こんばんは、原田です。
今日は、スラムダンクの赤木に関する行動で、
面白い視点を返信してくれた方がいたので紹介したいと思います。
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原田さま
いつも大変参考になるお話ありがとうございます。
私は高校生の男子バスケ部を指導しています。
1つ取り上げて欲しい話題があります。
赤木が勝ちたいが為に部員に練習を強要して多数の部員を辞めさせた件です。また、試合の帰りの電車の仕草等から常にイライラしています。結果、自分の目標であるインターハイ出場を共有できる仲間だけが残り良い仲間に出会えたと涙を流すシーンにつながります。
あの赤木の行動がなければ赤木が在学中にはインターハイにいけないと私は強く確信しています。例えばあそこから赤木が先輩、仲間からバスケの楽しさを教わり、勝ち負け関係なくバスケに打ち込むことができましたか?スラムダンクから学ぶこととしては、これが私の指導に一番影響しています。
勝ちたい気持ちや怒り、負のエネルギーは本当に強いです。同じ思考の仲間を厳選して練習する方が勝ちにつながりやすいんですよ。私は赤木の強い負のエネルギーがあったからこそ、インターハイには出れた、しかし、試合中には俺がやらねばという負のエネルギーだけでは勝てず、泥にまみれるという正のエネルギーに気づいたと考察しています。学生スポーツの場は今でも似たような状況です。勝利を求めるために部員が辞めていく、イライラした気持ちで日常バスケを過ごす生徒はたくさんいます。
赤木の行った部員を辞めさす行動が良いか、悪いかを是非指導者には逃げずに答えを出して欲しいです。
私は反対です。
私は高校バスケで勝つよりも
アメリカのストリートバスケ文化、
ブラジルのストリートサッカーのようなものを日本に求めているからです。
是非、こちらについてアドバイス聞きたいです!!
一緒に日本のバスケを変えましょう!
=======ここまで=======
さて、このご意見についてどう思いますか?
誰もが知っているスラムダンクの話題だからこそ、
面白いし、深めていく価値がある大切なシーンですね。
まず、どのシーンだったかというと、
赤木が一年生の頃、とにかく勝ちたいと思っていたのですが、
周りはどうだったかというと、赤木ほど勝ちたいとは思えていなかったのです。
だから、赤木との熱意に差があり、
結果として、赤木の熱意に付いていけず、
何人もの部員が辞めていってしまいました。
残ったのは、小暮だけです。
これだけを見ると、
赤木が部員を辞めさせたように思えますし、
返信の中にあるように、赤木が悪いとも考えられます。
それに、確かに、
この事で赤木の周りには熱意のある人が集まり、
結果として、インターハイ出場という目標を達成することができました。
だから、このシーンは複雑なところなのです。
赤木にとってはプラスに思えるけど、
辞めていった部員にとってはマイナスに思える。
どちらが正しいのか、
どちらが間違っているのか、
という答えを出すことは難しいテーマですが、
だからこそ、議論する価値があると思います。
さて、皆さんは、このシーンの赤木の行動をどう考えますか?
僕なりの考え方をここでは話そうと思います。
まず、返信の中にある視点で、
「赤木が辞めさせた」
「勝ちたい気持ちや怒りは負のエネルギーが強い」
という解釈は、ちょっと違うんじゃないかなと思います。
そもそも、赤木は辞めさせたのではなくて、
結果として、部員が辞めていったという流れなので、
赤木は悪気があって仲間を辞めさせたワケではないという事です。
それと、エネルギーについてですが、
ここがこのシーンの一番のポイントだと思います。
確かに、今の部活動などでは、
勝利だけを追いかけて、楽しさを忘れていたり、
勝つために指導者が選手を怒鳴りつけていたりと、
良くないバスケの現場があるのも事実です。
でも、「勝ちたい」というエネルギーは、悪いことではありません。
その「方向性」が問題なだけであって、
エネルギーがあることは悪い事ではないし、
エネルギーがなかったら、何も生み出せません。
エネルギーがある状態というのは、単純に、「熱意」みたいなものがある状態で、
その熱意を否定してしまったら、一生懸命がんばることを否定してしまったら、
冷たい人、深みがない人になってしまいます。
エネルギーをどこに向けるか?
が大事なところです。
ただ、当時の赤木からしたら、
そのエネルギーを味方に対して、
「もっと練習しろよ!上手くなれないぞ!」
という期待に変えていたので、イライラが溜まって、
結果として、部員が辞めていってしまいました。
でも、これは”当時の赤木からしたら”仕方ないことだと思います。
人には「ステージ」というものがあります。
これは経営コンサルタントの方から学んでいる分野なのですが、
思春期や反抗期のような一つの「成長段階」のことです。
人は、ステージを上げていくことで、
自分の視野を広げて器を大きくしていけます。
当時の赤木からしたら、
「勝つためには厳しさが必要だ」
「勝つためには全員が自主練をしないといけない」
としか思えないステージにいたのかもしれません。
それは、ミニバスの子が得点を取ることが大好きで、
味方のためにスクリーンをかけることに喜びを感じることがほとんどないのと同じように、
当時の赤木にとっては、視野が狭かったのかもしれません。
だから、僕は、このシーンについては、
「当時の赤木からしたら、この道しかなかった」
のだと思っています。
大事なのは、今のステージで「正しい」と思うことにエネルギーを注ぐことです。
ステージが上がっていけば、
今の価値観もまた変わっていくので、
今「正しい」と思えることも「正しくない」に変わることがありますが、
それはそれで、そのときに考えたらいいことです。
大事なのは、ステージを踏まえて乗り越えることで、
今の自分のステージで実感できることにエネルギーを注ぐことで、
次のステージに上がることができるようになります。
結果、赤木はどうなったか?というと、
魚住から大根をもらって、ステージを上げましたよね。
「お前は鰈だ。泥にまみれろよ」
というアドバイスで、自分の役割に気づき、
自分が自分がという狭い視野が広がって(ステージが上がって)、
「チームのために身体を張る」という役割に気づけました。
一年生からずっと、自分のプレーを追いかけ続けて、
チームを引っ張り、勝利を全力で目指していたからこそ、
魚住からのアドバイスをもらえるようなステージに上がることができ、
山王戦という大一番の試合中に大きく成長することができたということです。
つまり、
「過去のエネルギーは引き継がれている」
ということです。
エネルギーというのは、プラスにもマイナスにもなれるものです。
たとえば、三井寿は不良の時期を経験して、
過去に対して凄く後悔をしているので、
「後悔のエネルギー」はマイナスに思えるものですが、
実は、プラスのエネルギーに変わっています。
それが翔陽戦の終盤です。
「ここで活躍しなかったら、大バカヤロウだ」
と自分を奮い立たせていますよね。
あのシーンは、三井の後悔のエネルギーが
今に対して、プラスのエネルギーに変わった瞬間です。
という感じで、
赤木が勝利を全力で求めている姿勢は、マイナスなものなのではなくて、
その方向性次第でプラスになるし、当時の赤木からしたら仕方ないことだったと思います。
それに、結果として赤木の熱意のせいでバスケを辞めていった人たちは、
もしかしたら、本当にただ中途半端に部活をやって高校生活を終えていただけかもしれないので、
もしかしたら、赤木のおかげで本来、自分が全力で楽しめることにエネルギーを注げたかもしれません。
かと言って、今の時代に、
あそこまでの熱意をもって部員に強制したら、
たぶん、バスケを辞めてしまう人が多いだろうし、
僕としては、勝利だけを求めて厳しさだけが増していくような場を変えたいと思って、
この発信をしているので、そういった場に新しい視点をお伝えしていきたいと思っています。
僕自身、高校生の頃はまさに赤木のように、
勝利以外のものが見えずに、色々なものを見失っていましたが、
でも、当時の自分からしたらそれしか選択肢がなかったし、
それだけ一つのことに向かえたからこそ、得られるものは沢山ありました。
その経験があるからこその今の発信です。
だから、無駄な時間はないってことですね。
当時の赤木からしたら、インターネットもないし、
スマホももちろんない時代なので、価値観は雑誌などで作られていたと思いますが、
今は誰もが情報を得られるので、また状況は当時と今とでは変わってきますね。
返信の中には、
「アメリカのストリートやブラジルのようなサッカーを求めている」
という言葉がありますが、僕も今ならそういう遊び心を求めています。
この辺も話し出すと終わりがないので、
今日のところはこの辺で。
スラムダンクのシーンをあれこれ考えるのって、
面白いし、とても勉強になりますね。
とても面白い返信をありがとうございました。
またこの事については記事を書いていこうと思います。
赤木の熱意、どう思いますか?
PS.
続きの記事は、以下からどうぞ。
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