ハーデンは古武術的な動きでシュートを打っている!?

この記事は5分で読めます

「NBA選手って何やってもカッコいいな。」

「NBA選手みたいにマッチョで、ドリブルが上手くなりたいなぁ。」

 

僕はずっと、バスケを始めた時から思っていました。

 

 

アメリカ人のプレーは、独創的で、型にハマらず、筋肉質で、身体能力が高く、とにかくカッコいい…。

バスケを始めた時からNBAに見入っていたので、いつでも憧れは「アメリカ人」「NBA選手」でした。日本人で生まれてくるよりも、アメリカ人で生まれてきたら人生変わっていたんじゃないかと思ったことがあるくらい。。NBA選手のようにジャンプ力をつけるため、NBA選手のようにマッチョになるため、とにかくウエイトトレーニングだ…!と思い、ひたすら高校時代に筋トレをしていました。

 

 

でも、いくら筋トレをしたとしても、

シュートの飛距離が伸びませんでした。

 

3Pシュートを簡単に届かせたいと思って筋トレを始めたのに、一向に改善されることはありませんでした。「まだ筋力が足りないんだ!」と思って筋トレをしても、結果は変わらず…。何が悔しかったかといえば、自分の方が明らかに筋力があるのに、自分よりも筋力がないチームメイトは簡単にシュートを飛ばしていたことです。

 

「才能の違いかー。自分はシュートセンスがないから、もっと筋トレで補わないといけないな」

そう思って、また筋トレルームに向かいました。

 

 

 

・・・

これは高校時代の話ですが、

この考え方が間違っていたことに気づいたのは、それから4年後でした。

 

大学3年生の冬に、大学院の先輩から「古武術」という考え方を教わりました。古武術とは、日本の武術で取り入れられている動きで、簡単に言うと「効率の良い体の使い方」のことを言います。古武術という言葉を聞いたとき、

「あー。そういえば、高校の部室に『古武術バスケ』みたいな本があったなぁ。」

くらいにしか思いませんでした。

 

僕の高校では、部室にバスケの書籍がたくさんあり(歴代の先輩が残していったもの)、その中の一つの「古武術バスケ」に関する本があったんです。でも、僕はその本をぺらぺらめくっていただけで、「ふーーん。」と思ってすぐに筋トレルームに向かっていました。

 

実はここが大きな境目だったのかもしれません今思えば。

 

 

自分の動きがどうなっているか?

「古武術」という言葉を聞いてどんなことを思いますか?

 

「なんだか古臭い。」

「少し前には流行ったけど…。」

「そんなことよりも、筋トレ筋トレ!」

 

そんなイメージがあるかもしれませんが、古武術とは効率の良い体の使い方のことであり、最小限の動きで最大の力を発揮するための体の使い方のことです。古武術は、難しいことでも、古臭いことでもなく、自分の身体や動きについて知ることとイコールです。自分のシュート動作やドライブ動作について知ることで、より効率の良い動きがあるのかということを探すことができます。

 

筋トレをすることも大切です。

でも、それが全てではないし、体の使い方を少し変えれば少ない動きで大きな力を出せるようになることもあります。筋トレをする10時間の一部、10分でも良いので「自分の動きを知り、効率の良い動きがないかを探すこと」をしてみてください。たった10分であっても、自分の動きを知り、身体を知り、試行錯誤することで効率の良い動きができるようになることがあります。

 

 

シュートのセットポジションと膝の曲げ伸ばし

今日、その先輩とシュートについてラインをしました。

大学卒業後の今は、お互い別々の地域に住んでいるんですけど、今でもラインでバスケのこととか面白い本についての話とかしていて、仲良くさせてもらっています。直接会わなくても、スマホを使って動画を撮り、それを送り合って、NBAの動画を見たり画像を見たりして、「この選手はこうなんじゃないか。」「ここをこう変えたらこうなった。」「今日やってみた動きはこれ」という感じでいろいろ話しています。

 

今日話したのは、「シュートのセットポジションと膝の曲げ伸ばし」についてでした。

 

ハーデンのシュートをYoutubeで見ていて、自分との違いに気づきました。

harden1-horz

この一連のシュートの画像で、

・セットポジション(④)にボールが移動するまでの膝の曲げ伸ばし

に注目して見てください。

 

 

②→③の過程で

・腕(ボール)は、セットポジションに向かっている=力が上に向かっている

・膝(下半身)は、曲げようとしている=力が下に向かっている

ことがわかります。

harden3

 

④の画像では、

・腕(ボール)は、セットポジションの位置にある

・膝(下半身)は、③の画像と変わっていない

ことがわかります。

 

つまり、ハーデンのシュートは、

・セットポジションにボールがある時点(④)で、最大限膝の力が発揮される状態にある

ということがわかります。

 

 

カリーの1moiton shot

Stephen Curryのシュートをフォームを真似してみたいと思ってる人は、おそらく世界中に何万人もいると思います。そして、カリーのおかげで「1motion shot」というシュートフォームの概念が広まっています。

※1motion shotとは、キャッチからリリースまでの過程で動作が止まらず、ジャンプと同時にリリースをするシュート

 

僕は身長が低く、ジャンプ力があるわけでもないので、より速いモーションでシュートを打つために1motion shotを取り入れたいと思って練習をしてきました。その過程で、「早く打つためには、膝を伸ばし始めるのと同時に、腕もセットポジションに移動させた方が良い(上半身と下半身の力の向きを同じにする)」と考えてキャッチをしてからシュートを打っていました。

 

でも、よくよくカリーやハーデンのシュートを見ると、

・セットポジションにボールがある時点で、膝が最大限力を発揮できる状態(膝が伸び始めていない)になっている

ということがわかり、自分との違いに気づきました。

 

僕のシュートは、まだセットポジションにボールがない状態で膝が伸び始めていました。つまり、狙いを定めることが難しくなっていて、また力が上手く伝わらないシュートだったということです。1motion shotをイメージしていても、少し間違った打ち方をしていたということです。

 

 

『体の動き方を工夫する』

harden3

僕の中では、この画像の動きに違和感がありました。

 

「下半身(膝)の力の向きと、上半身(腕)の力の向きが逆を向いているから、力が伝わらないんじゃないか?」

そんな気持ちがあって、膝と腕の動きを同じ向きにしようとしていました。

 

 

でも、先輩からはこう言われました。

1

『一調子の動き(もしくは、「一拍子の動き」)』というのは、武術でよく使われる言葉です。二つの動作をバラバラに行うのではなく、同時に行うことをさします(武術の世界では、二つの動作をバラバラに「1、2」というタイミングで行っていると相手に斬られてしまうから)。

 

 

ここでは、

①ボールをセットポジションに移動される動き

②膝を曲げる動き

を同時に行うことが「一調子の動き」ということになります。

harden1-horz

ハーデンは、②~④の過程で二つの動きを同時に行っています。

バラバラに行うと、ロボットのような動きになり、力が伝わりにくくなります。

 

上半身と下半身の力の向きは逆方向でも、狙いを定めるセットポジションにボールがある時点で、膝が最大限力を発揮することができる状態(膝が伸び始めていない)にあり、なおかつ、一調子の動きを行うことで力の分散が起きずにスムーズな、素早い動きができています。

 

 

体の使い方を変える

3-vertウエイトトレーニングは大切です。
でも、闇雲にウエイトトレーニングばかりをするのは危険です。本当に自分にとって必要なことを冷静に考える必要があります。自分の体と動きについて知ることで、より効率の良い動きができる可能性は誰にとってもあるんです。「アメリカ人のようになりたい!」という西洋への願望は僕も昔は持っていました。でも、日本人として生まれた以上、日本人としてでしか生きることはできません。

 

いくらアメリカ人のような振る舞いをしても、

NBA選手のファッションを真似したとしても、

日本人であることを変えることはできません。

 

日本人には、西洋にはない素晴らしい考え方があります。それが「古武術」という自分の体について知り、効率の良い体の使い方を試行錯誤する考え方です。ただ闇雲に、アメリカ人の真似をする、強いと言われているチームの真似をする、有名な人の教えを聞くのではなくて、自分の頭で考えて、身体を動かしてみて「この動きは、身体にとって自然な動きか?」ということを自分の身体に聞いてみてください。

 

古武術について学ぶということは、

自分を知り、自分の身体と対話をすることです。

 

決して古い考え方でもないし、日本にしかない素晴らしい考え方です。

 

 

スポーツは、生まれ持った頭と体を使って、自分をより良いものに変化させていく遊びです。関節の可動域、腕の長さ、身長、動作の習得スピード、スポーツを始めた年齢、スポーツを始めた環境など、誰一人として同じではないため、プレーが変わってくるのは当たり前のことです。他人と比べるのではなく、過去の自分よりもより良い、より楽しい自分を目指して、試行錯誤していきましょう。変化させることができるからスポーツは面白いです。

 

 

誰でも変化を知れる時代

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毎日使っているスマホで動画を撮れば、今の自分の動きを知ることができます。

片手に収まる大きさの、毎日使っているスマホには物凄い可能性があります。どんなことでも検索をすれば、世界中の情報を知ることができ、自分の動きを動画にとって分析することも、自分の考え方を世界中の人やチームメイトに瞬時にシェアすることもできます。NBA選手の動きを知りたかったら、Youtubeで検索をすればすぐに見ることができます。これは本当に凄いことですよね。

 

学ぶことで変化が生まれます。

変化のない日々を送るよりも、毎日変化を起こして、「もっと良い動きはないか」「もっと楽しいことはできないか」と試行錯誤していけるのがスポーツの楽しさです。僕は一生やめることができなさそうです。まだまだ未熟なので、もっとこれから動きを高めていこうと思います。いつも色んな話をしてくれる先輩に心から感謝…!今回の記事で登場した先輩は現在「武学籠球」という発信をしています。ブログはコチラから。シュートの講座も開講しています。

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    • くりあたま
    • 2016年 1月25日

    再度の投稿失礼します
    シュートの話とは違ってくるのですが、私はウェイトトレーニングはバスケをする以上必要であると考えています
    武術的な動きを活かしたペネトレイトや今回の記事に学ぶ体の動作や力の伝導を考えるという事は確かに筋力トレーニングをする前に大切な事だとは思うのですが、ウェイトトレーニングを軽視してしまうこともよく無いと感じます
    と言うのも私が他の選手と比べ筋力や身体能力で劣る時にOF以上に辛いと思ってしまう事がDFです。DFのローテーションやカバーのやり方で選手個人同士の穴を補い合うことは可能ですが、やはりポストアップされてしまったり、オンボールのDF時にコースの競り合いで押し出されてしまう。あるいはオフボールのカッティングに対し体で防ぎきれない。こういう時に私は一番悔しくなります。
    安易にポストアップさせない、ディナイやフェイスガードで簡単にボールを持たせない、カッティングしたい場所にさせない。こういった事はやはり体を鍛えOFに体を抑えられにくくしなければならないと思います
    私が偏屈なだけかもしれませんがこの記事のタイトルがまるでウェイトトレーニングは必要無いと言っているようにも見えたので投稿させていただきます

      • バスケのヨシ
      • 2016年 1月29日

      こんばんは、いつもコメントありがとうございます。

      まずこの記事の意図を伝えさえて頂きます。この記事は、ウエイトトレーニングを否定することが一番の目的ではありません。ウエイトトレーニングも大切だけれど、それだけを絶対視しないで、それ以外の可能性(身体の使い方)も探りながら練習をして行くことの重要性を伝えるために、このようなタイトルにしました。

      僕自身がウエイトトレーニングをずっと続けてきましたが、その時は自分の身体の動きに目を向けていませんでした。今思えば、自分の身体の動き(シュートフォームやドライブのフットワーク、駆け引き等)に目を向けていたら、もっと良いプレーができていたと感じています。これは人それぞれの感覚があると思いますが、一つのことを絶対視してしまい、他の可能性をつぶしてしまうことは良くないことだと思っているので、それを「ウエイトトレーニング」と「身体の使い方」という二つの要素を対比的にまとめました。実際にシュートに関しては、ウエイトよりも身体の使い方を変えることで、飛距離や確率が上がることを実感しています。(体格差がある時のDFに関して。今自分も学んでいるところなのでまだ詳しくお伝えできませんが、体重や体格差のある相手に対しても、古武術的な動きを取り入れたらポストアップで押されなかったり、ドライブをしたときに当たり負けしないようになるみたいです。今後何らかの形で詳しいことを配信していきたいと思っています。)

      ただ、体の使い方を学べば全て良いかと言われれば、仰る通り、それだけが全てではないとも思っています。ウエイトトレーニングにも効果があるし、それを高めて戦うことも一つの道だと思います。ある程度の筋力がなければドリブルもパスも上手く行えないし、ウエイトトレーニングで強い動きをすることも良いと思います。

      僕がウエイトトレーニングを少し否定的に書いたのは、今の日本の部活動などがどちらかというと「ウエイトトレーニングをしてあたりに強くなろう!」「ウエイトトレーニングをしてシュートの飛距離を伸ばそう!」という流れがあると思ったからです。それだけの価値観でバスケをしている人たちが少しでも別の可能性について知り、選択肢が増え、自由に選択できるようになれば良いなと思い、自分の経験を踏まえて、このような記事を書きました。

      もっと体系化させて、体の使い方に関する発信を今後行っていけるように、自分自身もっと学び、成長していきたいと思います。この返信に対しての疑問点や違ったご意見があれば、また教えてください。ご意見ありがとうございます!

        • くりあたま
        • 2016年 2月1日

        なるほど
        文の意味を違えて捉えてしまい申し訳ありませんでした

    • くりあたま
    • 2015年 12月25日

    先月、シューティング練習をしている時にシュートのループが低い為にミスショットになっていることに気付き、何故ループが低くなっているか考えた所、どうやら自分の肘の位置が悪いことに気づきました。シュートフォームでボールが低い所にある段階、つまりシュートフォームの始まりである時に肘を体の横または前に付けていると肩が緊張している状態になっていました。
    これを改善して肘を体につけずに肘を遊ばせる事にしました。すると肩の緊張がなくなりシュートの際に肩の力を十分に発揮出来るようになり、シュートの精度はかなり上がりました
    前置きが長かったのですが、ヨシさんの肘の位置はどうなっているでしょうか? 思えばシュートの時の肘と言えばシュートの終わりにリングを向いていればいい、とは言われますが肘がどこから出るか? という疑問を持つ人は中々いない様なのです。グーグルの画像検索を使ってもボールが低い位置にある時のNBA選手のシュートの画像も中々見つかりません
    シュートを一から見直す、という点からも返信を頂きたいです

      • バスケのヨシ
      • 2015年 12月27日

      コメントありがとうございます。
      自分の肘の位置は、身体についていない状態からセットポジションに上げています。体に肘がついている状態は肘を閉めている状態なのかもしれませんが、毎回同じシュートを打つということを考えたら、一つの基準として肘を身体のどこかに付けてからシュートを打つことも必要なのかもしれません。
      シュートのループの高さは、セットポジションの位置が低ければ低いほど、肘を支点としたシュートが打てるので、高く打てるようになります。Curryのシュートのようなワンモーションシュートでは、セットポジションの時に、肘が肩よりも上に上がらない状態になり、手首を固定して、肘を積極的に動かすシュートです。肘を上げることで、しなるような動きが無くなり、ループは高くなると思います。

      これらのことは、YoutubeでProshotshootingsystemや日本のリアルショットシュートシステムで発信されていることです。僕と先輩が今準備している講座は、これらとはまた少し違った切り口で、一つの通信講座として、動画やメール、PDFファイルを中心に学び、随時、より良いものに更新していくものです。シュートを位置から見直すということで、自分の身体を知るところから始められるようにしています。来年の春を目標に教材を作っているので、それまでに良いものを作りたいと思います。

      セットポジションに行くまでの肘を見るのには、「〇〇〇 free throw」と検索してみてください(〇〇は選手の名前 英語)。シュートを打つ前の構え(シュートポケット)の画像がいくつか見つかると思います。また記事更新します!

    • いつも拝見しています。
    • 2015年 12月25日

    シュートのことに関して僕がいつも参考にしているチャンネルがあります。
    (pro shot shooting system)
    youtubeで検索してみてください。
    ディップ、ターン、スウィープアンドスウェイ、日本で聞いたことのないようなシュートの概念がありました。
    きっといままでのシュートの固定観念を壊してくれます。

      • バスケのヨシ
      • 2015年 12月25日

      コメントとチャンネルの紹介有難うございます。
      Proshotの発信は僕もシュートについて考えている時にたまたま見つけて、それ以降いつも参考にしています。素晴らしい発信で、メンタル面も含めてとても学べることが多いですよね。Proshotの発信は「NBA選手の真似をしよう」というところから入り、「自分の身体にとって自然な動きを身に付けましょう」というメッセージが込められています。それがターン・シュートなどですよね。それは、実はこの記事で書いた古武術と同じ考え方なんです。今現在、Proshotとはまた違った視点で、この動画で紹介した先輩と新しいシュートに関する講座を作っている最中です。来年の春にリリースできるように準備していきます。またその時はブログで告知しますので、定期的にチェックしてみてください。

        • いつも拝見しています。
        • 2015年 12月26日

        ご存じでしたか。
        自分余計なことを言いましたね
        シュートに関しては非常に興味があるので、
        ヨシさんと先輩のシュート講座楽しみにしてます。

          • バスケのヨシ
          • 2015年 12月27日

          いえいえ!今回はたまたま、お互いが見ている情報が同じであっただけですし、同じ動画を見ていても学べることは視点によって変わってくるので、こういったことを伝えて頂けるのはうれしいです。僕もまだまだ知らないことが多いですし、まだまだ下手で上手くなりたいと思っているので…。講座、より良いものが開けるようにしっかりと準備してきます。どこの発信者もしていない形、内容のものを作ります。今後も、何年間も、ずっと情報発信を続けていく予定なので、よろしくお願いします。

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