”で素敵です。
自分よがりな人はいないし、バスケットボールを通して”人間力”や”人生に通じる学び”を伝えたいという指導者が集まっています。
(そこにはもちろん「バスケットボールが好き」「勝利を本気で目指す」という想いも含まれています)
今回の指導者合宿では、
・指導者としての在り方
・お辞儀のチカラ
・志(指導の目的)
もお伝えします。
その上に初めて「技術指導」「戦術指導」があります。
共に整え(心意体の統一)、
志(指導の目的)に向かって成長していきましょう。
※当日、都合が合わない方向けのオンライン受講コースも検討していますがリアルに優る学びはないので是非この機会にお越しください
指導者合宿の詳細はこちらから
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