今回はディフェンスについて。
ここ最近、武術の話をしていますが、
僕がここ一年で本格的に学んでいるのは、
大学の先輩で情報発信仲間の慎さんが深めている武学です。
(武学って何?という質問への返答は長くなるのでここでは割愛します。)
また、情報発信を通して、バスケ以外のこともいろいろ学んでいるのですが、
(というよりも、情報発信業界は最先端の教育であり、今の世の中を創っている基盤ともいえるので、自然と色々な情報を学ぶようになります)
その中に、日本の歴史とか教育とか時代の変化とかも含まれています。
「日本の歴史」といっても年号を覚えるだけの社会の授業を大人になって学び直しているわけではなくて、
学校では教わらない歴史の背景となる部分だったり、昔の日本人が学んでいた日本の美学だったりそういうことです。
そういうことを学べば学ぶほど、
ここ最近の記事で書いている武術の視点は、
今まではなかなか表に出てこなかったもので、
学べる機会がないというのは仕方がないことだったんだなと思えます。
でも、今は情報発信があるので、
先人たちの叡智(えいち)が広まる時代になりました。
昔だったら、僕が書いているブログみたいなことは、
動画で見せたくても動画を撮って広める方法がないし、
文字で伝えようとしても、そもそもブログを読む人が少ないし、
なかなか面白い世界だったとしても広まりにくかったと思います。
だから、こういう視点というのは、
本当に武術を習っていて稽古をしている人しか知れなくて、
このブログみたいに「バスケに興味がある」「NBAの凄さを知ってみたい」みたいに、
武術とは別のところからは、なかなか学べなかったんだろうなと思います。
そう考えると、やっぱり情報発信って面白いですね。
僕がNBAのことを発信しているのは、
NBAの凄さを知って衝撃を受けて価値観が変わったからでもあるし、
武術とか教育とか、そういうことをNBAを通して伝えていきたいからです。
もし、このブログが武術の記事だけだったら、おそらく辿り着く人は少数のはずです。
でも、NBAという世界最高峰のリーグは、
バスケをしていれば誰もが一度は見たことがあるし、
憧れるところなので、そこに対して興味を持つ人は多いはずです。
それがきっかけとなって、
武術のことや教育のこと、情報発信のことなど、
どんどん学びが広がっていけばいいなと思っています。
僕自身、そういう流れで今に至っているので、
その流れをそのまま記事にしているという感じです。
さて、そんなわけでディフェンス編を書いていきます!
前回の記事で、だいぶ、
「武術ってどんな世界なのか?」
ってことを話したので、あの話を踏まえて書いていきますね。
(まだ読んでいない方は前回の記事を読んでみてくださいね)
まず、ディフェンスの基本といえば・・・?
ステイローとハンズアップ。
プレッシャーをかけてボールを取りにいく。
かなと思います。
僕もそのディフェンスを教わってきたし、
もちろん、教えてくれたコーチのおかげで今があります。
そういう感謝の気持ちを忘れずに、
教わったことよりも、より良いものを取り入れて、
日々進化していくことがスポーツの価値であると思うので、
その気持ちで、武術的な視点でのディフェンスを書いていきます。
どんな感じのディフェンスを今しているかというと、こんな感じです。
これも慎さんが現在進行形で運営している講座「攻めさせるディフェンス」で学んでいることです。
もちろん、これも編集をしているので、
良いところを切り取ったものではありますが、
ディフェンスも、ここ最近、変化を感じられるようになってきました。
(相手の大学生のオフェンス動画はこちらから)
ディフェンスでは、
・ノーステイロー
・ノーハンズアップ
・ボールを取りにいかない
というのをやっています。
その他にもいろいろありますが、
とりあえず、この三つを取り上げます。
まず、このディフェンスを体験した大学生の感想を
ディフェンスの部分だけを切り取ってもう一度紹介します。
まずOFとDF通じて、対したときにあまり強そうに見えないというのが第1印象でした。特にプレッシャーをかけてくるわけでもなく、スピードやパワーなどフィジカルに脅威があるわけでもない、なんか勝てそうかも、と思えるくらいでした。事前に見たことのある動画でも、特に目立ってすごいスキルとかがあるわけでもなかったので、勝てるだろうと思って1対1に臨みました。
(中略)
自分がOFの時も、いつものOFをしている気がしませんでした。というよりは段々とさせてもらえなくなりました。最初はドライブで抜いたり外からシュートを決めたりできたのですが、時間が経つにつれて全て読まれてる感じがして、何もできなくなってしまいました。1番やりづらかったのは、こちらがジャブステップやシュートなどのフェイクをしても、全然動かないというところです。自分の動きに対して1,2歩ちょこちょこっと動くだけ。かといっていきなりスピードでドライブしたりシュートを打ったりしても、そこに対してはこちらが動いた分だけしっかりとついてくる。これはもう全て動きが読まれているとしか思えない感じがして、最後の方は何をすればいいかわからなくなってしまうほどでした。この、「相手が動いた分だけ」というのが重要なのではないかと思います。必要以上に動かない、無駄がない、ということです。簡単な話ではないですが、そうすれば相手の動きに振り回されることもなく、最小の動きでDFできると思います。そのようなことに気づいた時、最初「あまり強そうじゃない」と思っていたのも、逆に全てを見透かしているような不気味さに変わりました。
今回の1対1で体験したことは、今までのバスケと全く違う感覚のもので、体感しないと絶対にわからなかったことだと思います。後で動画を見てみても、なんでこんな簡単に抜かれてるんだろう、なんでこんな簡単に押し込まれているのだろうということはわかりませんが、自分の中では体感したイメージが確かに残っているので、武術の不思議さや凄さにとても興味が湧きました。バスケをしている人にはできれば1度経験して味わってみてほしい体験だったなと思います。ありがとうございました。
これは前回同様、僕も師匠の慎さんと1対1をすると同じようなことを感じます。
なので、これから書いていくことは僕がディフェンスでやっていることでもあるし、
慎さんと対戦した時に、僕がオフェンスとしてやられていることでもあるということです。
「攻めさせるディフェンス」の基本は、
前回の記事で書いた、武術の基本的な考え方が元になっています。
「相手よりも弱くなることで、相手を弱くさせる」
ということです。
慎さんの言葉で表現すると、
「相手が10できたら自分は9.999の力で対応する」
というくらい”微妙に弱くなる”のがポイント。
相手を止めようとしてプレッシャーをかけすぎると(自分が相手よりも強くなると)、
相手は「ボールを取られたくない」「止められたくない」という気持ちが出てくるので、
結果として、相手が得意なドリブルスキルとかスピードを使って攻めてくることになりがちです。
これを言葉にすると、
「相手よりも強くなることで、相手を強くさせている」
ということです。
つまり、相手の能力を引き出していることになります。
また、ハンズアップをしてボールを取ろうとすると、
自分の姿勢が崩れて、隙が生まれてしまうこともあります。
あとは、ハンズアップをすると、
相手に自分がどこを守ろうとしているかを見せることになったり、
相手の攻める選択肢を相手に提示していることになったりするので、
ハンズアップをしないで何もしない(相手が攻めてくるのを待つ)ことで、
相手に対して「何でもできる」というのを示すことで相手を迷わせることにも繋がります。
(「今日のご飯なにがいい?」って聞かれたときに「何でもいい」って答えると迷わせちゃうのと一緒です。笑)
なので、基本的にハンズアップをしていません。
ただ、逆に考えたら、
手の上げ方によって相手が攻めてくる方向とかがある程度決まるので、
それを活かして、あえて相手にドライブをさせるようなディフェンスもできるかなと思っています。
僕はまだまだそこまでいかないですが、師匠の慎さんは最近そんなことを考えているみたいです。
ステイローに関しては、
自分にとって一番動きやすい姿勢を探った結果、
ステイローをしない姿勢が一番良かったからそうしている
という感じです。
ちなみに、これはイチロー選手も言っていたことです。
盗塁をするときの姿勢が低すぎても高すぎても動きにくいと言っていました。
ステイローをしすぎると、守れる感じがしますが、
実際は、動き出すときにフロアを蹴らないといけないので、その瞬間に踏ん張りが生まれて、
動くのが遅くなることが多いし、より速く動こうと思ったら、筋力や瞬発力を鍛える必要があります。
そのためにトレーニングを重ねて、ディフェンスフットワークをしていけばいいという話にもなるのですが、
そうなると、筋力や練習量の勝負になることもあるし、踏んばることになるので、力と力の勝負になります。
なので、武術的に考えるとそれはしません。
武術的に考えると、と言いましたが、
これは何も武術とスポーツと分ける必要はなくて、
練習環境が良くないチームとか、筋力や瞬発力では勝てない選手とか、
無駄なくディフェンスができるようになりたいとか、そういうチームや選手にとっては、
「最小限の力で最大の成果を出す」という武術の視点は役に立つと思います。
ここではわかりやすく「武術」という話をしているというだけですかね。
大学生の言葉には、
「1番やりづらかったのは、こちらがジャブステップやシュートなどのフェイクをしても、全然動かないというところです。自分の動きに対して1,2歩ちょこちょこっと動くだけ。かといっていきなりスピードでドライブしたりシュートを打ったりしても、そこに対してはこちらが動いた分だけしっかりとついてくる。」
というのがありますが、
これには、
「無意識反射を無くす」
「相手を止めようとしない」
「相手と同じスピードで動く」
というのが関係しています。
ここでは話しきれないのですが、
地道なステップの練習を、ゆっくり、丁寧に、継続することで、
大学生が感じたようなディフェンスに近づけます。
(僕もまだまだ未熟ですが)
ジャブとかフェイクに引っかかりにくいというのは、どうしてかというのは、
これは文字で伝えるのは無理があるんですが(笑)、なんとか頑張って言葉にすると、
「相手を(正面で)止めよう」と思わず、「相手の動きについていこう」と思っているからです。
あとは、細かいステップの練習をして、無意識反射(「やばい!抜かれる!」という反射から生まれる過剰な動き)をなくしているからでもあります。
相手を止めようとしていないので、
相手がドライブを開始したら、コンマ何秒か後に動けばいいので、
フェイクに過剰反応しなくていいことになります。
かと言って、遅く反応しすぎると抜かれてしまうので、
「相手よりも微妙に弱くなる(遅く動く)」ということをします。
ほとんどイメージ的には、
相手と同じスピードで動くことになりますが、
厳密には、相手よりも微妙に遅く動いて止めないですかね。
これもまた言葉にすると、変な感じになるかもしれません。
(それでも書き進めているのは、前回までの記事で話した通りです!)
・・・
こんな感じで、
ディフェンスでもオフェンスと同じように、
最小限の力で最大の成果を出す動きを追及して、
相手よりも強くなろうとせず、相手を弱くさせるのが武術的な考え方です。
実際は、もっと細かくスタンスからステップまでを丁寧に高めていくのですが、
今回は武術の視点を活かしたディフェンスを紹介するために、この辺で解説は終わろうと思います。
このディフェンスをするようになってから、
・相手のフェイクに過剰に反応しなくなった
・自分よりも能力が高かったりドリブルが上手い選手を守るのが楽しくなった
・相手に”攻められる”ことが減って、相手に”攻めさせる”ことが増えて、自分の伸び代が見えるようになった
・踏ん張る無駄な動きが減った分、疲れることがなくなった(筋トレは自分の変化を測るためにもしていません)
という変化があります。
大学生の感想にもある通り、最初はかなりやられました。
でも、その時に主体性があったので、
「今のは自分の立ち位置が悪かったから、左を抜かれたんだな」
「今のはシュートフェイクに対して過剰に反応したから抜かれたんだな」
「もしかしたら、相手はこのドリブルからの、こっち側のドライブが得意なのかな?」
という感じで、やられた原因が自分にあると思えました。
なので、同じようにはやられないように対処の仕方が見えてきたし、
ある程度、仮説を立てて、相手の癖を分析しながら意識的に守れました。
これは今までにはないことでした。
何よりも、ディフェンスが楽しいです。
これが僕にとって、本当に大きな変化で価値だと感じています。
ディフェンス練習といえば、「キツイ」というイメージでした。
高校生の頃、地元の強いチームのバスケが正解だと思って追いかけていたので、
とにかく、ディフェンスが強くなれるようにキツイ練習をできるだけ長くやっていました。
ステイローとハンズアップができるように、
ディフェンスの姿勢でハンズアップをした状態で、
壁に背中をつけて何分も耐えて、太ももがプルプルしながらも、「がんばー!!」と言いながら、
上手くなりたい勝ちたいと思って、みんなで耐えてやっていました。
アップのサイドキックは、ディフェンスの一歩をできるだけ出せるようにと、
できるだけ遠くに着地できるように、がんばってフロアを蹴ってやっていました。
ディフェンスのサイドステップの練習は、
自分でいうのもあれですが「一度も手を抜いたことがない」と自信を持って言えるほど、
全ての練習で、毎日、自分が持てる力を全部出しきって、「全力」という言葉の通りやっていました。
ハンズアップをするときは、指先まで神経が通るように意識して、全ての練習で意識してやっていました。
ディフェンス練習はキツかったので好きではなかったです。
でも、「これを乗り越えたら勝てる!」と思っていたから、
どんなのキツくても手を抜いたことはなかったし、
ディフェンスは学生時代のチームの強みでもありました。
ディフェンスフットワークが無駄なのか?
というと、そうは思いません。
ただ、今、あの時を振り返ると、
地元の強いチームと自分たちの高校は、
選手たちが部活に入った動機も、目指していることも、練習環境も、指導者の価値観も、選手の個性も、チームの理想も、
全てが違っていたので、「強いチームのバスケが正解なんだ」と追いかけていたことは遠回りをしていたなと思います。
今、あの頃に戻れるなら、
もっと楽しく上達できて勝つ道を探れたし、
みんなの個性も絶対に活かせると思います。
あの頃やっていたディフェンスフットワークも、今ならやっていません。
でも、この記事の一番最初で書いた通り、
あの頃に一生懸命、チームメイトと練習をしたこと、
中学生や高校生の指導者から教わったディフェンスの基礎というのがなかったら、
今バスケをやっていないかもしれないし、今この記事を書けていないと思います。
あの時はディフェンス練習を頑張ったおかげで、
勝てた試合もいくつもあったし、それが自分たちの強みでした。
もし、あの時の経験がなかったら、
一生懸命ディフェンスフットワークをしている学生を見て、
「そんな無駄なことする必要ないよ!」と、道を捻じ曲げていたかもしれません。
それは良い迷惑というやつで、一生懸命何かに取り組むことは大事なことだし、
教育者ができることは、様々な道を提示して、その道の未来を説明して、選択権を与えることだけです。
今回の視点が絶対的なものでもないし、全ての人に強制的に学ぶべきだ!と押し付けることもするつもりはありません。
というよりも、それはしてはいけないことですよね。
今回の記事も、これまでの全ての記事も、
1対1の挑戦状として書いているわけではなくて、
「力では到達できない面白い世界がある」
という一つの選択肢を伝えるために書いています。
自分よりも1対1が上手い、ドリブルが上手い、身体が強い、シュートが入る、・・・
そういう人は世の中にたーーーくさんいるし、その人たちと競いたいわけではありません。
ただ、筋トレをしていなくても、
身体能力が高くなかったり身体が大きくなくても、
大きな力を使わなくても、バスケを楽しめるというのを伝えたいし、
一緒にバスケを語ったり切磋琢磨できるバスケ仲間と出会いたいと思っています。
僕が学生の頃に、この視点を知っていたら、
ディフェンスをもっと効率よくやれて、もっとオフェンスに時間を使えていただろうし、
バスケを部活を楽しみながら、上達できて、チームの勝ちにも繋げられていたと思います。
イチロー選手も言っていますが、
遠回りだと最初から分かっている道を進む必要はないので、
この記事を読んで、今やっていることを更に良くして面白くしていけると思うのであれば、
今やっていることで変えていけるところは変えていくと良いんじゃないかなと思うのですが、
「武術とかよくわからないし、そんなことよりもフットワークだ!」
という気持ちがあれば、それが正解なのだと思います。
その道を進んでいった結果、
最後まで、その道のまま進んでいくかもしれないし、
僕みたいに「(今から思えば)無駄だったけど(後から振り返ると)無駄じゃなかった」
と思える時が来て、今回の記事で書いたような視点に辿り着くかもしれません。
それは進んでみないとわからないことですね。
それに、
「どちらかが正解で、どちらかが不正解」
という二元論ではなくて、どっちも必要で、
どちらの良さも残して更に高い視点を持つのがいいですね。
僕は情報発信者として、
自分の過去の経験と今の経験を凝縮させた地図のようなものを創って、
それを伝えて、今のバスケをより面白くしていくことが仕事だと思っています。
そんな場を創るために準備を進めます。
というわけで、ディフェンス編についてでした。
これでも伝えたいことの10分の1も伝えられていないし、
文字で伝えても、たぶん、1%くらいしか伝わらないかもしれません。
大学生の感想の通り、体験して初めてわかる世界だからです。
ひとまず、近況報告と新しい活動の予告を兼ねた
武術を活かしたバスケの記事はこれで一旦締める予定です。
また1対1をしたり発見があれば動画や記事を更新します。
慎さんとの1対1も、もう少しディフェンスがんばります。笑
バスケは本当に面白いし、
武という世界を残してきた過去の先輩たち、
日本という国は凄いなと思うことばかりです。
そして、これもアメリカで生まれたバスケとNBAがあってこそ。
NBAで凄いのはダンクだけじゃない、ですね。
PS.
そういえば、大学生の感想に「不気味な雰囲気がした」というのがありましたが、これはなんというか、相手に良いプレーをされても自分が守ったり抜いたりしても、「うーん、今のはまだまだだ無駄があるなぁ」みたいな感じで自問自答を常にしていて心の中でブツブツ喋っているからかなと思います。武術的には「自分が乱れない(平常心、自然体、ニュートラルを保つ)」ということを目指すので、自然と喜怒哀楽を表現しなくなるからかもしれません。とはいえ、ウエストブルックみたいな闘争心も好きですし、それもバスケの良さですよね!慎さんもいつもそんな感じでちょっと不気味な感じがするときもあります(笑)楽しい1対1でした!
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