とても重要なシールの基礎をお伝えします。

ドリブル、パス、シュートといった基礎がなければバスケットボールが成り立たないと言えますが、この「シール」という技術も全ての選手がきちんと身に付けてほしいことです。

どんなに良いオフェンスシステムを採用していたとしてもその力を発揮できないと言えるほど大切な基礎です。特にディフェンスのプレッシャーが強い相手と対戦する時に、ミスを減らすためにも大切な基礎になります。

 

ミスの多くの原因は「受け手」にある

パスミスが起きる時、その原因は受け手にあります。もちろん、パスが極端に悪ければパサーに責任がありますが、どちらかというと受け手にパスミスの原因があると捉えた方がミスは減ります。実際によくあるのがパスミスが起きた時に、ミスの原因をパサーのせいにしてしまうことです。そういう風にだけ捉えてしまうと、受け手がきちんとシール出来ていないからミスになっている、という原因に氣付けなくなってしまいます。

一人ひとりが主体性をもってプレーすることがチームシップを育むためには重要なことであり、パスミスが起きた時に、パサーは自分のパスの正確さや判断に原因があると捉え、受け手は自分のシールの仕方に原因があると捉えることができれば、ミスをしたとしても改善していくことができるはずです。

 

シールの基礎

シールはボールを受ける際の基礎です。とても基本的なことなのですが、多くの選手はきちんと出来ていないため、相手のプレッシャーが強くなるとボールをきちんと受けられなくなります。選手一人ひとりに、シールの重要性を伝えることは指導者としてとても大切です。

①片手で相手を押さえる

②内側の足を軸足にする

③ボールマンに正対する

④ターゲットハンドを出す

⑤ボールマンに意思表示をする

 

①相手を片手で押さる

まず、ディフェンスをきちんと身体で押さえることが大切です。腕で相手を押させるイメージがシールは強いかもしれませんが、腕だけでシールをすると力の強い相手にパワーで押し負けてしまいます。腕だけではなく、身体も相手に寄せてバランスの良い姿勢を保ちましょう。

腕の当て方ですが、斜めにすると相手を押さえやすくなります。手のひらで押さえると相手にかわされてしまうし、オフェンスファールになる可能性があります。縦や横で腕を当てると相手にかわされてしまいます。なので、斜めに手を当てるのが一番確実に相手の動きを押さえられます。

 

次にボールの受け方ですが、ここも非常に重要なポイントです。

多くの選手はシールをしていてもキャッチをしようとした時に両手でボールを取りに行こうとしてしまい、シールの腕が離れて、スティールされてしまいます。多くのパスミスはこのことが原因で起きています。

シールが甘いとミスになる

 

良いシールの仕方は、最後まできちんと相手を押さえ、キャッチする際も両手でキャッチするのではなく、片手でボールに触れてその後に両手でボールを扱うというやり方です。

 

このシールを身に付けるためには、

  • 相手を片手で押さえる
  • 片手でボールを扱う

という技術が必要になります。

 

これらの技術を身に付けるための簡単な練習ドリルを紹介します。

 

練習ドリル「シール」

これはシンプルな練習ですが、接触感覚を養うためにも良い練習です。リバウンドの際のスクリーンアウトの練習にもなります。

片手で半身で行うことで相手に押されにくい姿勢になります。両手を使って背中でシールをすることも試合中はありますが、背中で押さえると相手との間合いをとることが難しく、上からボールを取られてしまう可能性があるので、半身で押さえることがポイントです。ただし、練習の中で相手に簡単に押されてしまう場合は、先にぶつかりに行く(Hit First)か、両手を使って押さえても大丈夫です。

 

練習ドリル「片手キャッチ」

ボールを片手で扱う練習です。ドリルの中に、シールからのキャッチをイメージしたものも入れています。特に女子選手は片手でボールを扱うことに慣れていないことがあるので、こういった基本的なパス練習をアップに取り入れることをお勧めします。

 

②内側の足を軸足にする

次に、シールする際の軸足について。

基本的に内側の足を軸足にしてピボットが踏める状態にしておく方がいいです。なぜなら、外側の足を軸足にしているとミートもしにくいし、ボールマンに正対すること(次の項目で詳しく解説しています)も難しくなるからです。

ただ、シールが上手くいかない選手の多くは外側の足を軸足にしてしまっています。これはおそらく選手の意識として「相手を押さえないといけない」と思って、外側の足でフロアを蹴ることで力を出そうとしているためだと考えられます。しかし、それは逆効果で自分が不自由になるので効果的な方法ではありません。

 

③ボールマンに正対する

シールの際の軸足を「内側」にすることで、ボールマンにきちんと身体を正対できるようになります。この「身体の向き」というのもとても需要な基礎です。

正対に関してはこちらのページで詳しく解説していますが、シールの際も「身体と意識を目の前の相手(ボールマン)に向ける」ということが大切です。片手でいくら相手を押さえたとしても、身体の向きが悪かったらボールを安全に受けることはできません。

 

まず良くない例から紹介します。

身体の向きが悪いと、ボールマンから見た時にディフェンスに被られてしまいます。このような形でボールマンに正対していない状態でパスを出すと、高い確率でミスになります。パサーからしてもパスが出しにくいことが分かります。

 

次に良い例を紹介します。

良い例は内側の足でピボットを踏んで、身体をボールマンに正対させます。この時、指導方法としては「おへそをボールマンに向ける」とか「背番号をボールマンに向ける」という言葉と選手に伝わりやすいです。

 

この時、「縦足」すると更に安全にパスを受けられます。

(これはNBAのNikola Jokicがやるシールの仕方です)

 

④ターゲットハンド

これも基本的なことですが、とても大切です。

ターゲットハンドを出す時は「バウンドパスがほしいか」「ロブパスがほしいか」というのを指をさして示したり、手の位置で、ボールマンに示すことが大切です。

ターゲットハンドが出された位置に正確にパスを出すことができれば、キャッチと同時に相手とのズレをついて1対1で攻めることもできます。

 

⑤ボールマンに意思表示をする

最後に、意識について。

シールの形を勉強会(直接指導)で指導したことが何度かあります。正しいやり方を伝えたつもりだったので、試合中もこれで大丈夫だろうと思っていたのですが、実際の試合ではミスになることが多くありました(特に強豪校との試合の時)。その理由は何かと考えたところ、「意識」が足りないということに氣付きました。

 

つまり、いくら「正しい」と考えられる姿勢やシールをしていたとしても「絶対にボールを失わない」という強い意思がないと「形だけのシール」になってしまうという事です。これはシールに限らず、全ての場面で言えることなのですが、ボールをきちんと受けるためにはボールマンに対して「パス出してもいいよ」という安心感を伝える必要があります。

 

どんなにディナイされていたとしても「パス出していいよ。絶対に自分がミートしてキャッチするから」という意思があればパスを受けることができます。逆に、相手のディナイが緩かったとしても、いくらシールで良い形をしていたとしても、パスを受ける氣が無かったり、ボールマンに対する意思表示がないと、ボールマンはパスを出すのが怖くなるものです。

 

最終的には根性論みたいになりますが「何としてでもボールをキャッチする」という強い意思が必要です。「簡単にミスしない」「絶対にミスしない」その気持ちがあれば、自然とシールしたりミートしてボールを取ろうと身体が動きます。パサーのせいにせずミートできるか、ここは選手の主体性が関わってきます。

 

「味方に安心感を与える」という意思表示も合わせてシールをきちんとして、ボールを安全に繋いでいきましょう。