『トライアングル・オフェンス(以下トライアングルOF)』
という言葉は、NBAを見たことがある人であれば、何度か耳にしたことがあるかと思います。
バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンがブルズ時代に行っていたシステムであり、現代では、コービーが所属しているレイカーズで行われているシステムです。両選手ともに、NBAを代表する選手であり、トライアングルOFのシステムの中で、両者合わせて11回ものNBA優勝を飾っています(ジョーダン6回、コービー5回)。
トライアングルOFの考案者は、Tex Winter(テックス ウィンター) 1950年代にアメリカの大学のコーチをしているときに、トライアングルOFを考案し、NBAのコーチになり、シカゴ・ブルズのアシスタントコーチに就任したときに、トライアングルOFを導入しました。その時のブルズのHCである、フィル・ジャクソン(レイカーズが優勝したときのHCでもある)が導入するようにテックスに話したそうです。
60年ほど前から考案されていたOFシステムであり、NBAのチームを優勝をさせることができた素晴らしいOFシステムですが、仕組みは意外とそれほど難しくはなく、とてもシンプルのものです。今回は、NBAのフォーメーションやバスケの知識が詰まった『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』(陸川章監修)と、youtubeにあるトライアングルOFの動画を参考にしながら、トライアングルOFの概要を解説していきたいと思います。
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目次
- トライアングルOFとは?
- トライアングルOFの基本的なシステム
- トライアングルOF 解説動画
- NBAでの実例
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目次
1、トライアングルOFとは?
トライアングルOFとは、図のように「三角形」を作りながら攻めるOFです。
トライアングルOFの特徴、必要なスキルなどを 『NBAコーチングプレイブック』を参考にまとめてみます。
『このシステムは単にプレーを繋ぎ合わせたものではない。むしろ、それは一つの哲学であり、チームがボールを得るごとに作動する、思考と実行が調和した方法にほかならない。 …このオフェンスは、コートの片サイドでのサイドライン・トライアングルと、もう片サイドでの2メンゲームだと言える。その中で、オフェンスのオプションはディフェンスの位置と反応によって決まる。 このオフェンスについてよく聞かれる誤解は、才能ある選手を想定して考案されたということだ。…トライアングルの真価は、それほど才能に恵まれていない選手が、オフェンス時にチームの成功に貢献できるように手助けすることなのだ。…とはいえ、このプレースタイルに必要なことは、選手がしっかりと訓練されていること、そして集団の最大の利益のために、個人的な野心を明け渡すことを厭わない姿勢である。…』 『トライアングルOFでは、選手の役割は全体として交換可能である。ガードも、フォワードも、センターも、コート上でそれぞれのポジションにとって典型的とされる場所だけでプレーする必要はない。そういった場所は、どのプレイヤーによっても埋めることができる。』 by NBAコーチングプレイブック
図のようなトライアングル+2メンゲームを基本としています。
ジョーダンやコービー、シャックをイメージすると、トライアングルOFは才能のある選手にのみ有効なシステムだと思われがちですが、フィル・ジャクソンはそのことを否定し、『才能に恵まれていない選手が、オフェンス時にチームの成功に貢献できるように手助けをする』と言っています。
また、全ポジション交換可能であると言っています。
コービーがポストでプレーすることがあるのもこのためです。
トライアングルOFのもう一つの特徴は、『スペーシング』です。
スペース(Space)とは、隣のOFとの距離のことで、トライアングルOFは、とても良いスペーシングでプレーすることができます。一般的に、良いスペーシングとは、OF同士の距離が5mほどだと言われています(NBAや高校などコートの大きさが変わるアメリカでは、4.5~6m)。トライアングルOFでは、「三角形(トライアングル)」を作ることで、良いスペーシングでプレーすることができます。
良いスペースを取ることで、プレーの幅が広がり、ミスが少なくなります。
(※『NBAでスゴいのはダンクだけ!?』の発信では、良いスペーシングのことを4.5m~6mではなく、「一人で二人を守れないような距離・動き」と定義しています。)
また、フィル・ジャクソンは、この書籍の中で、『このオフェンスを成功するために欠かすことができない一つのスキル』は、パッシングスキルであるとも言っています。
【パッシングスキル】
- ディフェンダーが1mかそれよりも近い位置にいるときにパスを出す
- パスコースとパスの受け手を見るが、ノールックパスは使わずに周辺視野を使う
- 大げさなフェイクをせず、目的を持ったフェイクを使う。可能な限り全てのパスコースに合わせてフェイクを行う
- パス動作をできる限り短くする
- オープンな選手に素早くパスを出す。ボールを受けてから3秒以内に次の行動に移す
- チームメイトのオープンサイド(ディフェンスがついていない方)にパスを出す(このことは優れた選手でも無視しがちなルールに一つ)
- ボールを受けることを想定して、次にどのチームメイトや場所にパスを出すべきかを前もって考える(優れた選手が兼ね備えている技術)
フィル・ジャクソンに言う「優れた選手とそうでない選手の差」というのは、ほんの少しの基礎の差であることが分かります。相手がいない側にパスを出す、ボールを受ける前に次のプレーを考える、など簡単な基礎でも、できているかできていないかで、トライアングルOFの質も、プレイヤーとしての質も変わっていくものなんですね。
2、トライアングルOFの基本的なシステム
では、ここから本格的に、 トライアングルOFが、どのような仕組みであるかについて解説していきます。トライアングルOFは、基本のトライアングルの形から、大きく分けて4つのパターンに分かれます。
ウィングプレイヤー(②)が、パスを出す位置によって4つのパターンに分けられ、その形を基本にしながら、オプションとして少し応用した形のプレーが行われていきます。4つの基本的な動きだけでも、とてもシンプルで、トライアングルOFの概要を知ることができます。
4つのオプション
トライアングルOFは、ウィングプレイヤーが出したパス(「セカンドパス」と呼びます)の位置によって、4つのオプションに分かれます。ウィングプレイヤーからのパスを「セカンドパス」と呼ぶのは、このトライアングルの形を作るためにひとつ前のパスのことを「ファーストパス」と呼ぶからです。
~Fitst Option~
まずは、ボールがポストプレイヤー(⑤)に入った場合です。
この場合、ポストの1対1ができるように、オフボールの選手は良いスペーシングを取り、ゴールへカットします。
その際に、⑤からのパスを受ける準備をしながら、ゴールへカットします。ゴールへカットしながら、パスを出した②は、トップにいる③または、④にスクリーンをかけ、シュートチャンスを作ります。またこれとは違ったカットの仕方で、 シザースカット(ボールに向かって異なる2人の選手が交互にカットすること)をするパターンもあります。
また、②がコーナーの①にスクリーンをかけるパターンもあります。この場合は、ボールを受けた⑤の選手の位置が少し高い位置であるときに有効です。(※もし、ローポストの深い部分で⑤がボールを受けている時に、このプレーするとスペースがなく、次のプレーが上手くいきにくくなります)
~Second Option~
次に、ウィングから、トップの選手(③)にボールが入った時です。この場合、「Pinch Post(ピンチポスト)」と呼ばれるプレーを行います。ローポストにいる選手が、ハイポストにフラッシュをして、そのままパサー(③)と2メンゲームをします。
【Pinch Post】
この時、同時に逆サイドでは、ダブルスクリーンをかけ、シュートチャンスを作ります。
④と③との2メンゲームの形は、チームによって様々です。
- ④のアイソレーション1対1(コービー、ジョーダンなど)
- ④と③のオンボールスクリーン(Pick&Roll)
- ③がゴールにカットし、パスを出す
…
③がゴールにカットした後に、 逆サイドの選手とドリブル・ハンド・オフ(DHO)を行うケースもあります。
~Third Option~
次に、3つ目のオプションです。
ポストプレイヤーにパス(First option)が入らず、③の選手へのパス(Second option)をしようとしても、DFにディナイをされているというときに、Third optionが使われます。この場合、ディナイDFをされている③のプレイヤーの「バックドア」を狙うため、ポストプレイヤー④がフラッシュしてきます。
このようにしてバックドアを狙います。
この時、Second optionのように逆サイドと、DHOをすることもできます。
~Fourth Option~
最後に、4つ目のオプションです。
ウィングプレイヤーが、コーナーにいる選手にパスを落とした場合です。この場合、コーナーからポストにパスを入れるケースもありますが、基本的には、パサーにポストマンがスクリーンをかけ、そのままコーナーの①とPick&Rollをします。
以上が、トライアングルOFのシステムです。
ウィングプレイヤーがどこのパスを出すかによって、4つのパターンに分かれます。それぞれのパターンの中で攻め方は、DFに位置やチームの方針によって変わりますが、基本的に、トライアングルの形を作ってからセカンドパスがどこにいくかによって、4つのパターンに分かれます。
3、トライアングルOF 解説動画
ここからは、youtbeにあるトライアングルOFのわかりやすい解説動画です。
さきほど解説した4つのパターンで、動画でわかりやすく説明されています。
【トラアングルOF 解説動画】
『How the Knicks are Running the Triangle Offense』
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=bNyKnN9AMIE” /]
このyoutubeチャンネルはCoach Danielという方が行っている、NBAの解説動画をアップしているチャンネルです。※時間がない場合は、この動画だけでもいいので、時間を取ってみてみて下さい。4つのオプションがとてもわかりやすく解説されているので、これを見ればトライアングルOFの概要を誰でも理解することができると思います。10分間です。
時間がある場合は、こちらもどうぞ↓
BBALLBREAKDOWN のCoach Nickのよる解説動画です。(※上の動画と解説していることは、ほとんど同じことです)
BBALLBREAKDOWNは、世界的に有名(インターネット上で世界中に広まっています)なバスケ解説動画を配信している活動で、Coach Nickという方が発信しています。僕がNBAのスゴさに気付くことができたのは、Coach Nickの活動のおかげでもあります。世界一バスケのことを理解している方だと思います(以前、TwitterからCoach Nickにメッセージをして、バスケについての質問をしたところ、返信をもらうことができました!今後も質問していく予定です。BBALLBREAKDOWNのTwitterアカウントは、こちらから→https://twitter.com/bballbreakdown)
『トライアングルOF解説 First Option、Second Option』
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=eewCYox5MuI” /]
『トライアングルOF解説 Third Option、Fourth Option』
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=p1eC9KA0wHw” /]
PS.
今回は、トライアングルOFの基本的な知識と、4つのオプションについて解説しました。トライアングルOFという言葉を聞いたことがあっても、その内容までは「難しそう」という理由で、調べたことがないことがほとんどだと思います。実際に、僕もここ半年でやっとトライアングルOFについて知ることができました。調べてみると、意外とシンプルで理解しやすく、そしてとても効率の良いOFであることがわかりました。
昔、レイカーズの試合をテレビで見ていた時は、
フィル・ジャクソンが、指笛を鳴らして、三角形を作っているポーズを見て
「あーー、これトライアングルOFってやつをやれって指示出してるんだろうなぁ。」
くらいにしか思えませんでした。
でも、トライアングルOFについての知識を知ってから、 レイカーズの昔の試合を見ると、全く見方が変わって、よりNBAを見るのが面白くなりました。
- フィッシャーが毎回コーナーに移動するのも
- ガソルが、ハイポストにフラッシュするタイミングも、
- コービーが1対1ができるのも
全て「トライアングルOF」という、チームの仕組みがあったからだったんです。
PS
(NBAでのトライアングルOF 実践動画は、 こちらの記事からどうぞ)
- トライアングルOFの良い例と悪い例を紹介した動画(今季のニックスより)
- ジョーダンが、トライアングルOFでどのように得点を取っていたかがわかる動画
- 2010年にNBAを制したときの、レイカーズのトライアングルOFの動画
を紹介しています。
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