Kobe Bryantは、説明不要なNBAの中でも指折りのスーパースターです。
そんなコービーが先日、引退しました。引退試合は信じられないような試合でしたね。映画を観ているんじゃないか?と思ってしまうほど、とても不思議な感覚が残る試合でした。現実なんだけど、こんなことある?って思えるくらい映画みたいな試合。一生記憶に残るであろう内容でした。そんなコービーは引退を表明する時に以下のような言葉を残しています。(コチラの記事より引用させて頂きます)
本当に安らかな気持ちでこの決断を下した。ずっと力の限りの努力をしてきたし、これからもしていく。今の僕はクソったれなプレーをしているけれど、でも、クソのようなプレーをしないために、本当に全力で努力している。できる限りのことをすべてやっている。そのことに満足感を感じている
今のこの苦しみに喜びを感じるんだ。奇妙に聞こえるかもしれないけれど、うまくいっているときと同じぐらい、うまくいかないときも楽しんでいる。自分について本当にわかるのは、そういう時だからね
もうディフェンスを抜き去ることができないことに素晴らしさを見出している。朝起きて、痛みを感じるのもいいことだ。それだけハードワークをしてきたからこその痛みだとわかっているから。悲しくはない。これまで経験してきたことに感謝している
引退後には
「物語を伝える側になりたい」
と言うブライアント。
会見で、自分の物語で一番面白いことは何かと聞かれると、こう答えた。
「手にできなかった優勝。そこにたどり着くまでの苦労。そういったことがあって、旅が完全なものになる。チャンピオンだけだったら、敵がいないことになる。いい時も悪いときもあって、うまくいかない時があって、だからこそ、映画の最後が面白くなる。そういった瞬間を心から楽しんでいる」
・・・
本当に素晴らしい記事で、コービーの引退の心境、これまでのコービーの道のりの全てがこのインタビューの中に詰まっていると思います。コービーのプレーはもちろんカッコいいですが、生き方も同じくらいカッコいい。
上手く行かないことがあるから面白い
コービーは、普通に考えたらかなりおかしなことを言っています。
「今の苦しみに喜びを感じる」
「上手く行かないことがあるから面白い」
「(自分の物語は)不完全な部分があってこそ、旅は完全なものになる」
自分の物語の中で一番面白いところはどこか?
と聞かれたコービーは、優勝した瞬間ではなくて、逆に
優勝を逃したところ、そして今のようにプレーをするのに苦しんでいるところだと答えています。
コービーはこれまでとにかく勝利に対して貪欲で、常に向上心を持ってプレーしてきました。そのことを考えたら、今回のような発言を聞くと「コービーらしさがなくなって弱気になっているのでは…。」と思えてしまいますが、コービーはそうではなくて、いつも通りのコービーだということがインタビューから分かりました。
失敗を乗り越えれば、失敗は最高の瞬間に変わること
自分は物語の主人公だという感覚で生きること
の大切さをコービーは伝えたかったのではないかと思います。
失敗があるから物語は面白くなる
コービーはいつでもマイナスな面をプラスの面に変えてきました。
それはNBAに入った当初、ルーキーとして臨んだプレーオフから表れていました。
まず、ドラフトの時点では1順目13位という順位でレイカーズに指名されました。
この時点では、コービーよりも評価が高かった選手が12名いるということであり、
コービーは、この年では「13番目の選手」という位置からNBAでのキャリアをスタートさせています。
もっと上位で指名されると思っていたコービーはその悔しさを
「俺のことを指名しなかった球団(1位~12位の選手を指名した球団)を後悔させてやる」
という言葉を残しています。
NBAでスーパースターとなった今と比べたら、
「普通の選手」からスタートしているということです。
その年、ルーキーとして臨んだプレーオフの場面でもコービーらしさが表れました。
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この試合で負ければシーズンが終わってしまうという場面で、
ルーキーのコービーはベテランの選手を差し置いて終盤でシュートを打ち続けています。
でも、そのシュートはことごとく外れました。
しかも、それはリングに当たらないエアーボール。
普通ならこの場面でこんなにたくさんのシュートを打てません。しかも、エアーボールを繰り返しているので、普通にシュートを外したよりも罪悪感を感じてもおかしくない場面です。でも、その中でもコービーは常に自分を信じてシュートを打ち続けています。
結果としては、試合には負けてしまいました。
この時点だけを見たら「失敗」に終わっています。
でも、コービーはここから毎年力をつけていき、NBAで最高クラスの選手になりました。今ではNBAを知っている人でコービーの名前を知らない人はいないでしょう。それくらいのスーパースターにまで上り詰めました。
…
というように、コービーのバスケ人生は決して順風満帆ではなく、失敗や挫折がたくさんあります。
でも、そのようなマイナスな面があるからこそ、
コービーの物語は面白く、多くの人を引き付ける魅力が生まれているのだと思います。
失敗や挫折は、物語を面白くする
「どんなにマイナスなことや失敗、挫折を今経験していたとしても、それを未来から見た時にプラスに変えられたら、最高に面白い物語が出来上がる」
ということをコービーは伝えたかったんじゃないかなと思います。
マイナスな事が起きている時になかなかこうやって思える人はいないと思います。マイナスなことを感じているときに無理にプラスに考えようとしすぎると窮屈になってしまい、自分を見失ってしまうような気もします。なんでもポジティブが良いかというとそうでもないと思います。
ただマイナスな事がずっと続くかというとそうではないし、
将来的に良い結果を作ることができたら、過去のマイナスなことは良い思い出やキッカケに変わりますよね。
コービーのように前に進み、プラスに変わることを信じて動き続ければ、
いつかマイナスな経験は、「物語を面白くするための伏線」に変わるということ。
試験に合格をしなかったとしても、失恋をしたとしても、誰かに怒られたとしても、挑戦に失敗したとしても、何かのコンプレックスがあったとしても、思った通りに人生が進んでいなかったとしても、誰かに嫌われることがあったとしても、つまらないと感じている日常があったとしても、それは人生の物語の一部であり、物語を面白くしてくれる経験であり、とても大切な経験。
マイナスをプラスに変えられたとき、
マイナスの経験に対して感謝することもできます。
コービーは辛かったときのことに対して感謝していることが良くわかります。
そういえば、ちょっと前に見たテレビ番組で、
お笑い芸人の「コロッケさん」が出演していました。
コロッケさんといえば、モノマネの第一人者とも言われるくらい有名な人ですが、何十年もの間、自分が難聴であることを隠していました。そして、デビューしてから30年が経とうとしている時に、ようやく会見で告白しました。その時コロッケさんはこう話しています。
ものまねに難聴が良かったのかもしれない。右耳が聞こえない分、より意識を集中してできたし、逆にいい方向に膨らんでいったのかな
自分が難聴でなければ、今の自分はない。
難聴であったからこそ、人よりも集中して特徴を捉えようとし、
難聴であったからこそ、独自のスタイルでのモノマネが生まれたと言っています。
コロッケさんも、コービーと同じ考え方ですね。
脚の大怪我をしたポール・ジョージでも同じですし、NBA選手の幼少時代からのストーリーを読むと、「この選手でもこんなにつらい時期があったのか!」と驚くようなことがたくさんあります。これはNBA選手に限らず、視点を変えたら、ほとんどの人に当てはまることだと思います。
「不完全な面があるからこそ、人生の物語は完全になる」
「自分もコービーみたいな体験があるのかな?」
と考えたら、過去のおかげで今があるなぁと思うことばかりだと気づきました。
この情報発信をすることになったのも、
高校時代に、「キツイ練習をしないと勝てない」という考え方にとらわれていて、
スペーシングやスクリーンプレーを学ぼうとしなかった経験があって、
自分と同じような経験を今している人に、バスケの面白さを伝えたいと思ったからです。
NBA選手のオフボールの合わせを知った時、
「高校時代の自分はなんて無駄な時間を過ごしていたんだ…。
チームメイトたちに、あんなに練習を強制させる必要はなかったな…」
という気持ちになったのですが、
でも、今は、
この情報発信が生まれて、
沢山の人と繋がれているのは、
あの高校時代の経験があったからだなと思えるし、
あれだけ本気で部活に取り組んでいたから、
今でも高校のチームメイトたちとは仲が良く、
一緒にバスケを楽しんでいけるんだと思っています。
コービーの言葉は、いわゆる「キレイゴト」と捉えられてしまうような、
「名言」なわけですが、あのコービーの言葉だからこそ、素直に受け入れられますよね。
たぶん、同じことを
よくわからない有名人が言っていても、
「よくある名言だよなぁ」で終わると思いますが、
あんな信じられない引退試合を見せてくれて、
ずっとバスケに対して情熱を注いで努力し続けてきたコービーだからこそ、響くものがあります。
Kobe Bryantのプレーも、
バスケに対する向き合い方も、
Mamba Mentalityという生き方の全てが
とにかく、カッコいいですね!
コービー、今までありがとう。
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