ナッシュのアシストの裏側~オンボールスクリーンでのスペーシング~

この記事は3分で読めます

スティーブ・ナッシュが現役を引退しました。

自分にとっては、NBA選手の中で一番好きな選手であり、プレー面でも一番お手本にしていた選手であるので、もうナッシュのプレーが見られないのはとても残念です。。ナッシュは引退してしまいましたが、ナッシュが今まで見せてくれたプレーからは多くのことを学べると思います。

特に、ナッシュは、NBAの中では身体能力が高いわけではなかったため、身長や身体能力が比較的高くない日本人にとっては、自分よりも身体能力が高い相手に対してどのようにして戦うのが良いかというヒントをナッシュのプレーから学べると思います。

 

 

今回は、ナッシュが一番得意としているプレー

オンボールスクリーン(Pick&Roll、Pick&Pop)について考えていきたいと思います。

 

 

ナッシュのPick&Rollを成功させている要素

ナッシュのようにPick&Rollを上手く成功させるためには、シュート力、ハンドリング力、パス能力、判断力が必要になります。ほぼすべてのスキルが高くなければ、上手くPick&Rollを成功させることができません。それだけの個人のスキルの高さが要求されるプレーがPick&Rollです。

しかし、Pick&Rollを成功させている要素は、ボールマンのスキルの高さだけではありません。ナッシュのPick&Rollを成功させている重要な要素は、オフボールマンのスペーシングです。どんなにオンボールマンのスキルが高かったとしても、周りの選手が良いスペーシングで動いていなければ、2対2のスクリーンプレーは活きません。(これは、Pick&Rollに限らず全てのプレーに言えることです)

 

 

Pick&Rollのスペーシング

pick nash

スクリーンプレーに関わっていない3人のOFプレイヤーに注目してください。

それぞれが良いスペース(隣の味方との適切な間隔。DFが一人で二人を守れないような距離)を保ちながら、次のプレーに対して準備をしていることがわかります。この場合のズレは、スクリーンプレーであり、ボールマンのナッシュ、または、スクリナーの選手になります。そのため、周りの選手は、ズレを優先させて、2対1になるような良いスペーシング(6分割のスペース理論)をとっています。

pick nash - コピーこの場合は、ナッシュのDFがすでにスクリーンに引っかかり、遅れているため、ナッシュからズレが生まれています。この時、周りの選手は、2対2のスクリーンプレーを邪魔しない位置にスペーシングをとり、次のプレーに対して準備をしています。

 

もう一つ、こちらの画像をご覧ください。

nash2これも、ナッシュがPick&Rollをしているシーンです。この場合も、周りの3人の選手は良いスペーシングをとり、次のプレーの準備をしています。このプレーに関しても、6分割のスペース理論で考えてみると、お互いが良いスペーシングをとり、2対1の状況が生まれていることがわかります。

nash2 - コピー

 

そして、ズレに合わせて、良いスペーシングになるように周りの選手が動いているため、ナッシュの華麗なスクリナーへのアシストが生まれています。

nash2 - コピー - コピー

NBA選手のようにPick&Rollを成功させるためには、個人のスキルの高さは必ず必要になります。

ただ、それだけではなく、周りの選手の動きも必ず必要になり、両輪が揃って初めてPick&Rollは上手く機能します。

 

 

ナッシュのアシストの裏側には、周りの選手の助けがあります。

 

スクリーンプレーに関わらない3人の選手が、

ズレを優先させて、良いスペーシングをとり、

ズレに合わせて、動いているからこそ、ナッシュが自由にプレーできています。

 

そのことに注目をして、以下の動画をご覧ください。

この動画は、サンズのPick&Rollの解説されている動画です。ナッシュの状況判断力のスゴさと、周りの選手のスペーシングの良さがとてもわかりやすくまとめられています。

 

「D’Antoni Explains the Knicks “Unguardable” Pick and Roll」

この動画は、ナッシュを指導していたD’AntoniがPick&Rollについて解説をしている動画です。動画の中では、ナッシュではなく、ニックスのPGであるフェルトン(現マブス)を中心に解説されていますが、原理はナッシュの時と同じです。

 

 

ナッシュのPick&Rollには、スクリナーだけではなく、周りの選手が関わっています。

ナッシュは、チームメイトのスペーシング、バスケがチームスポーツであることをとても深く理解しているように感じます。だからこそ、誰からも好かれる素晴らしい選手であるのだと思います。素晴らしい司令塔です!uspw_6953688_crop_exact

 

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    • くりあたま
    • 2015年 4月22日

    (1) ゴール下にいるピックマンをオフスクリーンにかけてスクリーンに行かせる
    (2) オンボールディフェンダーがスクリーンを避けるならピックマンは早いタイミングでロールする
    このへんも個人的には新しいと見ていて感じました(1)はピックマンのディフェンダーからズレを作ってショウディフェンスをさせない。(2)は無理にスクリーンに行ってファウルしないためと言ったところなんでしょうか。
    よろしければ最近NBAでよく見るダブルスクリーン(スクリーン二枚)の解説をしていただければなと思います

      • バスケのヨシ
      • 2015年 4月24日

      コメントありがとうございます。

      (1)のプレーは、Screen the screenerと呼ばれるプレーで、スクリーンプレーを行う前に、スクリナーのDFにスクリーンをかけることで、ショーDFをさせない目的があります。NBAではよく使われているプレーですよね。(2)は、スクリーンにボールマンのDFがかからなければ、すぐにロールをするという意味でしょうか?それとも、スクリナーのDFがショーDFに出た瞬間にロールをするのでしょうか?ファールを避けるためという目的もありそうです。

      ダブルスクリーンは、ボールマンにかけるスクリーンプレーですか?(参考動画:https://youtu.be/SFTx1CLUnEA)
      それとも、ボール下で、オフボールマンにかけるスクリーンプレーですか?(参考動画:https://youtu.be/JTNgLqPCLVc)

    • nba大好き高校生
    • 2015年 4月19日

    いつも勉強させていただいています。
    リクエストなんですが、nbaで使われているエンドラインからのセットプレーを紹介、解説して欲しいです。それと、各チームのディフェンスにも決まったシステムがあるのでしょうか?あるのならそれも紹介して欲しいです。

      • バスケのヨシ
      • 2015年 4月20日

      コメントありがとうございます。
      エンドプレーで、日本の部活やクラブチームなどでも応用できそうなもの、また、NBAならではの面白いものがあるか探してみたいと思います。リクエストありがとうございます。更新が最近できていないですが、時間を作って更新していきますので、お待ちください。

      ディフェンスのシステムに関しては、①スカウティングによって、相手に合わせたDFをする場合(シュートが入らない選手に対しては、間合いを広くとるなど)②どこと対戦するときであっても、チームで決まったDFをする場合の2種類があると思います。

      特に、NBAのチームDFを見るときは、オンボールスクリーン(Pick&Roll)の守り方を見ると面白いし、勉強になります。オンボールスクリーンの守り方は、とてもわかりやすく記事をまとめていらっしゃる方がいるので、その方の記事も紹介しながら、自分なりにまとめていきたいと思います。(更新が遅くなるかもしれないので、わかりやすくまとまっている記事を先に紹介させていただきます→http://bfij.net/2014/09/11/column-ma_sa_san-1/)

      またコメントお願いいたします。

    • ミニバス父ちゃん
    • 2015年 4月2日

    ありがとうございました!

    読めました。

    参考にさせていただきますm(_ _)m

    • ミニバス父ちゃん
    • 2015年 3月31日

    楽しく読ませてもらってます!

    本文最後に貼っていただいている、
    URLリンクを踏むと、
    404 File Not Found
    になってしまいます。

    ぜひ参考にさせていただきたいので、
    ご確認よろしくお願いしますm(_ _)m

      • バスケのヨシ
      • 2015年 3月31日

      ご指摘ありがとうございます。
      確認して、修正したいと思います。もうしばらくお待ちください。修正でき次第、もう一度、このコメント欄にコメントをさせていただきます。

      • バスケのヨシ
      • 2015年 4月1日

      URLの修正行いました。
      現在は、ページが開かれるようになっています。

      ご指摘ありがとうございました。
      今後ともよろしくお願いします。

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