Pete Carrilさん「ピボット」

まず始めに、Pete Carrilさんの言葉をお読みください。

ピボットは、もっとも過小評価されている技術および技能の1つで、『こんなことを練習する必要があるのか?』といつも選手に質問を受ける。ピボットは、今日のゲームには特に重要ではないという選手の考えを改めさせる必要がある。この技術の重要性を軽視しやすい理由の1つとして、あまりにも簡単にできてしまうことが挙げられる。ピボットはディフェンダーにとっても重要で有効な動きである。
鋭い動きのピボットができれば、ディフェンダーをかわそうとするときやトラップから逃れようとするときに別の突破口、おそらく唯一の突破口を開くことができる。例えば、バスケットに向かって激しくドライブした時にディフェンダーに妨害されたとしよう。左右どちらかの足でピボットし、ディフェンダーから逃れることができる。ピボットにより、自分の背中を相手に接触させて動きを封じることができ、さらに、相手のポジションを背中で感じながら、あらゆる方向に相手を押し退けることができる。つまり、相手の身体を利用して得点できるということだ。
(引用:ピート・キャリル(2011)『賢者は強者に勝る』p.129-130)

僕自身、ピボットを練習する必要性について、コーチングを始めた頃は全く考えられていませんでした。しかし、様々な年代の選手を見る中で、とても大切な技術だと認識するようになりました。

 

 

プレッシャーをリリースする

プレッシャーをリリースするで最も重要な技術がピボットだと僕は考えています。ドリブルやパスも当然その一つの方法で重要ですが、それらをする上でも、まずピボットをきちんと出来るようにする必要があります。なぜなら、ピボットを練習すると「態勢」を良くすることができるからです。

 

プレッシャーリリースの基礎「態勢」

プレッシャーディフェンスを受けてしまう選手は、ほとんどの場合、「態勢」が良くないです。重心が高かったり、ボールの位置が悪かったり、相手が「プレッシャーをかけたくなるような態勢」になってしまっています。

相手のプレッシャーに負けてしまう態勢(物理的に相手に押されて倒れてしまう態勢)だと、どんなに気持ちで負けないと思っていてもプレッシャーをリリースすることは難しいです。でも、逆に、自分の態勢がきちんとしていれば相手は必要以上にプレッシャーをかけることはできません。

つまり、「プレッシャーというのは自分が創り出しているもの」だという事です。この事を理解しなければ、いつまでもプレッシャーをリリースすることはできません。精神的に「絶対に負けない」「絶対にボールを取られない」という気持ちを持つことも最も重要なことの一つですが、具体的な行動としては「態勢」が最も重要です。

※参考:意識&目の使い方「正眼」

 

「良い態勢」とは以下の画像のような態勢です。

・身は近く、ボールは遠く

相手に対して「身体は近づけて」「ボールは遠ざける」にします。これが逆に、相手に対して「身体を遠ざけて」「ボールを近づける」と悪い態勢になります。身体は相手に近づけながらボールは相手から一番遠くになるように。

 

・リングに意識を向ける

その上で、ただこの態勢をとっていればいいわけではなく、リングに意識を向けて攻め気を相手に見せることも大切です。「本当にドライブをする気持ち」「ドライブできる態勢」がないただの形だけでは相手のプレッシャーに負けてしまいます。

 

・相手に押されない態勢

重心を下に下げて、広いスタンスをとります。後述する「対人チェック法」を用いると、相手に押されない態勢がどのような態勢かを知ることができます。スタンスの広さもとても大切な要素です。

 

 

お勧めの態勢は「ヘッドダウン」と呼ばれる態勢です。

頭を下げる形で前に出し、ディフェンスとの間にスペースを創ります。ボールは股の間、もしくはフロア付近に置き、背中を緊張させず、いつでもドライブができる状態にします。この態勢をとるとディフェンスは必要以上にプレッシャーをかけられなくなります。

 

その良い態勢を作るために必要な技術が「ピボット」です。

 

 

ピボットによるプレッシャーリリースの方法

基本のピボットとして、3つのパターンを紹介します。

1.フロントターン(足を前に出す)

2.リバースターン(足を引く)

3.ターン

 

1.フロントターン

ボールを受けた後、フリーフット(軸足とは反対の足)を軸足よりも前に出す形でピボットを踏みます。この時、横ではなく「前」に意識を向けると、ドライブで抜くチャンスも作れるし、よりプレッシャーをリリースできます。

まず始めは、このピボットを身に付けることをお勧めします。なぜなら、ピボットと同時にドライブを狙いやすく、キャッチと同時にこのピボットをする意識を持っているとボールに対してミートをする形になって、パスカットされるリスクも低くなるからです。そういった理由からも、より積極的なピボットと言えます。

 

 

2.リバースターン(足を引く)

次に、前に出している足を引く形で、リバースターンをします。このピボットを踏む際、ボールをフロアに付けるようなイメージで動かす「sweap(掃く)」という動きを行い、重心を下に落とすことが重要です。その後、ボールを股の間におくことでボールを守れる態勢をとります。

 

 

 

3.ターン

相手が必要以上に圧をかけて押してきている場合は、ボールを受けた瞬間にターンをします。接触点を軸にして回転することで相手の力を推進力に変えることができます。

 

 

 

キャッチと同時にピボットを踏む

プレッシャーをリリースする上で、また、1対1でチャンスを創るために、キャッチと同時にピボットを踏む意識を習慣付けることが大切です。

 

 

 

押されない態勢の作り方

始めのうちは良い態勢が作れているかをチェックするために、対人でパートナーに横から押してもらうと良いです。このチェック方法は、武学籠球の慎さんが用いているもので、ディフェンススタンスやシュートフォームをチェックする際にも活用できます。

 

チェック方法

・横から身体を押す

・思い切り押すのではなく徐々に力を加える

・押されないような態勢を作る(幅や力加減)

 

ファールをもらう

プレッシャーを受けたとしても、きちんとしたピボットを踏み、相手に向かっていけばファールを貰うことができます。ピボットを踏む際は、ただ形だけをとるのではなく、「前への意識」を持ちながら行うことが大切です。

 

 

 

 

 

パスを出す時や受ける時もピボットが重要

ピボットは、ボールを受けた後にプレッシャーをリリースするためだけではなく、正確なパスを出すためにも、確実にパスを受けるためにも大切な技術です。詳しくは「RONDO」の解説ページでまとめているので、そちらをご覧ください。

※参考:RONDO