「それはパスではない」

NBA、次のシーズンがもうちょっとで始まるみたいですね。

 

去年の自粛があった分、

休みがなく始まることは僕らは嬉しいけど、

選手たちは大変だろうなぁと思いつつ、

楽しみですね来シーズンも、

 

僕が来年、楽しみにしているチームは「ナゲッツ」です。

 

ナゲッツは、賢者籠球の鶴が好きだということもあって、

僕も数年前から、ヨキッチが入って二年目くらいから見てます。

 

ヨキッチのあのパスと、

だら~ッとしているけど上手いプレー、

そして、ナゲッツのカッティングを活かしたバスケは見ていて面白いし、

自分のバスケにも活かせることが多くて勉強にもなります。

 

そんなナゲッツに、

ヨキッチに負けないくらいの

「パスの天才」が入団しました。

 

 

「カンパッソ」という選手です。

 

前回の世界大会ではアルゼンチン代表を決勝まで導いた、

ユーロリーグでも有名なPGガードです。

 

 

そんなカンパッソのパス、魅力は、

ナゲッツの公式Twitterがアップしていたハイライトを見れば、一目瞭然ですね。

 

ヨキッチとカンパッソ…

 

めちゃくちゃ楽しみです、ナゲッツ。

 

 

 

さて、動画を紹介するだけだとあれなので、

今回は「パス」について書いていこうと思います。

 

ヨキッチとカンパッソが得意なパス。

 

 

今って、パスよりも、

「ドリブルスキル」や「1対1のスキル」

「シュート」「オフェンスシステム」といったところにフォーカスが当たっていて、

YoutubeやSNSでは、そういう発信をしている人が多くいると思います。

 

そのどれも素晴らしい発信であり、

個の技術を高めることはとても重要なことですが、

 

広い目で見た時に、

「今は、パスの価値が忘れられやすい」

っていう特徴があると僕は思っています。

 

 

 

・・・という、僕自身、

 

パスの楽しさを知ったのは学生バスケを終えた後、

バスケを始めて15年近く経った時でした。

 

まさに、ドリブル、1対1、シュートばかりを気にしていて、

「パスの価値」というものに気付くのがすごく遅いバスケットマンでした。

 

 

そんな僕だからこそ、

今、パスの大切さだったり楽しさを

すごく感じています。

 

 

 

パスって、すごく大事なんです。

 

理由を箇条書きで挙げてみると・・・

 

・良いパスが良いシュートに繋がる

・良いパスが出せる選手は、周りに気を使える

・良いパスが出せる選手は、味方からも信頼される

・良いパスが出せる選手は、余裕がある

・良いパスがチームの雰囲気を良くする

・・・

などなど。

 

たくさんありますね。

 

 

じゃあ、「良いパス」ってどういうパスなのか。

 

それは、

・得点に繋がるパス

・味方が気持ちよくプレーできるパス

だと思います。

 

 

パスって、「メッセージ」があります。

 

ドリブルもシュートも、

自分一人で高めていけるけど、

パスだけは、チームメイトがいないと上手くなりません。

当たり前ですけどね。でも大事なことです。

 

パスが上手くない人はどういう人かと言うと、

パスにエゴがある人です。

 

例えば、(昔の僕)

「ああ、1対1したいなぁ。あ、でも攻めれないからパス出そう」

というのは、自分のエゴが入ってますよね。

 

そういうのって、やっぱり伝わるのです。

 

ボールに伝わって、チームメイトに伝わる。

 

「なんか、リズムの悪いシュート」

になったりします。

 

 

逆に、良いパスは、

「あ、このパス、打っていいパスだ」

ってのがわかったりします。

 

そういうシュートはリズムがいいから入りやすいですよね。

外れたとしても気持ちがいいから、チームのリズムは崩れません。

 

「パスには性格があられる」

「パスに愛情がないなぁ(笑)」

なんて言葉を聞いたことがありますが、

 

いや、まさにその通りだなって今なら思います。

 

 

ドリブルやシュートには「自分の自信や努力」が表れると僕は思いますが、

パスは、自分の性格が表れるなと。

 

 

パスに含まれるメッセージとしては、

「ミートして」とか、

「走って」とか、

そういうのもありますよね。

 

良くないパスは、自分のエゴが含まれているパス。

 

それをもっと具体的に言えば、

「自分がシュートもドリブルもできない状況で出すパス」

です。

 

それは、もはやパスと呼べません。

 

 

実は、これ、僕が今学んでいる

Princeton Offenseを作ったプリンストン大学のPete Carrilさんの言葉です。

 

Princeton Offenseっていうのは、

ボールと人が動き回るオフェンスなのですが、

コーチのCarrilさんが重視していたのが「パス」でした。

 

Carrilさんは、こう言っています。

「パスは、近代のバスケットボールゲームが失ってしまった芸術ではないだろうか。私は、ハイスクールのバスケットボールクリニックやキャンプに呼ばれた際には、パスの価値を強調するために熱心に指導する。時に私を失望させるのは、75%ものハイスクールの選手がオープン選手にパスを送らないことである。これは、傲慢さの表れである。身動きができなくなった時だけ、パスをする選手が多すぎる。それはパスではない。」

(引用:ピート・キャリル(2011)『賢者は強者に勝る』p.31)

 

これは、今から20年近く前にキャリルさんが言っていた言葉です。

 

「これって、今でも当てはまることだなぁ」

と僕は思います。

 

先ほども言ったように、

今あるドリブルのスキルなども素晴らしいものです。

(実際、僕もドリブルは大好きだし、1対1も高めたいと思ってます)

 

でも、やっぱりバスケはチームスポーツ。

 

どんなに素晴らしい技術をもっていても、

5対5という状況の中で使えなかったら意味がないし、

チームメイトと上手くコミュニケーションを取れないと

自分の持っている力も発揮できません。

 

 

そして、良いパスはチームメイトも上手くしますね。

 

「あ、あんなパスしてもいいんだ」

「自分もやってみたいな」

っていう気持ちになります。

 

シュートを決めた選手は、

「ナイスパス!!」って指差したくなりますしね。

 

 

このカンパッソみたいなパスって、

アルゼンチンのジノビリから確実に影響を受けてるはずですよね。

 

遠く離れた僕らでも

「アルゼンチン=ジノビリ」というイメージなんだから、

小さい頃のカンパッソが見て影響を受けないわけないですし、

一緒に代表でプレーしてますしね。

 

身近にそういうパサーがいるというのは、本当に大きなことですね。

 

そもそも、こういうパスって、

ミスになる可能性もあるわけだし、

「遊び心」がないとできません。

 

選手にはもちろん、コーチにも、です。

 

コーチが、

「そんなパスするな!!」

って怒っていたら、

 

そもそも、そんなパスすらチャレンジできない雰囲気のある場だったら、

きっと、いや、確実にこんなパスが出せるようにはならないんじゃないかなと思います。

 

良いプレーをしようとするよりも、

ミスを減らそうとすることが勝ちに繋がるというのも事実だし、

同じパスミスを何度も繰り返したり、何も考えずにギャンブル性のあるパスを出したり、

基礎や信頼がないうちから難しいことをやろうとしたりするのは、

それはもちろん違いますけど、

 

でも、そもそも、

遊び心がある場じゃないと、

こんな発想は出てこないですよね。

 

ジノビリもNBAに入団した当初は、ポポビッチに怒られたそうです。

※そのエピソードについては追伸の記事をお読みください!

 

「もう二度と、あのパスをするな!」

と。

 

でも、ジノビリは自分を貫き、

自分の個性、価値を世界に見せました。

 

絶対的な自信と、

それを成功せるための努力、

信念があってこそですよね。

 

 

 

カンパッソが、どんなプレーを見せてくれるのか、

来シーズンが本当に楽しみです。

 

 

普段、どんなパスを出していますか?

 

そのパスには、どんなメッセージがありますか?

 

ちょっとそのことを考えてみてください。

 

そして、パスの大切さを実感したり、

「こういうパスが回るバスケをしてみたい!」

っていう気持ちがあれば、チームメイトにも是非シェアしてあげてください。

やっぱり、バスケはチームスポーツですからね。

 

 

僕もまだまだ下手くそなので、

良いパサーを目指したいと思います!

 

昔はほんと、パスなんて考えたこともなかったなぁ。

 

 

 

PS.

カンパッソのハイライトはこちらがお勧めです。

去年の世界大会での得点とアシスト集。1つの大会で、1試合で、これだけ多くのプレーに関わっているというのは本当にカッコいいですね。チームをリードする、ゲームを支配するっていう風に表現されるような選手はいつでも憧れです。来年のナゲッツ、本当に楽しみ。

 

PS.

NBAに入団当初、ポポビッチに怒られていたというジノビリのエピソードはこちら。素晴らしい記事なので、ぜひ読んでみてください!

 

PS.

この記事を書いた後に、こんなツイートがありました。ジェイソンキッドやナッシュ、ビンスカーターを真似していたんですね。ナッシュは僕も大好きな選手、キッドも。カーターも。今はカンパッソに影響を受ける子供たちが多いでしょうね!


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