この前、師匠であり先輩の武学籠球の慎さんが通信講座の撮影をするということで、お手伝いをしてきました。
その日は1対1をする予定ではなかったんですが、
撮影をしていたら、逆サイドのコートに撮影仲間の後輩がたまたまバスケをしに来たので、
撮影後に一緒に1対1と2対2をしようということになりました。
最近、自分の中でシュートフォームが固まりつつあります。
一番自分の中で苦手意識があるのがシュートなので、
学生の頃からずっとシュート練習をめちゃくちゃしてきました。
上半身を鍛えていたのも「シュートの飛距離を伸ばすため」だったし、
スクワットをしていたのは「シュートを安定させるため」でした。
僕はもともとドリブルが好きで、
NBA選手のクロスオーバー(特にウェイド)に憧れてバスケを始めたみたいなところがあるので、
自分の中で「シュートが上手くなれば、もっとバスケが面白くできるだろうなぁ」っていう気持ちがありました。
なので、ひたすら筋トレとシューティングをする毎日。
そこに現れたのが武学籠球の慎さん。
慎さんは、大学の頃は「古武術」を学んでいて、
「身体の使い方」というのをずっと研究している人でした。
「シュートの飛距離を伸ばすのに筋トレは必ずしも必要ではない」
そんなことを慎さんは体現していて、
「そんなことがあるのかぁ~ただ打てばいいわけじゃないのか」
ってことに、ようやくその辺りで気づいて、
それからはずっとシュートフォームを気にしていました。
気にしすぎると打てなくなるなんてこともありますが、
でも、今のままだと結局何も変化がないから、退化するか進化するかわからないけど、
今のままが嫌だから変えてみようということで変える道に進みました。
それからずっと試行錯誤していましたが、
最近、ようやく大きな壁を乗り越えた気がします。
今さら感はありますが、
「利き目とボールの位置を合わせる」
ということに関して勘違いしていて、
その勘違いが解けたら、だいぶシュートが変わりました。
僕は「右手」「左目」が利き腕・利き目なので、
ボールは「正面」もしくは「左目」に構えるといいです。
そこを通ると、利き目で考えると真っ直ぐ飛びやすくなります。
で、左目側から打っていたんですが、
それを最近、正面、真ん中からにしました。
変えたのはこれだけですが、だいぶ変わりました。
その時、周りの人の目が助けになって、
自分の中では「ここが真ん中」と思っていたところで構えてみたら、
慎さんから「そこは真ん中じゃないぞ。真ん中はここだね」と調整してもらいました。
自分の意識と実際の身体の動きがズレていたということですね。
これは武井壮さんが「パーフェクトボディコントロール理論」で述べていることで、
慎さんも同じように、「日常的に自分の意識と身体の動きがズレていたら、スポーツみたいな複雑な動きをしたら、そのズレは更に大きくなる」
ということだなぁと知ってはいたものの、今回また新しい気付きがありました。
それで変化したシュートがこんな感じです。
ただのシュートなんですけど、
自分の中ではだいぶ変化がありました。
今まで以上に、少ない力で打てるようになったし、
今まで自分の中でシュートを打つときに身体の動きが詰まっている感覚があったところがなくなって、
今までよりもスムーズに打てるようになった感覚があります。
少なくとも、週に3回以上筋トレをしまくっていたけど旧スリーポイントラインからショートばかりだった高校生の頃と比べたら、
自分の中では本当に大きく変わったと思えますし、とりあえず打点を低くして胸ら辺から打っていた頃とはまた違う変化があります。
僕のバスケ観は結構単純で、
シュートのもやもやが少しでも晴れると、
それだけで何していてもハッピーになります。笑
と言って、「よっしゃー!」と喜びすぎてエネルギーを放出すると、
そのあとまた「あれ?またおかしくなったぞ」という謎にはまってエネルギーが下がってしまうという。
・・・そんな失敗を何度か経験しているので、
「シュートフォームに完成はなくて、ずっと試行錯誤するもの」
だと自分に言い聞かせて、また「より良い」を探していこうと思います。
次に、腕払いです。
なんだか動画だけ載せたらいい話な気がしてきましたが、
自分の過去と比べると大きな変化があるなと思えるので書いていきます。
「腕払い」というのはハーデンがやっているやつです。
ドライブをした時、相手のディフェンスはたいてい腕を使って抑えてきます。ディフェンスは腕を接触させることで、無意識に相手がどこに行きたいかを感じ取っています。もしくは、単純に、腕の力を使って動きを抑えようとしてきます。腕払いとは、その腕を払うことで相手に接点を創らせないというもの。
腕払いはこんな感じです。
動画だけを見たら、何でもないただのドライブだし、
もしかしたら、ディフェンスがやる気ないように見えるかもしれません。
でも、ディフェンスの手を抜いていないです。
この日、初対面の撮影仲間の後輩さんだったし、僕が情報発信をしていることも伝えていないので、
「この人は腕を払ってくる」ということを事前に知っているわけでもないので、普通の1対1です。
腕を払われると、ほんと、お手上げになります。
これは僕は師匠の慎さんと1対1をしてきた中で、何度も何度もやれてきているのでわかりますが、
本当に「あれ?なんで抜かれたんだろう?自分ってこんなにディフェンスできなかったっけ?」みたいになります。
だから、本当に不思議な感覚になります。
そんな感覚的なことは、なかなか伝わらなくて、動画だけを見ると「やる気ないだけじゃん」って思われるのが腕払いやウォータードライブ。
でも、これをすると簡単に相手が抜けるし、自分の力もほとんど使わなくていいし、特別にドリブルスキルがないとできないってものでもありません。
もちろん、必要な練習(稽古)というものはあって、
「腕を払おう」という風に意識しているとなかなかできないし(それは相手が無意識に「こいつ何かをやろうとしてるぞ」と感じて対応してくるため。または自分の意識が「腕払い」ばかりに向いてしまって身体が硬くなるため)、
力があればできるかとか、知っていたらできるかというものでもありません。
腕を払う時に相手の腕のどの部分を狙っていけばいいのかというのもあります。
そんな深さは慎さんが講座で体系化させているので、興味があれば是非、武学籠球の講座に参加してみてください。
ということで、
そんな腕払いは、抜いている僕も「いつの間にかディフェンスが視界からいなくなった」みたいな感覚だし、
やられた方も腕払いを知らなかったら「なんで抜かれたのかわからない」という不思議な感覚になるし、
動画だけを見ると「ディフェンスやる気ないだけじゃん」で終わってしまうことがあるものです。
なんかもっとディフェンスがゴリゴリで「止めてやるぞ!!」っていうギラギラ感があって、
オフェンスもバッシュの音がキュッキュッって鳴って、カッコいいクロスオーバーで抜き去る!!
・・・って方が見ていてスッキリしますよね。
昔の僕がこの動画をSNSとかで見たら、何も感じないだろうし、
「腕払い」なんてものをやろうとすら思わないだろうなと思います。
ずっとドリブル練習をしていたので。
こんな風に、力を使わず、達成感がないようなドライブなんてありえない。
そんな風に抜いても面白くないし、ただディフェンスがやる気ないだけで参考にならない。
って思うでしょうね、昔の僕なら。
でも、そんな僕だからこそ、
今、こういうバスケをしていると、
「凄い面白い世界があるもんだなぁ」
って思えます。
だって、ドリブルを何百時間もやってきて、筋トレをめちゃくちゃしてきたのに、
考え方を変えて、自分の意識や動きを変えたら、大きな力を使わずに抜けてしまうんです。
高校生の僕からしたら驚愕ってやつですね。
かと言って、これが秘伝なわけでもないです。
誰でもちゃんと学んで練習(稽古)をしたらできるし、
これができたらドライブが全部成功するかっていうと、もちろんそんなことはありません。
そして、この更に上の段階もあります。
それは慎さんのツイートの通り。
■腕払いされちゃった!どうしよう!?
— 武学籠球 (@TTKRCJ) 2019年1月31日
ではこうなったときDFはどうするか?
常に接触点を持てるよう、腕の感覚だけでなく、他の触覚も鍛える
もしくは腕をさらににゅるにゅる相手に接触させ続ける https://t.co/0IAe7F4dnK
・・・伝わりますかね。
いや、これは伝わらないですよね。
でもやられる側の僕からすると「にゅるにゅる」っていう表現がドンピシャなんです。
これは是非、慎さんと会って体験してみてください。
腕払いをしたら抜ける
→腕払いをしても抜けない
→「にゅるにゅる」を攻略しないといけない
という感じで更に、勝負のレベルが上がっていきます。
だから、バスケは面白いですね。
それで、もう一つは「膝抜き」です。
膝抜きというのは古武術の用語で、簡単に言うと「忍者みたいに相手に動きを悟られないように動くための身体動作」みたいなものです。忍者とか見たことがないですが、そろ~りと動いたり、さささっと行動しているイメージありませんか?まぁそんな感じです(笑)
膝抜きの逆は、踏ん張った動きです。
「踏んばる」とは、力を下方向に溜めることです。そして、その溜まったエネルギーを「蹴る」ことで上方向を転換していくことで瞬間的な動きを出していきます。イメージ的にはフットワークの時にやるサイドキックみたいな感じです。
それで、膝抜きドライブというのは、
踏ん張らずフロアを蹴らずにドライブを開始するというもの。
動画で表すと、こんな感じです。
これもただのドライブです。笑
ただ蹴らずに進んでいるドライブです。
蹴っていないので、サイドキックみたいに疲れることもないし、
筋力がないとできないとかドリブルスキルがないとできないものでもありません。
画像で見ていくと、
右足で蹴って進んでいるのではなくて、そのまま足を出しているのがわかるかなと思います。踏ん張ったり蹴ろうとすると反応の良い相手だと対応されてしまいます。瞬発力とかドリブルスキルでズレを作らないとなかなか抜けなかったりします。膝抜きドライブのイメージ的は「ただ進むだけ」「身体が倒れる力を利用して前に進む」「踵でフロアを蹴る」みたいな感じです。これもなかなか伝わらない部分がありますが、言葉にするとこんな感じです。
NBAで言うと、ハーデンがやります。
◆ハーデン 蹴らずにドライブ
— NBAで凄いのはダンクだけ⁉︎ (@nbanotdankudake) 2018年5月22日
後ろ足に体重を乗せずに、しれ〜〜っとドライブ。「抜くぞー!」という気合いや雰囲気を見せたら、相手は無意識に身体が反応して対応しやすくなる。「気配を消す」なんて表現がぴったりなドライブ。タイミングをずらす。
pic.twitter.com/zrxgGfERjo
ハーデンは膝抜きを知っていることはないと思いますし、考えてやっていることではないと思いますが、
NBAという世界で膝抜きドライブを当てはめなら、ハーデンのこのようなドライブになるということです。
当然、「古武術の本に書かれている膝抜き」と「慎さんの膝抜き」と「ハーデンの膝抜き」は似ていますが違います。なので容易に「ああ、あの膝抜きね」という風に捉えるのは長い目で見たら大きな時間のロスに繋がるかもしれません。それに「慎さんの膝抜き」と「僕の膝抜き」も違います。身体の構造も違うし、意識も違うし、考え方も違います。だから、誰かをそっくりそのまま真似するのも時間のロス。というか、本当に重要なことではない、本質ではないということですね。僕はそんな遠回りを経験してきたので(慎さんからは「遠回りの天才」と言われるほどです笑)、もし身に付けたい場合は、オリジナルの慎さんの発信をまずは受け取って、自分の身体と対話しながら試行錯誤していくと良いと思います。
腕払いも、膝抜きも、ウォーターも、
「達成感」みたいなものはありません。
力を使わずに抜けるし、練習(稽古)は地味だし、見ていても「めちゃくちゃ凄い!」とは見えないし、やられた側も不思議な気持ちになります。そんな達成感のないものなんですが、実はそういったものにこそ、重要なことが隠されていたりするのが世の中の原理原則みたいなものです。イチローの言葉だって、言葉だけを切り取ったらめちゃくちゃシンプルですよね。イチローは、
調子が悪い時こそ、
全力でプレーすることが大事。
と言っていたります。言葉だけなら小学生でも理解できます。それくらいシンプルです。でも、そんな言葉にはイチローの膨大な経験が含まれていて「深さ」がありますよね。腕払いとか力を使わずに抜くとか、こういう世界(武術など)はイチローの言葉と似ている部分があります。「本当に大切なことは目に見えないことだ」と有名な本の主人公が言いましたが、スポーツで当てはまることは沢山あります。もちろん、腕払いとかそういうのはバスケの一つの考え方なだけで、これが全てなわけではありません。ただ、こういう世界もあるというだけです。
昔の僕なら、この記事を読んでこう思うでしょう。
「なんで、ただのドライブとシュートを載せるだけで、こんな長い文章を書いているんだ。別に上手いわけでもないじゃん」
その頃の僕は、一生懸命ドリブル練習を何時間もしているし、毎週欠かさず筋トレをしている。NBA選手のプレーを何度も見て真似をしている。ただただ上手くなりたいという一心で体育館が空いていたら必ず練習をしていた。だから、そう思っても仕方ないし、そう思うことが悪いわけでもない。ただ、こういう世界もあるということだけは知っておくといいかもね。もしかしたら、大きな壁に当たった時、「もうバスケはいいや」って思えるような勝てない相手に出会った時、努力をいくらしても上手くなれないと諦めかけた時、「他にも選択肢がある」ということが大きな助けになるかもしれない。だから、そう思える時が来たら学んでみてね。・・・と今の僕が過去に戻るなら言っていると思います。
こういう発信をしていると、昔はよく「発信しているからには自分ができないといけない」みたいな意識に囚われて、プレーする時とかに自分にプレッシャーを無駄にかけていたりしてました。「上手くないといけない」みたいな感じで。でも、上手いも下手も比べる人によって変わるし、1対1をしなくてもシュートを打たなくても「パス」や「バックカット」で貢献できるということを賢者籠球の鶴から学んだし、誰かを教えることが楽しいことも選手から教わっているし、何よりも変に自分にプレッシャーをかけている時間がもったいない。上手いも下手も、ただ「自分史上最高」を目指せたらそれでいいし、ただ楽しければそれでいい。…ということが知識や言葉として理解したというよりも、最近ようやく腑に落ちてきました。知識を知っているのと体感しているのは別物ですね。
なので、過去の自分よりは成長したかなと思えるところを1対1をたまたましたので、今回紹介してみました。ただ、途中でも話した通り、これが全てではないし、筋トレも練習量を増やすことも踏ん張るドライブも全力でバスケをすることも、全部「バスケットボール」の一部。今回話したことも、そのうちの一つ。ただ、自分が楽しいと思えるものを探求していけばそれでよし!ということで、この辺で終わろうと思います。
今回話したことは、言葉にしてもなかなか伝わりにくい部分で、ただ動画を載せて終わりでも良かったんですが、もし過去の自分が見ていたらそれだと不満だろうなぁと思って書いてみました。あと、やっぱり情報発信が面白いから書きたいように書かせてもらいました。それにしても、この時の1対1は全く準備が整っていないというか、アップとかもないし、ゆる~~くやっているだけなんですが、腕払いとかが意識せずに出てきました。これがいわゆる「平常心」っていうやつなのかななんて思っています。平常心も達成感みたいあものはありませんよね。
あ、僕はウエストブルックの瞬発力も、ザックラビーンのダンクも、レブロンの鍛え上げられた筋肉も、パティミルズの全力ディフェンスも、ジボドーの常に選手を鼓舞する指導も、ヨキッチみたいなゆる~い感じも、全部好きです。まだまだまだまだなところばかりですが、これからも自分史上最高を目指して楽しんでいこうと思います。また気分で動画載せるかもしれません。
フル動画はこちら。
[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=4oHSoYuObOg” /]
PS.
シュート、ドライブ、ディフェンスは武学籠球の慎さんから学んでいます。実際に自分の身体で実践しないとわからないこと、体験しないとわからないこと、対峙しないとわからないものがあるので、是非、講座を通して学んで実践して試行錯誤してみてください。武の世界というのはスポーツでは馴染みがないかもしれませんが、こういう目に見えないものを追いかけたり達成感をあまり感じられない本質と言われるものに価値を見出すのは日本人は得意です。日本という国はそういう価値観があって、漫画とかでも「気」とか「エネルギー」というのは触れられていますよね。ナルトとかワンピースとか。武の世界はそういう「気」みたいな概念も出てきますが、それらはただの空想ではなくて実際に身体で実証できるものです。日本という国がどんな特徴があるのか?みたいな話は新しい企画でやっていくので、またブログでも連絡していきます。お楽しみに。
慎さんのブログはコチラから。
最後に講座を載せると、講座を紹介するために書いたみたいに思われる人がいるかもしれませんが、ただ流れで書いただけです。慎さんの講座は時代と共に変化していく最先端の知識とか短期的な成果が出るテクニックとかそういうものではありません。一般的なDVD販売とか「〇〇から学んだスキル」とかでもありません。それは案内文を読めばわかると思います。案内文とか今回のこの記事を読んでピンと来るものがあれば、それはタイミングが合っているということです。もし「よくわからない」ということだったら、いつかタイミングが合った時に足を踏み入れてみたら面白いんじゃないかなと思います。力では到達できない世界、面白い世界ですよ。
それでは、新企画の方を進めていきます!
PS.
今回たまたま出会った撮影仲間のバスケットマンはシューターで素晴らしいシュートでした。またどこかで会うことがあれば、もう少し話をしたりしていきたいなと思っています。あと、腕払いのところで「ディフェンスがやる気がないように見えるかもしれない」と言いましたが、あれは僕も慎さんと1対1をするとそう見られてしまって仕方ない状態になっているので、腕払いとかウォーターは「そういうもの」ということです。2対2もやりましたが、やっぱり1対1だけでバスケの上手さは決まらないし、スクリーンとかも面白いですね。バスケは面白いという当たり前すぎることを再確認した一日でした。
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