May 2, 2014; Dallas, TX, USA; Dallas Mavericks forward Dirk Nowitzki (41) shoots over San Antonio Spurs guard Tony Parker (right) during the game against the San Antonio Spurs in game six of the first round of the 2014 NBA Playoffs at American Airlines Center. Dallas won 113-111. Mandatory Credit: Kevin Jairaj-USA TODAY Sports

最近、シュートについて大きな発見をして感動しています。

目線についてなのですが、一年ほど前にも目線についての記事は書いていました。その時は、空間を見て打つのが良い感覚で続けていたのですが、今はリングを見続けるシュートを打っていました。ですが、昨日、また空間を見ながら打つことの良さを再認識したので、これからは空間を見ながらシュートを打ちたいと思います。

 

その変化が起きたのは、チームメイトの話を聞いてからでした。

僕のチームメイトには、39歳でも毎日自分史上最高を更新しようと自分の身体と対話をしているバスケットマンがいます。マッちゃんという方です。マッちゃんは、39歳ですが、シュートがとても安定しています。ポストからのフェーダ―ウェイも得意です。

 

昨日、シューティングを一緒にしました。

マッちゃんは、シュートを打つ時に、目線が上の方向に向かいます。マッちゃんがそうなっていることは知っていたのですが、改めて理由を聞いて見ると、面白いことがわかりました。その話を聞いていると、もう一人のチームメイトs.kさんも話に入ってきました。s.kさんはリングを見続ける派のバスケットマン。議論が始まります。※マッちゃんの目線の使い方は、Nowitzkiと同じような使い方です。

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マッちゃん

「どこを見ているとか、あまり考えないけど、リングは見ていないことは確かだね。空間をぼんやりと見ている感じかな。」

 

s.kさん

「え?意味がわからないんですけど。笑」

 

「とりあえず、試してみたら何かわかるかも!」

 

(s.kさん、試す)

「いやいや、意味がわからないですよ!笑 そもそも、狙うべきゴールはリングなのに、空間を見てたら狙いが定められないんじゃないですか?」

 

マッちゃん

「なるほどね。僕の感覚からしたら、”狙いを定めるからこそ、空間を見る”って感じかな。だって、シュートが入るかどうかは、ボールの軌道の良し悪しで決まるわけで、リングの大きさが変わるわけでも、動くわけでも無いからね。過程を重視するか、結果を重視するかって感じかな。」

 

s.kさん

「な、なるほど…!」

 

マッちゃん

「もちろん、これは僕の感覚だから万人に合っているかはわからないよ!ただ、もしも、遊びのシュート勝負として、できるだけ高いアーチでシュートを入れる勝負をしたら、どこを見る?たぶん、ボールの軌道を追うことになると思うんだけど…。」

 

(s.kさんと僕が、その場で高いアーチでシュートを打つ)

マッちゃんに言われたからなのか、それとも自然と見ていたのかわからないけど、その時はボールの軌道を追って今した。空中にボールがある時間が長いからとも考えられるのですが、イメージとして、スポッとボールがリングに吸い込まれるまでの軌道を思い描いていたように感じます。

 

(「確かに、そうかもしれないな。」)

 

 

マッちゃん

「僕の感覚としたら、リングを見た瞬間に『理想の軌道(シュートが入る軌道)』が線として見えるから、そこに”ボールを乗せる”感覚なんだよね。」

 

s.kさん&僕

「…え!?笑 リングに対して打つって感じじゃないんですか?」

 

マッちゃん

「僕の感覚としては、リングに打つっていう感じはないかな。リングよりも前に、自分の目の前の空間に、小さなリングが見える感じだね。だから、シュートを打った瞬間に、その小さなリングにボールが入るかどうかで、実際のシュートが入るかどうかがすぐにわかるよ。」

 

 

…といって、マッちゃんはテクテクとコートを歩き始めました。

 

そして、こう言うのです。

 

マッちゃん

「僕の場合は、どこを歩いていても、理想の軌道が線として見えるよ。だって、ほらあるじゃんここに!(『いや、僕らは見えないです。笑』)バスケのテレビゲームであるような線かな。だから、どこにいたとしても、リングを見た瞬間に線が見えて、その線にボールを乗せるように打つようにしている。」

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昔のNBA LIVEでは、フリースローの時に「線」が出てきます。光る線が左右に動いているので、その線をリングに対して真っ直ぐになるようなタイミングでボタンを押すことで、シュートが真っ直ぐ飛びました。

 

マッちゃんが言っている

「理想の軌道」が線として見える

というのは、このようなイメージです。

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このような線がどこにいても見えるらしいです。

 

「じゃあ、シュートを打った時は、どんなことが見えるんですか?リングだけを見ていると、シュートが入ったかどうかくらいしか見えないんですが。」

 

マッちゃん

「意識したことはなかったけど、ちょっと今打ってみる。」

 

(シュートを打ち終わり)

「ボールがどのラインを通っているか、あとは、自分のフォロースルーの手の位置がわかるかな。その指を見ているわけではないけど、いつも同じ位置にフォロースルーの手が残るように自然となるかな。僕の感覚としては、だからわからないよ!笑」

 

 

 

・・・

ということで、自分自身色々試してみました。今まではリングを見続けてシュートを打っていて、一年ほど前に一度空間を見るようにしましたが、結局リングを見続けていました。その二つを体験したので、両方の感覚がわかるようになってきました。(僕の身体にとっては、)リングを見続けるよりも、空間を見た方が良さそうです。

 

箇条書きで現時点の感覚を言葉にしてみます。

○空間を見る(理想の軌道を線として思い描く)

  • シュートの結果ではなくて、過程に意識を向けられる
  • リリースする指先まで丁寧に打つことができる
  • フォロースルーの手の位置を毎回確認できる
  • シュートのアーチの高さ、回転数などを確認できる

 

 

リングを見続けている時と、空間を見ている時の一番の差は、シュートの過程に意識が向いているかどうか、ということです。実際に意識化に上ってこない場合がありますが、空間を見て打っている人に質問をしたら、「そう聞かれると、フォロースルーの手の位置とかボールのアーチが見れているな。」という答えが返ってきます。意識をしているかどうかはともかく、空間を見ている人は、シュートの過程をより丁寧に打てているのだと思います。

 

リングを見続けて打つ場合は、精神論でシュートを打つやすくなるのではないかなと思います。

要するに、リングだけを見続けて打っていると、「シュートが入ったか、外れたか」しかわかりません。見えている情報量が少ないので、シュートを外した時に「シュートフォームがいつもと違う」という感覚があっても、それを正しく認識できない感じがあります。だから、シュートを打つ時、「自分なら入るはずだ!」「これだけ練習してきたんだから!」というような精神論に頼ってしまっていたように思います。

 

マッちゃんが言っているように、

  • 過程さえしっかりしていれば、結果は後からついてくる

というのは、確かにそうだなぁと思わされました。

 

マッちゃんは39歳ですが、常に自分の身体と対話をして、より良いシュートを探っています。自分の身体を理解しているからこそ、これだけ言葉として説明できるということで、どんな緊迫している場面であっても、技術力が左右されることはなく、スランプに陥ることもありません。自分のそんな生き生きとした39歳になりたいなと思います。マッちゃんに感謝です!

 

 

 

PS.

最後にマッちゃんが言っていたのは、「ただ、目線を変えたとしても、そのボールを飛ばす前の身体の使い方が悪かったら良いシュートが打てないから、結局は身体を思い通りに動かす、より良いシュートフォームを身につけることが一番大事なんだろうね。」ということでした。

目線が全てではないし、全ての人に今回の話が当てはまるわけではありません。それは身近な指導者や参考書、クリニックでも同じことです。「こんな実績がある人がいっているんだから、正しいはずだ!」と思いがちですが、本当に正しいかどうかを決めるのは、自分自身の身体です。自分の身体に合っているかどうかを試行錯誤することがスポーツの上達に繋がります。鵜呑みは良くないし、一つの選択肢を絶対的な答えとして指導することは良くないです。身体と対話をして…。

 

「物は試し」ということで、とりあえず試してみていかがでしょうか。

試合前とかそういう状況ではシュートフォームを変えると良くないと思うので、その辺は臨機応変に。空間やボールの軌道を見るようにすると最初は気持ち悪い感覚になりますが(笑)、もしかしたら自分の身体に合っているかもしれません。また、身近にいるバスケ仲間のシュートを観察して、時には質問をしてみてください。

 

昔の僕なら、目線について空間を見ているシュートが上手いバスケットマンがいたとしても「へぇ、天性の感覚で打ってるんだな。やっぱセンスがある人は違うな!笑」と思って、じゃあ自分は練習量で勝負だ!となっていたと思います。でも、それじゃあ面白くないなと最近は思います。もしそれが天性の才能だけで片付けられたら、生まれた瞬間に勝負が決まっちゃいます。天性の才能や育った環境の差など色々な不平等があるのが当然ですが、それを踏まえて、如何に同じルールの元「勝利」を勝ち取れるか、自分史上最高を更新していけるかがスポーツの面白いところだと思います!上手い人には上手いなりの理由があって、真似できることはあるはず。

 

変化させていく楽しさは格別です。

また経過報告していきます!

 

 

 

PS.

最後に、NBA選手の参考画像を載せておきます。

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LOS ANGELES, CA - DECEMBER 17:  J.J. Redick #4 of the Los Angeles Clippers takes a shot against the Indiana Pacers on December 9, 2014 at STAPLES Center in Los Angeles, California. NOTE TO USER: User expressly acknowledges and agrees that, by downloading and/or using this Photograph, user is consenting to the terms and conditions of the Getty Images License Agreement. Mandatory Copyright Notice: Copyright 2014 NBAE (Photo by Andrew D. Bernstein/NBAE via Getty Images)

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ba6561c8c216b47ffdbc8aacf186e802NBA: Los Angeles Clippers at Golden State Warriors

○リングを見続けているNBA選手

  • Kobe Bryant
  • Kevin Durant
  • Chris Paul
  • Kyrie Irving
  • JJ Redick
  • Carmelo Anthony

○空間・ボールの軌道を見ているNBA選手

  • Stephen Curry
  • Micheal Jordan
  • Ray Allen
  • Klay Thompson
  • Dirk Nowitzki
  • LeBron James
  • James Harden

投稿者 原田毅

33歳。大学一年生の冬にNBA選手のスペーシングの凄さに気づいてから、NBAから戦術やバスケの本質を学ぶようになりました。その後、NBAの凄さを学ぶ中で「日本」について知らない自分がいることに気づき、武術の世界を学ぶようになり、今は武術をバスケに応用する考え方を学んでいます。現在もプレイヤーとしてプレーを続けながら、ネット上では通信講座などを運営しています。

「リングを見続ける派vs.空間を見る派~シュート時の目線③~」に7件のコメントがあります
  1. 既に引退した身ですが、元アメフトでバスケ素人の者です
    最近、NBAにハマってバスケ関連の記事を漁っていたのですが、ふと気になったのでコメントを残します

    アメフトではずっとQBをやっていて、大学の体育でバスケをやったところ3ptがフリーの練習で7割ほど入っていて、素人なら良い方かなくらいに思っていました

    当時、アメフトのパスで言うところのフライを投げる感覚でボールを放っていました
    人差し指からターゲットまでを糸で繋げて、高く上げてターゲットに上から落とす感覚です
    頭頂部の辺りからボールが抜けるイメージで、リングを見て空間は見ない
    頭の中にボールの軌道はありますが、その軌道は視界には入れません
    アメフトの場合、ターゲットが動くし敵もいるのでターゲットを見続けて、FPSで自分の背後から見ているような感じで頭の中で軌道をイメージします
    違うスポーツの感覚が何かの役に立つこともあるので、誰かの為に書き残しておきます

    1. コメントありがとうございます。
      とても嬉しいです!

      「当時、アメフトのパスで言うところのフライを投げる感覚でボールを放っていました
      人差し指からターゲットまでを糸で繋げて、高く上げてターゲットに上から落とす感覚です」
      という表現、これは実際に体験された方の言葉だからこそ価値があると感じます。凄く有難いです。

      別のスポーツでも「的に向かって何かを投げる」という動きは一緒なので、とても参考になります。

      やはり先のイメージを創ってその軌道に乗せる感じだとイメージ通り進みやすいんですね。実際にバスケのシュートもとても似ています。

      後世に残るような素晴らしいコメント、感謝いたします。
      別競技にもかかわらず、記事を読んでいただき有難うございます!

  2. 初めてコメントします。いろんな記事読ませていただいてます。
    私はダーツのプロを目指している者ですが、シュート時の目線・見方の問題はゴルフや野球においてよく語られる「4スタンス理論」が関わると考えています。
    ダーツ界ではAタイプの選手は軌道をイメージして空間を見る、Bタイプの選手はターゲットだけを凝視しそこめがけて投げる、というのが常識です。
    バスケットのシュートにも100パーセントではないにしろ通ずる考え方だと思われます。
    参考になれば幸いです。

    1. こんにちは。素晴らしいコメントをありがとうございます。

      ダーツをされている方のご意見を伺ったことがなく、
      バスケ以外の方の視点から学べることは沢山あると思っているので、
      とても新鮮で、是非多くの人にもシェアさせていただきたいです。

      4スタンス理論はバスケでも応用している人がいます。

      Aタイプは爪先重心、Bタイプは踵重心と認識していますが、
      どうしてそれが目線の使い方に影響するのでしょうか?

      何か科学的?な証拠があるのか、それとも感覚的にそれが良いのか、
      どちらなんでしょうか?

      バスケではそういった判別はしたことがなかったので、とても斬新です!

      バスケの場合、僕が実践していることで考えると、
      この記事で書いた通り、受け取れる情報量に差があり、
      リングを見続ける派だと”結果”だけを気にしてしまいますが、
      空間を見る派だと”過程”を気にして打つことになるのでより丁寧に打てる気がしています。

      それと最近思うのは、脳の処理能力の問題です。

      顕在意識よりも潜在意識の方が処理できる情報量(bit数)が圧倒的に多く(100倍くらいのイメージ)、
      その潜在意識で、どこに打てばまっすぐ飛ぶのか、どの高さで打てば入るのかを瞬時に判断して、
      感覚的に空間にボールを打つことで、自然と入る軌道が身体にしみついているように思います。

      このあたりは科学のみを信じている方からすると、
      「そんなのデタラメダ!」と思われてしまうのかもしれませんが、
      実際に、自分の身体で試してみると、そういうような感覚があります。

      空間を見て打つ場合は、最初の一瞬しかリングを見ません。

      でも、なぜか確率は良く、シュートの柔らかさも良い感じになります。

      実際、僕が会ったことのあるプロ選手でシュートがめちゃくちゃ上手い人は、
      目線を上に向けていて、話を聞いて見ると、「何も考えていない」と口では言うのですが、
      僕が細かい質問をしていくと、「あー確かにそう言われれば。」と過程に注目しているという答えが返ってきます。

      顕在意識では何も考えていないといっても、
      じつは潜在意識では物凄い情報を処理していて、
      聞かれると思い出すと言うことなのかなと思っています。

      ・・・それにしても、スポーツには終わりがなくて面白いですね。

      何時間でも話せてしまいそうです。笑

      自分自身でも体現できるように、
      これからもプレーと情報発信を両立させられるように楽しみます。

      ダーツのプロ、応援しております!

      また、ダーツ経験者としての貴重なご意見を頂けると嬉しいです。

      こちらもバスケに限らず、広い視野での発信をして、
      色々なスポーツから学び、スポーツの価値を高めていきます。

      またよろしくお願いします。

  3. 一年前の記事から追っているものです!渦の理論に興味津々で記事を拝見するようになりました。twitterもそこからフォローさせていただいております!

    今回の記事で個人的にひっかかった点がありましたので、約一年ぶりのコメントです。
    引っかかった点というのは、「そもそもリングを見続けるってあり得るの?」という点です。

    実は私もリングを見続ける葉だったのですが、この記事のマッちゃんさんの言葉を拝見して、「あれ?これ俺だ!」となりました。というのも、私の場合、確かに目線の先にリングがありますし、最後までリングを見続けています。しかし、周辺視野というか、その周りではフォロースルーの位置もリングへのラインも見えています。そのずれというので外れるか否かは確かにわかりますし、そのリングまでのラインにボールを乗せようとしています。(頻繁にリングへのアーチラインにシュートが乗るかどうかは、お察しください。)

    そもそもバスケットボールは周辺視野が鍛えられるスポーツだと思うのですが、

    事実:個人として「リングを見続けている」し、しかも「空間を見つめている(というより感覚はマッちゃんさん)」私
    仮説:バスケットボールは周辺視野が鍛えられる

    この二つの項目を組み合わせて、私の引っ掛かり「リングを見る」=「空間を見る」ということなのかな、と感じました。

    もちろん仮説をもとに仮説を立てているので、なんじゃそりゃ感が否めないですが、、、。

    ヨシさんのご意見をもう少し深く伺いたいな、と思いました!

    どう感じられますか><?

    1. お久しぶりです!覚えています。

      リングを見ることがイコール、周辺視野で理想の軌道とかを見ていることになるのでは?ということでしょうか?まっちゃんさんは、意識しているわけではなくて、無意識の中でボールを理想の軌道に乗せているそうです。僕はまだまだ試行錯誤中…。人間の脳みそは、顕在意識では少しだけの情報を処理し、顕在意識には上ってこない潜在意識で物凄い多くの情報を処理して入るそうですね。なのでそういった周辺視野で多くの情報を得ていると言うのはあるのかもしれません。ただ、リングは見続けるのと、空間を見るのは、けっこう感覚は違うように僕は思いました!人それぞれの感覚があるので、一つのヒントにしてもらえると良いかなと思います。お互い試行錯誤していきましょう!

      1. あーなるほど!
        ちょっと勘違いしてました!

        問題は目に何が写るかでなくて、意識の置き所なんですね。何を見ようとしてるかで感覚が違うということならば、かなり納得できます!

        いつも丁寧にレスいただき、嬉しいです。
        試行錯誤、ガンバります!

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